【独占手記】楽天・浅村 憧れの西武の先輩2人追いかけて エリートでない自分が出会いに恵まれ...感謝

2025年5月25日(日)5時30分 スポーツニッポン

 ◇パ・リーグ 楽天2—1日本ハム(2025年5月24日 楽天モバイル)

 涙の金字塔だ。楽天の浅村栄斗内野手(34)が24日、日本ハム戦の初回に決勝の右前適時打を放ち、史上56人目、平成生まれでは初の通算2000安打を達成した。プロ17年目で34歳6カ月での到達は史上7番目の年少記録。打撃不振でパ・リーグ記録を更新していた連続試合出場が1346試合で途切れるなど苦しんだ末に本拠地の楽天モバイルパークで成し遂げ、スポニチ本紙に独占手記を寄せた。

 うれしいというよりも、一番はホッとしています。(お立ち台で)泣くなんて想像していなかった。2000本で涙を流す人なんていないでしょ?恥ずかしいです。うれしい気持ちのはずなんですけど、それがいつの間にか苦しいなと変わって。いろいろな感情が出てきて、涙を止められませんでした。

 ここまで来ることができたけど、僕は決してエリートじゃないと思っています。打てなくてもミスしても歴代の監督に使っていただいた。若い頃はそれを意気に感じて、なんとかしたいと思ってやってきた。当時の仲間もそうだし、出会いに恵まれた。野球がなかったら今何をしていたのかも分からないし、本当に感謝しかないです。

 子供の頃は(松井)稼頭央さんが好きでした。97年の球宴で古田さんから盗塁を決めまくっていて格好良かった。18年に西武で1年間だけ一緒にプレーさせてもらいましたけど、最初は不思議な感じでした。楽天での2000安打達成は稼頭央さん以来。好きだった人に続けたのは感慨深いものがあります。

 プロに入ってから憧れたのは中島(宏之)さん。開幕前に“やめるわ”と電話がかかってきた時に“3000本を目指せ”と。さすがに無理ですと言いましたけど…。安打数(1928)では抜いたかもしれませんが、超えたという感覚は全くないです。

 その中島さんが抜けた13年が激動でした。遊撃で出場したDeNA戦で守備のミスをして、当時の渡辺久信監督にベンチの真ん中で激しく怒られた。直後の打席も空振り三振ですぐに交代。でも、僕も意地になって監督の前に座って、めちゃくちゃ声を出した。普通だったら2軍でもおかしくなかったけど、翌日はまさかのプロ初の4番。それがシーズン最後まで続いて打点王を獲れた。何年か後に人づてに、ベンチでの姿を見て“4番で使おう”と思ってくれたと聞きました。あそこが自分のターニングポイントですね。

 盛岡(20日の西武戦)で連続試合出場が止まりました。結果が出ていないし、最近はチームも勝てていないので、どこかで記録は途切れるだろうなと感じていました。しんどくてもケガをしていても調子が悪くても僕が打たなければ…というプレッシャーを感じながらずっとやってきた。10年以上続いていたので正直、簡単には切り替えられませんでした。途切れて“じゃあ、明日からまた頑張ろうってなれるほど簡単なものじゃない”と言ってくれた人もいました。妻とも“これで腐るのは違うよね。腐らず頑張ろう”と話し、もう前を向いています。

 世代交代という声もありますが、僕に代わる選手って自分の中ではいないと思っています。僕がまだやらないといけないというプライドも使命もまだ持っている。FAで来て昨年までの6年間で優勝できず、自分に物足りなさは感じますが、今年もその先もチャンスはある。2000安打を達成しましたが、もう一回、一からではないけど、やっていきたいなという気持ちになっています。(東北楽天ゴールデンイーグルス内野手)

 ◇浅村 栄斗(あさむら・ひでと)1990年(平2)11月12日生まれ、大阪府出身の34歳。大阪桐蔭では3年夏に甲子園優勝。08年ドラフト3位で西武入団。13、18年に打点王。19年にFAで楽天に移籍し20、23年に本塁打王。19年プレミア12と21年東京五輪の日本代表に選出。両大会で優勝した。1メートル82、90キロ。右投げ右打ち。

スポーツニッポン

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