食事も稽古も相撲界“脱・伝統”の中村部屋 新入幕・嘉陽は「10番勝って三賞」目標

2025年4月29日(火)5時0分 スポーツ報知

新入幕の会見で笑顔の嘉陽(右)と中村親方(カメラ・越川 亙)

 日本相撲協会は28日、大相撲夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。新入幕の嘉陽(かよう、25)=中村=が師匠の中村親方(元関脇・嘉風)とともに国技館内で会見。昨年6月の部屋創設時から採用した“脱・伝統稽古”の成果もあって、十両を所要5場所で突破。次は初の三賞を目標に設定した。栃大海(25)=春日野=も新入幕となった。

 嘉陽は照れ笑いを浮かべながら、番付表に載った自身のしこ名を指さした。「名前が少し大きくなっていたので、うれしかった」。新潟・海洋高、日体大の1学年後輩の大関・大の里(24)=二所ノ関=と同じ幕内の土俵に立つことになるが、「まあ頑張ってもらいたいですね。対戦はまだ大丈夫です」と、持ち前のマイペース発言で周囲を笑わせた。

 中村部屋の独特な稽古が飛躍のきっかけとなった。昨年6月の部屋創設時から、師匠の中村親方は“脱・伝統稽古”を掲げてきた。慣例の朝稽古だけにとらわれず、午前と午後の2部制を採用。午前はJR両国駅近くの隅田川沿いまで歩いて移動し、ダッシュなどの瞬発系トレーニングにも励んできた。嘉陽は「全部のメニューがきつい」と語るが、そこで培われた土俵上での瞬発的な動きが、武器になった。午後はまわしを締め、相撲を取る稽古や筋力トレーニングで肉体を追い込んだ。

 食事も、角界では恒例の朝稽古後と夜の1日2食ではなく、稽古前の朝食を含めた1日3食になった。食事回数が増えたことで「体が大きくなった。体重は去年より15キロ増えた」とパワーアップを実感した。

 2歳の時に父・宗彦さんが事故死。千葉・市川市で生まれ育ったものの、両親の故郷である那覇市を出身地に登録している。夏場所への抱負を報道陣に問われると「けがしないように頑張る」と少々、淡泊な答え。すかさず、横にいた中村親方が耳打ち。弟子は仕切り直して「10番勝って、中村部屋初の三賞をもらいます」と新入幕場所の目標を宣言。革新的な稽古の成果は土俵で示す。(大西 健太)

 ◆中村部屋の取り組み 土俵では従来のぶつかり稽古を減らし、胸を合わせた状態から相手を押す“当たらないぶつかり稽古”を実践。疲労回復のために相撲部屋には珍しい酸素カプセル(約300万円)を導入している。地方場所では部屋に料理人が帯同し、食事面でサポートしている。

 ◆嘉陽 快宗(かよう・やすとき)

 ▽本名 嘉陽快宗

 ▽生まれ 1999年7月14日、沖縄・那覇市(生まれ育ったのは千葉・市川市)

 ▽歩み 小学3年生の時に相撲を始め、新潟・糸魚川市の能生中学校に相撲留学。同県の海洋高から日体大を経て角界入り。22年夏場所で三段目90枚目格付け出しでデビュー。24年名古屋場所で新十両。

 ▽得意 突き、押し

 ▽座右の銘 明日がんばろう。「明日やることが決まったので、それを明日やる」という意味。沖縄流で言うと『なんくるないさー』の精神

 ▽睡眠 千秋楽の翌日は食事も取らず、丸一日近く寝ることもある。場所中は朝稽古と昼食を挟んで“3度寝”。場所入りする15分前まで寝ている

 ▽食事 食事量は多いタイプ。太ろうと思っていないが、おなかがすいたら食べている。1年で体重は15キロ増。食べ過ぎで先場所から締め込みの長さが足りなくなり、今場所から新調予定。好きな食べ物はすし

 ▽サイズ 173センチ、175キロ

スポーツ報知

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