Moto2小椋藍、待望の表彰台カムバック。悔しさ混じるも安堵の2位/第8戦オランダGP

2023年6月26日(月)6時45分 AUTOSPORT web

 Moto2クラスの表彰台に、小椋藍(イデミツ・ホンダ・チームアジア)が帰ってきた。MotoGPの2023年シーズン前半戦締めくくりとなる第8戦オランダGPで2位を獲得して、TT・サーキット・アッセンのポディウムに立ったのだ。


 2023年シーズン前半戦、小椋は苦しんでいた。2022年シーズンは最終戦バレンシアGPまでMoto2タイトルを争い、ランキング2位を獲得した小椋が、優勝も表彰台も獲得できずにシーズンを送っていた。


 大きな原因は、シーズン開幕前に負った左手首の骨折、脱臼だ。この負傷により、小椋はプレシーズンテストに参加できず、開幕戦ポルトガルGPを欠場して出遅れた。第2戦アルゼンチンGPにはエントリーしたが、決勝レースはウエットコンディションとなったためにリスクを避けるため欠場。完全復帰となったのは第3戦アメリカズGPからだ。


 復帰後、小椋の成績は低迷していた。第7戦までの自己ベストリザルトがフランスGPの9位、ということからも、苦戦ぶりがうかがえる。フランスGPでは「またトップ争いができたり、プラクティスで上位にいられたりするのがいつになるのかはわからないです。ただ、できるだけ早くそうなるように頑張るだけです」と語っていた。その言葉に、小椋の苦悩が漂っていた。


 そんな小椋のイタリアGP、ドイツGPと続く3連戦最後のレースとして迎えたオランダGPは、初日から好調だった。初日総合としては4番手につける。前週のドイツGPが、一つポイントだった。


「ル・マン(フランスGP)からイタリアまで空いた期間に、テストをしたんです。そのあとのイタリアではいろいろな方向を試してみたんですが、あまり機能しなくて。そのあとのザクセンリンク(ドイツGP)では全部、マシンづくりも含めて2022年に近い形にしました」


 ドイツGPは14位。ただ、小椋が得た感触は前向きなものだった。厳しいレースウイークだったことに変わりはないが、方向性は悪くない、と思えた。ここでおおよその方向性が定まったのだろう。


「結果はよくなかったんですけど、フィーリングとしては自分が好きな方向だった。ザクセンリンクは去年も苦戦したので仕方がないとして、今回(オランダGP)だなと思っていたんです」


 土曜日午前中のプラクティス3では、トップ。このセッションでは全体としてタイムが上がったが、その中で小椋はオールタイムラップ・レコードを更新するタイムを叩き出した。そしてQ2から挑んだ予選では、3番手。今季初のフロントロウを獲得したのだった。


 土曜日を終えた後、フロントロウ獲得にほっとしたのでは? と聞けば「予選だけじゃなく、プラクティス含めて」と肯定する。優勝、表彰台争いをする流れはできていた。


 迎えた決勝レースでは序盤からトップ3圏内を走行し、15周目にはトップのジェイク・ディクソン(Indeガスガス・アスパー・チーム)が5コーナーでミスをしてはらんだところでトップに立った。しかし残り2周、1コーナーのブレーキングでディクソンにかわされる。このとき、オーバーテイクを仕掛けたディクソンと接触しかけたところを避けた小椋は1コーナーではらんでしまい、ディクソンとギャップが開く形となった。そして小椋は、2位でゴールしたのだった。


 もちろん、悔しさがなかったわけではない。レース後、小椋は「やりようによっては勝てたと思います。トップに出たときにもうちょっと速く走れていられたら逃げられたと思いますから」と語る。ただ同時に、苦しい前半戦だっただけに、2位という結果に安堵があった。


「最終ラップは半周くらいまでは頑張ってみて、そこまで追いつかなかったらセーブしようと考えていました。最後まで(ディクソンを)追いかけていたわけじゃないので、今回は、悔しいというよりほっとしたという気持ちが大きかったです。今年の流れもありましたからね」


 オランダGPを終え、MotoGPはサマーブレイクに入る。サマーブレイクで、小椋は後半戦に向けた改善について取り組むという。今、小椋にはメンタル面での課題がある。


「例えば、(プラクティスの)ラスト5分でリスクを負って攻める、というのが今年はあまりなかったんですよ。ちょっとセーブしているというか。ラスト5分で残していた力を出すことができればコンマ2、3秒、詰めていけると思うんです。今はそこかなと思います。去年、調子がよくないときもゴールできていたのはそれのおかげだったと思うんです。それが今年はないから、調子が悪ければ悪いままの結果になってしまう」


「これまでなら、限界で走っているところから上げていくには、と考えるんですけど、今年は限界で走れたことが少ないので、そこに持っていくことが第一ですね。そのフィーリングをつかむというところがメインになるかな、と思います」


 後半戦に弾みをつけるオランダGPでの2位。サマーブレイクで今の己の課題に向き合い、後半戦ではさらに強くなった小椋の戦いを見ることができるに違いない。

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