阪神・湯浅 3年ぶり回またぎで首位陥落阻止「良い流れ持ってこようと」 藤川監督「彼と話し、迷いなく」
2025年5月26日(月)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神5—1中日(2025年5月25日 バンテリンD)
阪神は、同点の9回に勝ち越し、中日を5—1で下した。負ければ首位陥落だった一戦で、湯浅京己投手(25)が7回から救援。22年9月以来3年ぶりとなる回またぎで2回を零封し、今季2勝目を挙げた。これで自己最長となる開幕から11試合連続無失点。自身と同じ国指定の難病「胸椎黄色じん帯骨化症」から復活した中日・福敬登投手(32)と復帰後初めて同じマウンドで投げ合い、堅首に貢献した。
8回のピンチを封じると、湯浅は力強く拳を握った。絶対に流れは渡さない——。そんな右腕の気迫が伝わり、9回に4点を勝ち越し、勝負を決めた。23日に続き、今季2勝目。ただ、自らの殊勲を誇ることなく、試合後は先発した伊原へのねぎらいを口にした。
「伊原がすごくいい投球をしていた。なんとか良い流れを持ってこようと」
同点の7回から2番手として登板した。2三振を奪うなど、わずか11球で3者凡退。22年9月21日広島戦以来3年ぶりの回またぎとなる8回に向かうと、最後は2死一、二塁からカリステを右飛に封じた。最速150キロの直球とスライダーを軸に、2回無失点。負ければ首位陥落となる一戦での好投に、藤川監督は「段階を踏んできた。彼の状態、球数含めて彼と話したので。迷いなく」と振り返った。
つらい時期を支えてくれた人物と、初の競演も果たした。9回途中から、中日・福が登板。同じ「胸椎黄色じん帯骨化症」を発症し、湯浅より2年早い22年に手術を受けた。SNSでメッセージを送ると、励ましの返信をくれた左腕。右足の感覚がなくなる症状について相談した際は、リフティングなどサッカーボールを使ったリハビリ法を教えてくれた。
そんな福と初めて対面したのは、4月4日のウエスタン・リーグ、中日戦だった。経験談を聞き、悩みを打ち明けることで、心が救われた。その別れ際、2人は約束した。
「次は1軍で」
あれから51日。一足早く降板した湯浅は、三塁ベンチから福の投球を見つめた。ともに闘病を乗り越えた過去がある。だからこそ、湯浅はしみじみと「感慨深い。これからも頑張ろうという気持ちになった」と語り、「一緒の試合で投げられたのは本当にうれしい」と笑った。
福だけでなく、DeNA・三嶋らに支えられ、湯浅は1軍のマウンドに返り咲くことができた。「自分が(福らから)勇気をもらいながらリハビリを頑張れた。自分もそういう存在になれたら」。スポットライトを浴びる1軍で腕を振り続け今度は自分が“支える人”になる。(松本 航亮)
≪2イニングは3年ぶり3度目の自己最長≫湯浅(神)の2イニング投球は22年4月8日の広島戦、同9月21日の広島戦に続く3年ぶり3度目の自己最長で、イニングまたぎも同じく通算3度目。シーズン2勝は22年に並ぶ自己最多。開幕からの連続無失点は11試合、11イニング1/3となり、23年に記録した開幕10試合、10イニング連続を両方上回る自己最長とした。
≪阪神の救援防御率1.75 12球団唯一の1点台≫この日は岩崎と2人の救援で3回を無失点。チームは12球団トップの防御率2.21を誇るが、救援防御率に限れば1.75で12球団唯一の1点台と圧倒的だ。