【球影】関本賢太郎氏 二盗狙った阪神・坂本の判断はベストだった 5・1中日戦の重盗プレー
2025年5月9日(金)5時15分 スポーツニッポン
スポニチの豪華評論家陣が阪神戦でのワンシーンを振り返り、深掘りする企画「球影」(随時掲載)をスタートする。第1回は1日の中日戦。重盗により決勝点を奪われた5回の守備を、関本賢太郎氏が独自の視点で解説した。(取材・構成 畑野 理之)
2—2の5回裏だった。中日は2死一、三塁の好機を築き、打席には高橋周。1ボールからの2球目に一塁走者の上林がスタートした。捕手の坂本は躊躇(ちゅうちょ)せず二塁へ送球。投手・大竹の頭上を越えてから三塁走者の岡林が本塁へ走った。遊撃・小幡は坂本からの送球を捕球すると、途中でストップした上林を追いかけてタッチして3アウト。だが、岡林の生還がわずかに早く、タイムプレーにより得点が認められた。
してやったりの中日ベンチ。阪神も当然、重盗の可能性は警戒していた。坂本が二塁へ投げない、もしくは投手に返球していれば、二、三塁で決着は打者・高橋周との勝負に持ち越されていた…。結果的にこれが決勝点となり、阪神はそのまま2—3で敗戦。そのため、余計にクローズアップされるプレーとなったが、関本氏は二盗を阻止しにいった坂本の判断を支持した。
関本氏 もちろん無失点で切り抜けることがベストですが、あそこで捕手が投げないとか投手に返すような野球をやっていれば、激しい言い方になりますが、他球団にナメられます。全チームのスコアラーがチェックしている。同じ状況になれば各チーム走ってきます。二塁はタダになってしまう。
試合中盤の5回、ましてや開幕から27試合目の一戦だった。まだ目先の1点に固執するイニングでも、時期でもないという。
関本氏 8回、9回ならわかります。あと優勝争いの真っただ中とか、CSや日本シリーズのような短期決戦なら別ですが、まだ100試合以上も残っている。中日だけではなく、セ・リーグ他5球団すべてと戦っているのです。
同一リーグでは、年間25試合ずつ対戦するプロ野球ならではの戦い方。負けたら終わりの高校野球のトーナメントとは違う。仕掛けた中日も、現時点での阪神の対応を確認できた。今は攻める側も守る側も、手探りの攻防を繰り返している。
関本氏 夏の長期ロードが終わる頃、監督の言葉や雰囲気がバシッと変わる瞬間があります。選手は“あっ、一戦必勝モードに入ったな”と自然と感じます。そこまでは、勝負の秋に向けてチームを固めて、つくり上げていく時期。今は負けてもいいわけではないですが、絶対に落とせない試合、がむしゃらに1点を攻防する時期はいずれ来ます。その時は、坂本も小幡も勝ち越されないことを最優先にしたプレーをするでしょう。