育児とゴルフの両立を目指す神谷和奏 19歳で出産後に女子プロテストに合格した24歳
2025年5月25日(日)15時54分 スポーツニッポン
◇ゴルフ・マイナビシニア&レディース(2025年5月25日 千葉県柏市・藤ケ谷CC)
落ち着いた口調が印象的な神谷和奏(24)は、今の心境を「焦らず、1日1日を大事に過ごしたい」と話した。男女シニアと女子、アマチュアが同組で回る異色の大会。優勝者にマスターズGCレディースの出場権が与えられる女子レギュラーで、惜しくも2位だった。「総合優勝を狙っていたので、悔しい」と、こちらは素直に感情をのぞかせたが、出産からプロテスト合格を経ての現在を振り返る言葉には、葛藤を乗り越えた重みがにじんだ。
3歳で始めたゴルフはプロを目指したが、19歳だった2021年に妊娠し、19歳で長女・咲凜(えみり)ちゃんを出産した。「結婚や出産をしたら女子は終わり」という声もあったが、妊娠中にツアーに出場していた横峯さくらの姿が「励みになった」と言う。「やれるところまで、ゴルフをやろう」。周囲の支えもあり、出産前に決断した。
出産3日前まで練習を続け、出産1カ月後に練習を再開した。しかし、ダフってばかりでスイングが戻らない。1カ月の休養をしたが、その間も「家族も周囲も、みんなで応援してくれた。挑戦させてもらえたこと自体が大きかった」と、気持ちは途切れなかった。
22年に初挑戦したプロテストは、不合格だった。「その時は、わたしが育てるんだ、というプライドもあって、娘を保育園に入れなかった。誰にも渡したくなかった」。一方で「育児もゴルフも、どっちも中途半端になって、葛藤があった」と言う。その時に「頼ることを覚えた」と振り返る。家族に、保育園に頼ることで「逆に責任と覚悟が生まれた」。気持ちの変化は、23年のプロテスト合格という結果になって、神谷を前に進めてくれた。
プロになっても、ツアーに出場できるわけではない。今は、シードを目指してマンデーに挑戦したり、推薦を得たりする日々が続く。それだけに、マイナビでの優勝を逃した悔しさは大きかったが、穏やかな表情と口調で、続けた。
「今は娘との時間も大事。今は焦らず、将来、今が大事だったと思えるように過ごしたい」
得がたい経験と、若者らしい葛藤を乗り越えて今があり、未来もある。神谷は前向きに、日々を大切にしながら、レギュラーツアーへの道を少しずつ歩んでいく。