阪神・村上が吠えた 今季初完封でチーム連敗4でストップ「子供に勇気を与えられた」

2025年5月3日(土)5時15分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神4—0ヤクルト(2025年5月2日 甲子園)

 阪神・村上頌樹投手(26)が2日、ヤクルト戦(甲子園)で、プロ初勝利を挙げた23年4月22日の中日戦以来2度目、今季チーム一番乗りで完封勝利を果たした。散発5安打無四球で三塁を踏ませず、チームの連敗を4で止めた。両リーグトップの5勝(1敗)。毎年恒例の「ゴールデンウィーク こどもまつり」の初日に快投を演じ、試合がなかった首位・巨人との差を1に縮めた。

 大入り満員に膨れ上がった甲子園には「あと1球」コールが響き渡った。マウンド上には先発・村上が君臨。投じた122球目は、力なく舞い上がる。右腕は、それを確信したかのように吠えた。右翼手・森下が最後のアウトをつかんだ。自身2度目、甲子園では初の完封勝利。チーム一番乗りの完封勝利に女房役・坂本と喜び合った。

 「(今季)開幕戦の時に(完封)できなかった。今日こそはと思って9回は上がった」

 絶対に投げ抜きたかった。9連戦中だからという理由だけではない。3月28日の開幕・広島戦では4点優勢の9回2死一、三塁で降板。「終盤になれば、その時のことを思い出す」。悔しさは、しこりのように残っていた。その雪辱を聖地で果たした。

 内角直球で攻めた。初回1死では警戒していたサンタナの懐に145キロ直球を決め、見逃し三振。反応すらさせなかった。2回2死二塁のピンチでも山田を144キロの内角直球で見逃し三振。抜群の制球力で相手を翻弄(ほんろう)した。昨季は7勝に終わった5年目右腕が早くも5勝目を挙げた。最多勝も夢ではないペースで勝ちを重ねている。

 「高さもコースも、良いところに投げられた」

 恒例の「ゴールデンウィーク こどもまつり」イベント初日。子供たちに勝利という最高のプレゼントを届けた。兵庫県・淡路島出身の右腕。生粋の虎党だった幼少期は、年1回だけ、家族とともに甲子園球場へ観戦に訪れた。「見に行くって決まった1週間以上前から楽しみにしていました」。1年に1度だけ、タテジマのレプリカユニホームを着て、大観衆の中で声をからす。夢のような時間だった。だからこそプロになった今、誓うことがある。

 「この1試合しか来られない子供が絶対いる。良い思い出にしてほしいし、勝った姿を見せたい」

 有言実行の完封劇。最後までマウンドに立ち続け、チームを今季最長の4連敗で食い止めた。「子供に勇気を与えられたというか。そういうのが今日はできたと思う」。少年少女のヒーローは、これからも目の前の一試合に全身全霊を傾ける。 (松本 航亮)

 ○…村上(神)がリーグ単独トップの5勝目でチームの連敗を4で止めた。今季は5勝のうち3度で連敗ストッパーとなっている。完封は23年4月22日の中日戦以来2年ぶり2度目、完投は2度の敗戦を含む5度目で、どちらも甲子園での達成は初めて。

 ○…チームは今季28試合目で初完投。阪神でシーズン初完投が最も遅かったのは07年の41試合目。17年35試合目、05年33試合目と続き、今回は4番目の遅さ。

スポーツニッポン

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