【オリックス】麦谷祐介、12球団の新人一番乗りサヨナラ打「自分が絶対に決めてやろうって気持ちで」
2025年4月30日(水)5時0分 スポーツ報知
9回1死三塁、麦谷祐介が右前へサヨナラ打を放ち、大喜び(カメラ・朝田 秀司)
◆パ・リーグ オリックス3X—2ロッテ(29日・京セラドーム大阪)
オリックスのドラフト1位・麦谷祐介外野手(22)が、プロ初のサヨナラ打をマークした。12球団の新人では一番乗り、自身は富士大3年春のサヨナラ本塁打以来となる劇打で、首位を走るチームの連敗をストップ。大舞台での勝負強さを知る大学時代の恩師・安田慎太郎監督(40)が、さらなる成長への激励の言葉を寄せた。
両手を突き上げ、全身で歓喜のウォーターシャワーを浴びた。2—2の9回1死三塁。麦谷は冷静に、しかし熱く打席へと向かった。「前進守備だったので、とにかく打球を前に出すことを考えて、コンパクトに。サヨナラ男(今季2度)の若月さんが倒れちゃったので、本当に自分が絶対に決めてやろうって気持ちで」。カウント1—2から横山の5球目を捉え、一、二塁間を破った。「『うわ、来たー』みたいな感じ。最高にチームが勝ったのがうれしかった」。自身初のお立ち台で、喜びをかみ締めた。
「Bsオリっこデー2025」として特別ユニホームを着用した一戦。ニックネーム「ムギ」を背中に記した麦谷は、野球少年の前での活躍を喜ぶと同時に、自らが中学時代に所属した東北楽天リトルシニアでの教えを振り返った。「打撃投手の方へのあいさつなど、感謝の気持ちを忘れないこと」。その言葉を心に留めているからこそ試合後は、いつも「力まずに頑張ってこい」とLINEをくれる両親への感謝が口を突いた。
「ここまで育ててくれたのは親だし、最終的な味方は両親。一人でここまで来られたわけじゃないし、家族があって今の僕がある」
4カード連続勝ち越しなしと、序盤の勢いが失速しつつあったチームにとっても大きな1勝。3試合ぶりに1番で起用した岸田監督は「最近はチームも負けていたので、勢いが欲しいところでいい働きをしてくれた」と手放しに称賛した。「プロ野球は本当に厳しい世界で、食うか食われるかの世界。自分が出させてもらっている以上、出られない選手がいる責任感もある。もっともっとこういう日を増やしていきたい」と麦谷。さらなる大暴れを約束した。(南部 俊太)
富士大・安田監督はかねて麦谷に勝負強さをみていた。3年春の全日本大学野球選手権で青学大・下村(現阪神)から本塁打を放つと、同年秋の明治神宮野球大会では同・常広(同広島)からアーチ。ドラフト1位でプロ入りした両右腕からの一発に「目立ちたがり屋で大舞台に強い。プロ向きな性格だと確信した」という。
富士大への入学時点で守備はプロレベル。一方、打撃面ではバットが横から出すぎる癖があると感じ、縦の要素を加える必要性を説いたという。大学4年間では、グリップ周辺が円柱形のように膨らんだ「バレルバット」でティー打撃を行う練習法を伝授。今もこのバットでの練習を欠かさない麦谷は「プロに入るきっかけをつくってくださった監督。結果で恩返しを」と感謝を忘れない。
安田監督は「良くはなっているけど、まだまだ打撃は完成していない」と注文する。「安定してシーズンを戦ってもらいたいし、1本目にこだわらず長い目で見て、自分を高めてもらいたい」。厳しい言葉は、大きな期待の裏返しだ。(俊)