【番記者の視点】C大阪 それぞれの「覚悟」、「意地」が生んだ“2012年以来”勝ち点3
2025年5月4日(日)22時50分 スポーツ報知
C大阪・ルーカス・フェルナンデス
◆明治安田 J1リーグ▽第14節 京都2—3C大阪(3日・サンガスタジアム)
【関西サッカー担当・森口登生】それぞれの覚悟がぶつかり、ベストな結果を生んだ。前半12分から立て続けに2点を許したが、3点を奪い返す見事な逆転劇。2点を先取された後に逆転勝利を果たしたのは、2012年9月29日のJ1神戸戦(ホムスタ、3〇2)以来だった。
まずは18分に、反撃ののろしが上がる。左サイドでボールを持つFWチアゴアンドラーデから、今季初スタメンだったFW古山兼悟、MF上門知樹の2人が相手を背後に背負いながらつなぎ、最後はFWルーカスフェルナンデスがゴールにたたき込んだ。チームは主将のMF田中駿汰ら負傷離脱者が多い中で、古山、上門はやっとつかんだチャンス。この一戦に懸ける思いは、すさまじいものがあった。
「今日に関しては本当に魂というか、自分自身のサッカー人生を懸けるじゃないですけど。みんな少ないチャンスをものにしたいという思いでやっていますし、僕自身は今日それに懸ける思いが人一倍強かった」(上門)
「スタメンで決められなかったり、勝てなかったら『もうないな』というか。苦しいなというのは自分でも思っていた。やってやろうという気持ちは人一倍だった」(古山)
古山はその後同点弾も決め、プレーで思いを形にした2人にアーサー・パパス監督は「なかなか出番が回ってこない中でも腐らずに練習にしっかり打ち込んでチャンスをつかみ取った選手。しっかりと自分が出て結果を残すというところは意識してくれていた」。荒々しく、ピッチを走り続ける姿からは「ハングリー」という言葉では片付けられないものが伝わってきた。
同点の後半20分、ルーカスフェルナンデスのFKにMF中島元彦が頭を合わせてこの日初めてリードを奪った。特に最後はMF阪田澪哉も投入して5バックを徹底。指揮官も「30分程度しか練習できていない」と話した可変的システムを敷き、意地の1勝をもぎ取った。4日に結婚を発表したDF奥田勇斗も、10日間続いた発熱から病み上がりながらフル出場。「けが人も多々いる中ですけれど、監督が必要としてくれた。多くポジションができた方が自分的にも幅が広がる。やっていてすごく楽しい」と、可変システムにも抜群の順応を見せて危なげなく守り切った。
「人一倍」と言葉をそろえた2人をはじめ、90分を通していろんな人の魂がにじむ、そんな勝利だった。