【筑後鷹】育成3年目左腕の宮崎颯「大どんでん返し」グラブに刻み飛躍を誓う

2025年5月6日(火)6時0分 スポーツニッポン

 ソフトバンクの育成3年目左腕、宮崎颯投手(24)が、飛躍のシーズンを送っている。3月の2軍戦デビューから4試合連続無失点など、存在感を示している。躍動感あるフォームは日米通算182勝の石井一久氏(51)を意識。入団後すぐに「内側側副じん帯再建術」(トミー・ジョン手術)を経験した苦労人は、グラブに刻んだ「大どんでん返し」へ突き進む。

 大ケガを乗り越え野球ができる喜びが宮崎からあふれ出ている。それが投球にもつながっている。3月25日のウエスタン・リーグ、広島戦(由宇)で公式戦初登板し、打者3人を完全に抑えた。デビュー戦からの無失点は5試合、8イニング目でストップしたが、4月まで7試合に登板して防御率2・53。「“打てるものなら打ってみろ”という気持ちで投げている」と強い気持ちをボールに乗せている。

 最速149キロの直球が武器。躍動感あるフォームは今年、より磨きがかかった。きっかけは春季キャンプ前のこと。担当の松本輝スカウトからヤクルトや大リーグのドジャースなどで日米通算182勝を挙げた石井一久氏(楽天取締役GM)の投球を参考にしてみてはと助言された。同じ左の速球派で直球中心の組み立て、フォームなどヒントになるという考えからだった。「ちょっと荒々しく投げるところ、真っすぐで押すところは重なると思ったので、いい部分を生かそう」と意識している。

 練習ではリリース時の左腕の動きを反復して確認している。直球を内角、外角に投げ分ける「ライン出し」の一環だ。冬場の自主トレから継続して、体に染みついてきたことが力強い直球を生んでいる。松山2軍監督は「横から見ても速いんですよ。バッターをほぼ差し込んでいる。手元で逆にスピードが増していく感じに映る」と高く評価する。

 グラブには「大どんでん返し」と刻んでいる。出遅れから始まったプロ野球人生。巻き返す思いが込められている。入団して間もない一昨年1月に「左肘関節左肘頭疲労骨折に対する骨接合術」「内側側副じん帯再建術」(通称トミー・ジョン手術)を受けた。昨年6月に実戦デビューするまで約1年半をリハビリに費やした。先の見えない日々を送り、精神的に苦しかったと振り返る。ボールを握るのが怖い時期もあった。「頭の中がパニック状態になっちゃって。野球をやっていて一番きつい時期でした」と明かす。

 森山リハビリ投手コーチ、太田利亨リハビリチーフらの支えもあり、苦しみもがいた日々を乗り越えて今がある。「そういう方たちのおかげでここまで上がってきたと思っています」。感謝の思いを結果で表す決意だ。 (杉浦 友樹)

 ◇宮崎 颯(みやざき・はやと)2000年(平12)6月14日生まれ、埼玉県上尾市出身の24歳。埼玉栄では甲子園出場なし。東農大から22年育成ドラフト8位でソフトバンクに入団。左肘の手術を受けた1年目の23年は登板なし。昨年は3、4軍の非公式戦で20試合に登板した。背番号165。1メートル80、93キロ。左投げ左打ち。

スポーツニッポン

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