大の里が綱取りへいきなり試練 夏場所初日に若元春、2日目に高安 先場所の本割で黒星の2人と対戦
2025年5月10日(土)6時0分 スポーツ報知
部屋の鏡を使って稽古に集中する大の里(カメラ・山田 豊)
日本相撲協会は9日、夏場所(11日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。春場所で優勝し、初の綱取りに挑む大関・大の里(24)=二所ノ関=は初日に幕内・若元春(31)=荒汐=、2日目に小結・高安(35)=田子ノ浦=と先場所の本割で敗れている難敵との対戦が組まれた。
綱ロードに、いきなり試練が訪れた。大の里は過去4勝2敗の若元春と初日、2日目は本割では2戦2敗の高安と対戦が決定。「先場所はこの2人に(本割で)負けている。最初の5日間乗り越えたら、いいものが出てくると思うので集中して乗り切りたい」と表情を引き締めた。
嫌な残像を拭い去るべく、初日への準備は入念だった。10日は朝から日本相撲協会の公式行事に出席するため、この日が事実上、場所前最後の稽古。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が見守る中、三段目の藤宗(20)と計6番の相撲を取った。大の里の得意は右四つ、対する若元春と高安は左四つ。取組は差し手を争うことが予想される。初日を想定してか187センチ、147キロの若元春とほぼ同じ体格の藤宗を指名し、相手の形になった場合にも備えて左差し、右上手の動きまで確認した。「まずまず良い」と視線を上げた。
大の里は先場所、優勝決定戦で高安を退けて賜杯を抱いた。横綱審議委員会の推薦内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、綱取りで連敗スタートから昇進した例はない。大の里も過去3度優勝した場所は5日目までを4勝1敗以上で乗り切っている。高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「前に出て力で圧倒するような相撲を取ってほしい。そこが魅力で持ち味」と夏場所の主役に期待を寄せた。
序盤を乗り越えた先にあるのが最速横綱だ。今場所後に昇進すれば所要13場所となり、昭和以降では羽黒山、照国の初土俵から同16場所を抜く。年6場所制となった58年以降でも、同じ石川出身の輪島の同21場所を更新する。注目される15日間を前に大の里は「世間の声は聞こえてくるが自分のペースで。目の前の一番一番頑張りたい」と冷静沈着。2年連続の夏場所制覇で、番付最高位まで駆け上がる。(山田 豊)
◆綱取り成功者の序盤戦 1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、横綱に昇進した34人のうち、初日から連敗して綱取りに成功した例はない。5日目までに2敗で昇進したのは59年春場所の朝潮のみ。
◆大の里の春場所優勝VTR 3連勝発進も、4日目に若元春に押し出されて初黒星。10日目にはトップタイで並んでいた高安に寄り切られて、2敗目を喫した。千秋楽は12勝3敗で並んだ高安との優勝決定戦に。送り出しでリベンジを果たし、自身3度目の賜杯を抱いた。