「いい場面で…」吉川尚輝男泣き 巨人の連敗止める1号逆転V3ラン

2025年5月17日(土)5時0分 スポーツ報知

逆転3ランを放った吉川は雄たけびを上げてホームインする(カメラ・小林 泰斗)

◆JERA セ・リーグ 巨人4ー2中日(16日・東京ドーム)

 巨人が吉川尚輝内野手(30)の逆転3ランで連敗を4で止めた。1点を追う8回2死一、二塁、右翼ポール際に今季1号をたたき込み、お立ち台で男泣きした。チームの苦境で飛び出した一発で借金生活突入を回避。中日のドラフト1位左腕・金丸を打ち砕く増田陸内野手(24)の2号ソロと、先発・赤星優志投手(25)の6回1失点の粘投に報いた。

 吉川がバットを振り抜き、動きを止めた。祈った。「抜けてくれ」。スタンドに届くかも分からなかった白球は右翼ポールギリギリに飛び込んだ。行方を確認すると誇らしげに右手を掲げ、握りしめた。今季1号が逆転の決勝3ラン。魂のひと振りで連敗を止めた。歓喜のお立ち台では涙をこらえ、声を震わせながら、主軸として苦しんだ胸の内を明かした。

 「連敗中で、チームとしても苦しい状況で、僕もなかなかいい場面で打てないこともあったので」

 技ありの一撃だった。1点を追いかける8回2死一、二塁。初球だ。斎藤が投じた内角高めのボール気味の125キロスライダーに反応。両腕をたたみながら体を回転させて放物線を描いた。ベンチの阿部監督は両腕を上げて喜びを爆発。指揮官は「スローで見たらすごいボールを打っていた。尚輝しか打てないんじゃないかな。もう一回打てと言っても打てない。悪い流れを一掃して本当にチームを助けてくれた」と吉川らしい天才的な一発を褒めちぎった。

 もがいた。不動の4番だった岡本が6日の阪神戦(東京D)で左肘靱帯(じんたい)損傷で離脱。不在となった4番に吉川も2試合起用されたが、沈黙した。3番に戻ってからも好機で一本が出せなかった。前日15日の広島戦(マツダ)でも2度の得点圏でいずれも凡退。責任を一身に背負っていた。自主トレを一緒に行い、これまで苦楽を共にしてきた岡本が離脱してから初打点。やっと苦しみから解放された。

 チームリーダーとしての役割を担う。「自分よりも若い選手が多くなったなと思う。ちゃんと姿で示していけるように」と自覚は強い。今季、躍進している後輩の復調にもひと役買った。4月中旬。打撃不振にあえいでいた若林に寄り添った。悩める背番号59に打撃について助言した。そこからトンネルを抜けた若林は「(吉川に)疲れている時のスイングの対処法を聞いてはまった」と感謝。吉川自身は「気合で打てと言っただけ」とけむに巻いたが「試合に出続ける難しさってあるからね」と思いやった。

 チームに再び貯金をもたらした。主力が離脱する中で、全員で戦っていくことを強調。「和真も、坂本さんも、丸さんもそうですけど、こういうチーム状況で戦わないといけないのはみんな分かっている。陸とかも結果を残して、中堅の選手も火がつく。チーム一丸で頑張ります」。責任感あふれる背番号2とともに巨人が息を吹き返した。(宮内 孝太)

お見事!体の開き我慢

 ◆村田真一Point いやぁ、お見事! 尚輝はほんまよく打ったよ。あの場面、初球のスライダーが抜けてきたけど、かえってインコースの難しいところにきた。それを体の開きを我慢して、右肘をきれいにたたんでバットを内側から出すように打ったから、右翼ポール際の打球が切れなかったね。外から遠回りするような軌道だったらファウルになってたはずよ。

 ヒーローインタビューでは感極まってるようにも見えたけど、岡本が故障で離脱してチームが苦しい中で、主軸として背負う思いもあったはずよ。一つ息をついて、これからも引っ張っていってほしいね。

スポーツ報知

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