ド軍投手コーチが告白した怪物の“苦境” 悩める佐々木朗希の再生計画とは?「今は日本にいた時と比べても落ちている」

2025年5月25日(日)5時30分 ココカラネクスト

メジャーリーグの壁にぶつかる佐々木。その姿をドジャースの首脳陣はどう見ているのか。(C)Getty Images

先発ローテのやりくりに奔走する首脳の本音

「間違いなく課題が山積みなのは確かだ。本当に特異な状況だとは思う。当然だけど、怪我人の影響は大きく受けている。ただ、これは野球界全体に広まっていると思う。とくに投手の怪我は私たち以外のチームも悩まされている」

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 これは現地時間5月22日にドジャース専門のポッドキャスト番組『Dodgers Territory』に出演したマーク・プライヤー投手コーチが、故障者が絶えない自軍の投手編成に漏らした言葉だ。「課題が山積み」という一言には、とくに先発ローテーションを含めたやりくりに奔走している首脳の本音がにじみ出る。

 実質5年と短命に終わった現役キャリアの後に指導者に転身。ドジャースでは7年の経歴を積んだプライヤー投手コーチ。その経験の中で、球界の変化を目の当たりにしてきた44歳は「あらゆるテクノロジーや技術が進化してきたが、いまだに怪我の発生だけは防げない」と吐露。「それは選手たちにとって気の毒だし、球団のプランにも大きな影響を及ぼしている」と球速の高速化などによって投手の負荷が高まっている現状を憂いている。

 そんなプライヤー投手コーチが気に掛けるのが、今季からドジャースの一員となった佐々木朗希だ。今月13日に「右肩のインピンジメント」で15日間の負傷者リスト(IL)入りとなったルーキーについてはいまだに明確な復帰時期は示されていない。

 離脱する以前から違和感を抱えながら投球を続けていたという佐々木。開幕前から「日本からやってきた怪物投手」として期待を高めていただけに、その現状は決して順風満帆と言えるものではない。

 そんな日本人ルーキーをサポートするプライヤー投手コーチは、「最初の数試合後に調子を落としたのは、どれほど肩の影響を受けていたのかを断定するのは正直に言えば難しい」と指摘。佐々木の怪我がロッテ時代から悩まされていたものだとした上で、自身が考える佐々木の将来を口にしている。

「今の彼には2つの異なる道筋が示されている。ひとつは成長もしくは育成に回るプロセス、そしてもうひとつはメジャーリーグで結果を出させるプロセスだ。その両立は決して簡単じゃない。これはよくマイナーから上がってきた選手に見られることだが、彼らはメジャーリーグに上がってきた時に成功を掴もうとして混乱を生じるんだ。ササキに関しては肩の問題が何かしらの影響を及ぼしたのは間違いない。実際に球速は明らかに下降傾向にあったからね。我々は今後も育成的なアプローチで作業をしていくと思う」

試行錯誤を重ねながら、苦心する佐々木。そんな若武者を支えるプライヤー投手コーチが語る「復帰計画」とは。(C)Getty Images

「全員が確信した段階で、ボールを握らせる」

 佐々木が発展途上の段階にあると断言するプライヤー投手コーチは、「最終的に彼自身が肩の問題を打ち明けてくれたことはとても良かった」と吐露。「彼は肩のコンディショニングなど全体的に課題に取り組む必要があったから、状態を見定める意味でも彼と話し合えたことはポジティブだ」と自己申告によって右肩痛を申し出た本人の振る舞いを評価し、佐々木の復帰計画の一端を明かした。

「今はまた投げられるように肩の状態を万全に整えることに重きを置いている。彼自身を含めて関係者全員が『これならいける』と確信した段階で、ボールを握らせるつもりだ。そこからチーム全体で調整し、微調整をかけるべき部分を突き詰めていく。

 例えば、速球の質や変化球の織り交ぜ方、あとは全体的なコマンドの改善だね。そこは日本にいた時と比べても、少し落ちているように私は思っている。打者にとって打ちやすい球や読みやすい配球にならないようにさせたい」

 メジャーリーグを支配するレベルに至るまでの道のりは、決して容易くはない。それでも「ふたたびメジャーリーグで投げさせるようにする」と力説するプライヤー投手コーチのサポートを受ける佐々木の進化に興味は尽きない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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