打者相手の投球で前進も「すべてが未定」 ド軍投手コーチが打ち明けた“投手・大谷”の現況「ショウヘイは完全なる例外だ」
2025年5月24日(土)16時30分 ココカラネクスト

打者相手の投球が決まり、また一歩、本格復帰に進んだ大谷。(C)Getty Images
ついに「投手・大谷」が実戦のマウンドに帰ってくる。
現地時間5月23日、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、右肘側副じん帯の損傷からの復帰を目指してきた大谷翔平が、現地時間24日に行われるメッツ戦を前に実戦形式の練習で打者相手に投球をすると明言した。
【動画】大谷翔平がまさかの素通り…千賀滉大が苦笑いのシーン
ようやく実戦のマウンドにまでたどり着いた。大谷が最後に登板したのは、23年9月に右肘への手術を執行する前の同年8月23日のレッズ戦以来、実に640日ぶり。春先からブルペンでの本格的な投球練習は行ってきたが、打者相手の投球は二刀流の再始動に向けた大きな前進と言えよう。
球界を席巻した「投手・大谷」の本格復帰は、米メディアでも一大トピックとして扱われている。米版『Yahoo! Sports』のジャック・ベア記者は「実際の復帰時期はまだ不透明だ」と前置きした上で「オオタニは二刀流復帰に向けて新たな節目を迎えた」と強調。今後のリハビリ計画を見通した。
「ドジャースは、先発ローテーションの強化が必至の状況だとしても、オオタニの復帰を急ぐつもりはないことだけは明らかだ。彼が復帰すれば、長年計画していた6人ローテーションに移行でき、故障しやすい投手陣への負担が軽減される。しかし、ドジャースはナショナルリーグ西地区首位につけている。そして彼らにとっての最優先事項は、ポストシーズンが始まるまでに万全の状態になることだ」
早期復帰を望む声は確かにある。しかし、ベア記者が指摘する通り、ドジャース首脳陣に焦りは見られない。彼らは徐々に強度を高めながら、着実にステップを踏んでおり、レギュラーシーズンの終盤からポストシーズンでの復帰登板に重きを置いているように見える。
実際、リハビリを熱心に支えてきたマーク・プライアー投手コーチも「はっきりとした復帰時期を言うのは賢明じゃない」と冷静に語る。
現地時間5月22日にドジャースの専門サイト『Dodgers Territory』のYouTubeチャンネルに出演したプライヤー投手コーチは、「個人的な経験、そして組織としても興味深いリハビリだった」という大谷の復帰プロセスを振り返っている。
「通常、我々は投げることだけを仕事にしている選手と向き合っている。だから、どのくらい投げればいいか、疲労や筋肉痛が出るタイミングや、負荷をかけられる時期もだいたいは予想ができる。そして、過去に同じ怪我をした投手の実例をもとに対応していける。でも、ショウヘイの場合はすべてが特別。完全なる例外だった」
大谷のリハビリを通して「学びになった」と振り返るプライヤー投手コーチは、「確実に進んではいる。ここ数回のブルペンでの投球では、あらゆる球種の強度をかなり上げた」と断言。一方で打撃面での活躍が求められる二刀流戦士特有の課題も語った。
「打者相手に投げるのは現実的な範囲内の目標だった。ただ正直に言えば、彼の攻撃面での負担や身体が受けるストレスの影響を考えると、すべてが『未定』でもある。ここでこうするとは言い切れない部分はある」
プライヤー投手コーチの言葉を鵜呑みにすれば、試合で投げるのはやはりまだまだ先と言える。だが、その歩みは遅くとも、投手・大谷は一歩ずつ着実に栄光のマウンドに向けて前進しているのは間違いない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]