【オークス】51歳4か月22日 独の名手がカムニャックでレース史上最年長V「日本のG1を勝つことが夢でした」
2025年5月26日(月)6時30分 スポーツ報知
頭差で制したカムニャック(手前=カメラ・池内 雅彦)
◆第86回オークス・G1(5月25日、東京競馬場・芝2400メートル、良)
第86回オークスは25日、東京競馬場で行われ、4番人気のカムニャックが差し切ってG1初制覇を飾った。アンドレアシュ・シュタルケ騎手=ドイツ=はJRA・G1初勝利。51歳4か月22日はレース史上最年長Vとなった。友道康夫調教師(61)=栗東=は、現役単独最多のクラシック7勝目。2歳女王のアルマヴェローチェは頭差2着、桜花賞馬エンブロイダリーは9着に敗れた。
2歳女王を競り落とし、堂々と3歳牝馬の頂点に輝いた。最後の直線で大外へと導かれたカムニャックは、じわじわと加速を開始。シュタルケの懸命のアクションに呼応すると、残り200メートルからは内から抜け出したアルマヴェローチェとの一騎打ち。背後から一完歩ずつ忍び寄ると、グイッと頭差出たところが樫の女王の座へのゴールだった。重賞初制覇のフローラSに続いてコンビを組んだ独の名手は「前が開いてから、すごくいい脚でした。最後まで気持ちが切れなかったので勝ったと思いました」と喜んだ。
11年にドイツ人騎手として初めて凱旋門賞制覇(デインドリーム)を果たした大ベテラン。97年の短期免許での初来日から28年がたち、初のG1タイトルを手にした。天皇賞・春(ビザンチンドリーム)で頭差2着に敗れた雪辱を果たし、「日本のG1を勝つことが夢でした」。51歳4か月22日はレース史上最年長V記録(これまでは09年安藤勝己元騎手の49歳1か月27日=ブエナビスタ)で、日本の競馬史に名を刻んだ。
オークス初勝利となった友道調教師は、池江調教師を超えて現役単独トップのクラシック7勝目。JRA・G1・23勝目は池江師に並ぶ現役最多勝利となった。指揮官は「ゴールの瞬間は負けたかと思ったけどね。折り合いを心配していたけどシュタルケが完璧に乗ってくれた。前走のダメージは全くなかったし、毛づや、落ち着きなど、いい感じで出走できた」と振り返る。中3週で再度の東京遠征だったが、名トレーナーは繊細な3歳牝馬に確かな上積みを加えて送り出し勝利に導いた。
ディープインパクトをはじめ、幾多の名馬でG1を制してきた金子真人オーナーも驚きを隠さない。自らが所有したブラックタイドの娘で、10年アパパネ以来の勝利に「勝つとは思わなかったから。勝ち慣れてる僕も最後は珍しく興奮したよ。さすがシュタルケだね」と手放しでたたえた。
秋華賞(10月19日、京都)での牝馬2冠を目指し、見据えるのは古馬が相手となる秋の大舞台。友道師は「春は間に合ったという感じ。秋は良くなってくると思う。秋以降は2000メートル以上のG1で頑張ってくれたら」と期待。95年にオークスを制したダンスパートナーのひ孫が、さらなる高みを目指す。(石行 佑介)
◆カムニャック 父ブラックタイド、母ダンスアミーガ(父サクラバクシンオー)。栗東・友道康夫厩舎所属の牝3歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算5戦3勝。総獲得賞金は2億4442万1000円。主な勝ち鞍は25年フローラS・G2。馬主は金子真人ホールディングス(株)。