日本ハム・孫易磊 マウンドさばきだけでない 驚かされたこと
2025年5月27日(火)8時0分 スポーツニッポン
期待ばかりが膨らむ。日本ハムの台湾出身右腕・孫易磊(スン・イーレイ)投手(20)が今季に育成2年目を迎え、22日に支配下選手登録された。同日のソフトバンク戦でデビューし、2回1安打無失点とほぼ完璧な内容でプロ初ホールドをマーク。25日の楽天戦でも1回完全投球で2試合連続無失点とした。
現状は中継ぎでの起用が続くが、新庄監督は将来的に先発起用の構想を描いており「15は勝てる投手になってほしい」と願う。20歳とは思えない落ち着いたマウンドさばきには、取材側としても驚かされたが、何より凄いと感じるのが日本語習得のスピードだ。
22日のエスコンフィールドでの支配下登録発表会見の冒頭では「私は日本ハムファイターズの背番号96番、孫易磊です。これからよろしくお願いします」といきなり日本語であいさつ。流ちょうすぎるあまり、会見場で「おおっ」と小声で言ってしまった。いつ勉強したかを問われ、ここも日本語で「日本に来てから始めました」と普段から勉強に励んでいることを明かした。
来日からわずか1年半ほどで、簡単な短文や単語はほぼ聞き取れるレベルにまで成長していた。球団スタッフも「日本語は凄い練習していて、リスニング力も上がってますよ」と感心していた。実際に、顔を合わせた際に「おはようございます」とあいさつすると、常に「おざすっ」と日本流のあいさつを返してくれる。
さらに、人気ボクシング漫画「はじめの一歩」が大好きで、主人公「幕之内一歩」の大ファンの右腕は、練習用グラブに「IPPO」と刺しゅうをしている。日本語で「一歩の刺しゅう入れてるんですね」と声を掛けると、間髪入れずに「はい!一歩好きです」と返してくれた。昨年に19歳で海を渡り、環境に慣れることさえ大変なはずなのに、日本語を学ぶ努力をしていることは、いち日本人として凄くうれしい。次に会った時は、記者も異文化を受け入れてくれる感謝を込め、「早上好(おはようございます)」とあいさつしてみようと思う。(記者コラム・田中 健人)