アキュラの新型LMDh、ARX-06が“脱・カモフラージュ”。エンジンは2.4リッターV6ターボと判明

2022年8月18日(木)9時44分 AUTOSPORT web

 北米で展開するホンダの高級ブランドであるアキュラと、HPDホンダ・パフォーマンス・デベロップメントは8月17日、2023年のレースデビューに向けて開発テストを進めているLMDh車両『アキュラARX-06』のデザインと技術的なディテールを明らかにした。


 今回公開された画像では、これまでカモフラージュ柄だった外装も通常のカラーリングとなり細部の造形が判明したほか、エンジンは2.4リッターV6ツインターボを搭載することが分かった。


 7月に初のサーキットテストを行ったアキュラの6代目スポーツプロトタイプは、メイヤー・シャンク・レーシングとウェイン・テイラー・レーシングのオペレーションにより、2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスへデビューする予定となっている。


 アキュラ・モータースポーツとHPDは、8月19日金曜日に開催されるモンテレー・カー・ウィークのイベント『ザ・クエイル』でこのマシンを正式にアンベイルする予定だ。


■エンジンは最大1万回転を許容「素晴らしいサウンドになるだろう」


 ARX-06のパワートレインは『アキュラAR24e』と名付けられ、内燃エンジンにボッシュの電気モーター、Xトラックのトランスミッション、ウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングのバッテリーパックからなるLMDhの共通ハイブリッドシステムを結合した構成となっている。


 HPDが開発したこの直噴ターボエンジンは、先代のDPiエンジンであるアキュラARX-05の3.5リッターV6より排気量が小さくなっている。この2.4リッターの新エンジンは、HPDがこれまで耐久レース用に製造してきたパワーユニットの中で最も排気量が小さい。


 他のLMDhブランドを見てみると、ポルシェは4.6リッターV6ツインターボ、BMWは4.0リッターV8ツインターボ、キャデラックは5.5リッターV8自然吸気エンジンを採用している。


 アキュラによると、ARX-06のエンジンは、リヤアクスルのトルクメーターで計測されるLMDhの出力目標500kWをクリアし、燃焼室は持続可能な低炭素燃料で走行できるよう設計されているという。エンジンは90度のV字型レイアウトとなり、重心を下げ、慣性モーメントを低減させている。


 HPDは、ハイブリッドパワートレインコントロール、ブレーキバイワイヤ、ビークルダイナミクスコントロールシステムを開発し、これらはF1の電子制御ユニットのハードウェアに組み合わせて実装されている。


 HPDのパワートレイン設計チームリーダーであるピエール・デスカンプは、「IMSAとACOの新たなルールパッケージが提示した課題を受け、我々は非常に競争力のあるソリューションを開発した」と述べている。


「ICEの設計において、HPDは新たな方向性を打ち出した。ホンダではおなじみのV6ではあるが、電気式MGUとバッテリーパックを最大限に活用するために、いくつかの新しい要素を盛り込んでいる」


「この新しいエンジンは、ルールで定められた最大10,000回転まで回すことができるので、素晴らしいサウンドを奏でるだろう!」

8月17日、ディテールが明らかにされたアキュラの新型LMDh車両『ARX-06』


■デザインの始まりは市販車担当の“世界的スタイリスト”


 アキュラARX-06は、オレカ製のシャシーをベースに、アキュラ専用のエアロダイナミクスを全体のデザインに組み込んでいる。


 HPDのビークル・パフォーマンス・グループは、オレカのエンジニアと「密接に」コラボレーションし、開発方法についてさまざまなシミュレーションを行ったという。


 ARX-06のフロントエンドは、現行DPi車両『ARX-05』におけるフロントライトをつないだブリッジの下にノーズが潜り込むようなデザインを踏襲している。

8月17日、ディテールが明らかにされたアキュラの新型LMDh車両『ARX-06』


 ロサンゼルスにあるアキュラデザインスタジオが、HPDとオレカのエンジニアと共同で、IMSAとFIAのホモロゲーション基準に合致しながら「空力性能を最大限に引き出す」ことを目指して、外装スタイリングを担当した。


 ARX-06は、LMDhのテクニカルレギュレーションで認められている最大寸法、全長5.1m、全幅2m、全高1.06m、ホイールベース3148mmで製作されている。


 HPDでアキュラARX-06のラージプロジェクトリーダーを務めるマーク・クロフォードは、「我々はオレカとの関係を非常に気に入っている」と述べている。


「ARX-05のDPiプログラムでも、今回のARX-06でも、オレカは素晴らしいパートナーだ。GTPプロジェクトは新たな課題をもたらし、以前のコラボレーションとの ”家族のような類似性 “を見ることができる一方、ARX-06はまったく新しいデザインとなっている」


 アキュラのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、デイブ・マレックは、「アキュラの市販車のデザインをリードする世界クラスのスタイリストが最初のスケッチを作成し、それをいくつかのデザインの候補に絞り込んだ」と付け加えている。


「次にスケールモデルを作成し、空力と風洞のモデルテストを行い、HPDと我々のパートナーチームにフィードバックを求めた。デザインは、テストと評価のプロセスを通じて改良を続け、アキュラの重要なスタイリングキューを維持しながら、パフォーマンス目標を達成する最終段階にたどり着いた」


 アキュラによれば、ARX-06のデザインには、プログラムに参加しているドライバーやチームからの意見が反映されているという。たとえばリヤビューミラーは、バーチャルリアリティヘッドセットを使用するドライバーと協議の上、低めに設定された。

8月17日、ディテールが明らかにされたアキュラの新型LMDh車両『ARX-06』


 HPD社長兼テクニカルディレクターのデイブ・ソルターズは、このクルマの開発プロセスについて次のように語った。


「我々はルールブックとチャレンジ精神、そしてオープンなマインドとともに、開発をスタートした」


「そして、HPDが持つ車両性能、パワートレイン・シミュレーション、開発ツールをすべて活用し、重量、パワー、パッケージング、重心などの性能に関わる重要な領域に取り組んできた」


「我々はHPDだ。我々はレースを行い、レースを通じてエンジニアと技術を開発している。私たちは、過去にも現在にも、素晴らしい独自のレースレガシーを持っている。それがアキュラの、そしてホンダの、北米におけるレーシング・オーガニゼーションとしての我々の仕事だ」


「IMSAの最高峰であるGTP選手権で、ポルシェ、BMW、GMと競い合うことを楽しみにしている。これは我々にとって大きなステップという認識だ。学ぶべきことはたくさんあるが、それがレースというものだ」

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