アウディにスイッチのジミー・クレーレがTCR欧州開幕戦を制す。クプラの新鋭も初勝利

2025年5月2日(金)16時49分 AUTOSPORT web


 ポルトガルのアウトドローモ・デ・アルガルベにて2025年のTCRヨーロッパ・シリーズが開幕。4月25〜27日の週末に現地に集った22台による勝負は、予選で今季最初のポールポジションを獲得した復帰組のジミー・クレーレ(チーム・クレーレ・スポーツ/アウディRS3 LMS2)が、早くもアウディとの初優勝をポール・トゥ・ウインで飾ることに。続くレース2は、土曜に降格処分を受けた僚友の無念を晴らすかのように、ジェンソン・ブリックリー(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)がシリーズ初優勝を手にしている。



 昨季2024年はフランコ・ジロラミとともにドライバーズタイトルを獲得したモンラウ・モータースポーツは、グリッド上で唯一のクプラ陣営としてエリック・ジェネとブリックリーの2台をエントリーし、チームタイトルのディフェンディング王者として参戦するALM Motorsportは、昨季総合4位のルベン・ヴォルトとレヴェンテ・ロソンツィが残留。同じくホンダ陣営のMMモータースポーツは、昨季FIA TCRワールドツアーに参戦していたマルコ・ブティと、新たにジャコモ・ゲルマンディを起用した。


 さらに強豪JSBコンペティションが、開幕戦はジュリアン・ブリシュとジャン=ローラン・ナバロの2台体制でヒョンデ・エラントラN TCRを投入し、チャンピオンシップに復帰。同じくフランス系のテディ&ジミーのクレーレ兄弟擁するチーム・クレーレ・スポーツは、かつてのプジョー308 TCRから第2世代のアウディにスイッチして2021年以来のフル参戦プログラムを再始動する。


 そのほか、TCRイタリアの現役チャンピオンであるニコラス・テイラー(PMAモータースポーツ/アウディRS3 LMS2)や、TCRアジアを制したマックス・ハート(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)など、この2025年シーズンも実力派ドライバーたちがグリッドを埋める。


 そんな近接した力量を反映するかのように、予選ではトップ5のタイム差がわずか0.2秒以内という熾烈なアタック合戦となり、フェリーチェ・ジェルミニ(PMAモータースポーツ/アウディRS3 LMS2)を0.046秒差で抑えたジミーがアウディでのポールを射止め、ジェネがジェルミニから0.1秒差の2列目3番手から土曜のオープニングヒートへ挑むことに。Q2で10番手タイムを記録したハートは、レース2をリバースポールからスタートし、隣にブリックリーが並ぶ構図となった。


「フィーリングは非常に良かったよ。グリップは前日より少し良くなり、他のマシンと戦えるペースがあるという確信があった。Q2のラップは本当に良かったし、父が僕たちのためにしてくれたことすべて、そしてチームにも、今日の素晴らしい仕事を感謝したい」と語ったポールシッターのジミー。



今季2025年も実力派ドライバーたちがグリッドを埋め、4月25〜27日の現地には22台が集った


予選で2025年シーズン最初のポールポジションを獲得した復帰組のジミー・クレーレ(チーム・クレーレ・スポーツ/アウディRS3 LMS2)が、早くもアウディとの初優勝をポール・トゥ・ウインで飾ることに


「エントリーリストを見たときから、今季は本当に厳しいものになるだろうと分かっていた」と改めて語ったレース1勝者のジミー・クレーレ

 そのまま迎えた土曜午後のレース1は、アウディが盤石のスタートを切るなか、ジェネの猛追をかわしてターン1で2番手をキープしたジェルミニが混乱に陥り、ターン4でブティのホンダと接触。両者ともグラベルに弾き出され、ピットでの修復を余儀なくされる。


 これによりトップ争いで充分なマージンを得たジミーとジェネの2台は、最後まで攻防を繰り広げたのち、そのままのポジションでフィニッシュした。終盤までテディ・クレーレの重圧をしのいだブリックリーが3位に入ったが、レース後の裁定でジェネに1周目の事故に対する過失があるとしてペナルティが与えられ、5位に降格。ブリックリーが2位、テディが3位のリザルトに変わった。


「エントリーリストを見たときから、今季は本当に厳しいものになるだろうと分かっていた」と改めて語ったレース1勝者のジミー。「今年はアウディに乗ることで、他チームと比較できる素晴らしいマシンを持っている。ジェネが飛ぶように速いなか、後ろでクラッシュに巻き込まれたのは少し幸運だったね」


「タイヤをコントロールし、ミスをしないように努め、そしてレースに勝つことができたのが本当にうれしい。明日は10番手スタートだが、チャンピオンシップは長い。オーバーテイクのチャンスを待たなければならない位置だし、明日の目標は最低でもトップ10でフィニッシュすることさ」


 明けた日曜レース2では、素晴らしいスタートを活かしたブリックリーが2番手発進からターン1で首位に躍り出ると、その後はリードを奪われることなく完勝。背後ではセーフティカー(SC)介入のタイミングで猛追したフェリペ・フェルナンデス(オート・クラブRC2バレス/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)と、グリッド7番手から一気にトップ集団に加わったブティが続くポディウムに。


 さらに4位のテディに続き、10番手から好調なスタートを切ったジミーが有言実行のトップ5に喰い込み、ドライバーズランキングでブリックリーとの差を3ポイントに広げた。


「最高の気分だ。ついにスタートをマスターできた気がする。良いスタートが切れたから、そこからはリードを維持することに集中したよ」と、見事に好機を捉えた勝者ブリックリー。


「最初の2周はプッシュしたが、セーフティカーが出てきて『ちくしょう!』と思った。


 でも、その後の2回のSCによるリスタートはうまくいったね。これ以上うれしいことはないし、チームと素晴らしいマシン、そして協力してくれた皆に感謝したい」


 続くTCRヨーロッパの第2戦は、5月16〜18日の週末にベルギーのスパ・フランコルシャンでの開催が予定されている。



日曜のレース2では、素晴らしいスタートを活かしたジェンソン・ブリックリーが2番手発進からターン1で首位に躍り出る


レース1をアクシデントで落としたマルコ・ブティ(MMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)は、レース2で起死回生の3位に


そのレース2ではジェンソン・ブリックリー(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)がシリーズ初優勝を手にしている

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