【日本ダービー】千葉直人師 ニシノエージェントで初挑戦!「大切な財産になると思う」

2025年5月28日(水)5時30分 スポーツニッポン

 春のG1シリーズ水曜企画は「G1追Q!探Q!」。担当記者が出走馬の陣営に「聞きたかった」質問をぶつけて本音に迫る。「第92回ダービー」は、東京本社の高木翔平(35)が担当。ニシノエージェントでダービー初挑戦の千葉直人調教師(38)を取り上げる。「オーナーへの思い」「ダービー仕様へ」「大活躍の同期たち」の3テーマで聞いた。

 競馬の道を志すきっかけになった馬がいる。北海道生まれの千葉師は99年札幌記念の日、父に連れられて札幌競馬場へ。勝った芦毛の2冠馬、セイウンスカイがどこまでも格好よく見えた。06年騎手デビュー、24年に調教師として開業。厩舎に初勝利(24年4月14日、中山10R)を届けてくれたのは、くしくも同じ冠名のセイウンプラチナだった。

 千葉師は「西山茂行オーナーには本当に感謝していますし、何かの縁を感じてしまいます」としみじみ。そして、その西山オーナーから預託されたニシノエージェントは京成杯で厩舎の重賞初Vを飾った。皐月賞(13着)に続き、ダービーの大舞台を踏む。

 「正直、緊張はしています。でも今後30年ほど続く調教師生活の中、これだけ早くダービーの舞台を経験させてもらえるのは大切な財産になると思っています。セイウンスカイが唯一、勝てなかったクラシックレースをオーナーにプレゼントしたい」と力強く語った。

 皐月賞から400メートルの距離延長。中間、ニシノエージェントは長距離仕様にチューンアップされている。「皐月賞はギュッと芯が入ったようなイメージでしたが、今回は少しゆったりめにつくっている。カイバや配合飼料の量を変えて、角馬場でも長めに乗ったり。それでいて気持ちは追い込まないように。いろいろと工夫をしています」。

 過酷な2冠を戦い抜く上で試行錯誤の日々。その中で知ったのはかつての名馬たちの凄み。「キングカメハメハ、ディープスカイはNHKマイルCを勝ってからのダービー優勝ですよ。皐月賞よりもっと距離が延びている。うちも今年のNHKマイルCにモンドデラモーレ(4着)を出走させましたが、その後に2400メートル仕様に調整したというのがちょっと信じられない。調教師になってみて分かる凄みでした」。調整の難しさを語りつつもどこか楽しげ。新鮮な経験の全てが若き指揮官の血肉となっている。

 24年開業の調教師が活躍している。同じく美浦で厩舎を構える森一師はエンブロイダリーで桜花賞V、ヴィンセンシオを皐月賞に送り出した。藤野師はドラゴンブーストで同じダービーの舞台に立つ。同期の勝ち頭は素質馬を多数擁する福永師。千葉師は2年目で3歳春G1の皐月賞、NHKマイルC、ダービーに管理馬を送り出す。「皐月賞には(同期が)3人いましたからね。競馬場では和気あいあいと話しますし、同期で助け合えるところは助け合うという気持ちがあります。その中で切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていきたい」と笑顔を見せた。

 勢い十分の“24年開業組”から目が離せない。

 ◇千葉 直人(ちば・なおと)1986年(昭61)7月30日生まれ、北海道出身の38歳。06年3月に騎手デビュー。JRA通算984戦24勝で、12年11月に引退。藤原辰雄、鈴木伸尋厩舎の調教助手を経て23年に調教師免許を取得。24年3月に厩舎開業。JRA通算264戦14勝。

 【取材後記】千葉師はいつも取材に協力してくれる。「記事に取り上げてもらえることが千葉厩舎のアピールにつながるし、自分がどんどん発言していきたいと思っています」と語る。それでも皐月賞、ダービーの取材攻勢はそれまでの比ではなかったようで「レースが近づくにつれて取材が増えて緊張感も増してきました。皐月賞とNHKマイルCはやっぱり競馬場の雰囲気が違ったし、ダービーはそれ以上なんでしょうね。正直、緊張しています」と話す。初ダービーを前に考えることはたくさんあるだろう。ニシノエージェントの気配は気になるが、千葉師の負担にならないように話を聞いていきたい。 (高木 翔平)

スポーツニッポン

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