井上尚弥が見せた“闘いの本質”を絶賛! 衝撃ダウンからの挽回劇にタイソン指導の名伯楽も脱帽「この男を好きになれないのか?」
2025年5月6日(火)11時0分 ココカラネクスト

井上との手に汗握る攻防を繰り広げたカルデナス。この両雄のパフォーマンスに賛辞は相次いだ。(C)Getty Images
衝撃的な挽回劇に百戦錬磨のトレーナーも舌を巻いた。
現地時間5月4日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで行われたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との4団体防衛戦で、8回45秒TKO勝ち。世界戦通算23KOで、歴代最多記録を77年ぶりに更新する快勝を収めた。
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無敗街道を突き進んできた井上にとって決して楽ではない一戦だった。刹那的に放たれた右ストレートを受けて鼻血を出すなどダメージを受けていた2回の終盤、接近戦での打ち終わりを狙いすまされて左フックを被弾。まさかのダウンを奪われた。
昨年5月に実現した東京ドームでのルイス・ネリ(メキシコ)戦以来、人生2度目のダウン。「必死に倒しに来ている」挑戦者の気骨を感じさせる一撃を被弾して崩れた井上だったが、ここで腹をくくった。
それまでよりも間合いを修正し、手数を増やしていった井上は、カルデナスのペースをあっという間に凌駕。6回から8回までに計64発のパワーパンチを打ち込んで試合を終わらせた。対策を練られた序盤の危機的な流れを考えれば、流石という他にない締めくくりだった。
研究し尽くしてきた相手の策を打ち破った井上。ラスベガスを熱狂させたモンスターの才覚は、米ボクシング界の名伯楽を唸らせる。米専門YouTubeチャンネル『THE FIGHT with Teddy Atlas』に出演したテディ・アトラス氏は「これだけは言っておきたい。みんな好き嫌いがあるだろう。それは理解している。しかし、どうすればこの男を好きになれないことがあるのか?」と強調した。
元世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)を指導するなど50年もボクシングに携わり、数多の猛者たちを手塩にかけてきた。そんな慧眼を持つアトラス氏は「イノウエは戦い方ってものを知っている。テクニックやパワー、情熱、全ての才能、そして切迫感をもって戦っているんだ」と指摘。追い詰められてから闘志を滾らせ、己を奮い立たせた井上の本質を声高に語った。
さらに「我々は彼がたくさんの金を稼いでいることは理解している。今週戦った多くのボクサーやトップのボクサーと同じようにね。彼はそれに値する」と熱弁を振るうアトラス氏は、こうも断言している。
「イノウエは今もなお貪欲さを失っていない。今日だって口座の残高が空っぽかのように戦っている! 家の冷蔵庫も空っぽかのように戦っているんだ! こんな男は好きにならずにはいられるわけがないだろ」
以前から井上を「全て優れているから偉大なんだ」「本当に怖い。まさに本物だ」と絶賛してきたアトラス氏。今回のカルデナス戦で見せた挽回劇は、そんな名伯楽の評価をより確固たるものにさせたようである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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