今季『トヨタGRスープラ・ファニーカー』にスイッチの王者が、権威あるU.S.ナショナルズを初制覇

2022年9月8日(木)23時20分 AUTOSPORT web

 今季も2月中旬に幕を開けたアメリカ最高峰NHRA(ナショナル・ホットロッド・アソシエーション/全米ホットロッド協会)の2022年レギュラーシーズン最終戦であり、彼の地では「世界でもっとも権威あるドラッグレース・イベント」として認知されている“The Big Go”こと第68回『ダッジ・パワー・ブローカーズ・NHRA U.S.ナショナルズ』が、8月31日〜9月5日にインディアナ州のブラウンズバーグで開催された。


 誰もがその栄誉に挑んだ1戦では、シーズン序盤にTOYOTA GAZOO Racingノース・アメリカ(TGRNA)陣営にスイッチしたファニーカークラス王者ロン・キャップスが、その長いキャリアで自身初となる念願のビッグタイトルを獲得。新型『トヨタGRスープラ・ファニーカー』も、今季デビューイヤーにして3勝目を飾る結果となった。


 1万1000馬力を超えるトップフューエル・ドラッグスターを頂点に、同水準のパワーを誇るファニーカーや、プロストックなど12のクラスで争われるNHRAだが、年間全22戦のカレンダーのうち“カウントダウン”として開催される最終プレーオフ6戦を前に、この全米選手権でシーズン16戦目の週末を迎えた。


 2021年には自身2度目のNHRAファニーカー・チャンピオンに輝き、開幕時点で歴代2位となる通算67勝を挙げて来た王者キャップスは、4月の第4戦として開催された恒例の“フォーワイド・ナショナルズ”を前にトヨタ陣営への電撃スイッチを表明。


 新たに結成したロン・キャップス・モータースポーツの初戦となったラスベガスでの同戦で挨拶代わりの初勝利を飾ると、6月のサンダーバレー戦でも『トヨタGRスープラ・ファニーカー』で優勝を果たし、クラス通算勝利数を69にまで伸ばして来た。


 そうして迎えたU.S.ナショナルズは、これまで伝統的に「労働者の日の週末」として月曜にファイナルが実施されてきたが、過去2年は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの余波で日程が圧縮され、異例の日曜開催が続いていた。


 しかし今回は約3年ぶり復活の月曜決戦に向け、レースウイークから白熱の勝負が繰り広げられると、金曜最初の予選からファニーカー・クラスで3度の“世界王者”を獲得するロバート・ハイトが先行。サウス・カリフォルニア・オートクラブが支援する『シボレー・カマロSS』で連日のトップ・クオリファイアーとなる。


 しかし高額賞金の掛かった日曜の“オールスター・コールアウト”では、ディフェンディングチャンピオンのキャップスが逆襲。ティム・ウィルカーソンやNHRA通算17冠の“帝王”ジョン・フォースを破って最終ラウンドに進むと、同じくTGRNAのアレクシス・デジョリアや、前出のハイトを撃破してきたトニー・スチュワート・レーシング(TSR)、マット・ヘイガンとの決勝ラウンドに。


 ヘイガンは時速328.66マイルでキャップスより速い3.900秒をマークしたものの、隣に並んだ『NAPAオートパーツ・トヨタGRスープラ』は時速330.47マイルで3.936秒のタイムを記録し勝利。わずか0.026秒のスタート反応速度が勝敗を分ける結果となった。

4月の第4戦として開催された恒例の”Four-Wide Nationals”を前にトヨタ陣営への電撃スイッチを表明したFunny Car(ファニーカー)クラス王者ロン・キャップス
このチャンピオン電撃加入により、2022年のTOYOTA GAZOO Racing North America(TGRNA)陣営は3台体制に拡大した
日曜”All-Star Callout”のTop Fuel dragsters(トップフューエル・ドラッグスター)を制した現ポイントリーダーのブリタニー・フォース
ロン・キャップスの『NAPA Auto Parts TOYOTA GR Supra』も同じく日曜を制覇し、8万ドル(約1153万円)を稼ぎ出した


■ファイナル進出のトヨタGRスープラ・ファニーカーに現ポイントリーダーが立ちはだかる


「楽しかったよ。僕のクルマはファイナルラウンドでスピードアップし、計画どおりの走りができた。ホールショットの差で勝利が飾れて、これほどの大金を稼げたのは本当にクールだ」と、この1夜にして8万ドル(約1153万円)を稼ぎ出したキャップス。


「今季は非常に多くの特別な瞬間があったが、うまく行けばこれが明日まで続くだろうね。それは僕らにとって本当に、本当に大きな栄誉なんだ」と、対ウィルカーソン戦では時速333.58マイルで3.864秒を記録し、今季5回目のNo.1クオリファイアーも獲得したキャップス。


「僕らは今、素晴らしいレースカーを手に入れている。昨年は惜しいところでつまずき、望んでいた“Big Go”のタイトルを逃してしまった。今日のこの“コールアウト”での勝利を楽しみに、明日に備えるとするよ」


 そう語ったキャップスは、明けた月曜のインディアナポリス・レースウェイパークでも勢いを維持し、デール・クリージーJr.やTGRNAの僚友J.R.トッド、そしてふたたびの帝王フォースらを3.88秒の最速タイムで降し、順当にファイナルへと駒を進める。


 そこに立ちはだかったのが現ポイントリーダーのハイトで、昨季の決勝と同じ顔ぶれが並ぶと、NAPAカラーの『トヨタGRスープラ・ファニーカー』は3.911秒と時速327.98マイルを叩き出し、出遅れた宿敵を完全撃破することに。これで昨年最終戦のリベンジを果たすとともに、チームオーナーとして最初の1年を戦ったキャップスが、別の重要な勲章を追加することに成功した。


「とてもシュールな感覚で、言葉にすることさえできない。NHRAの遺産と歴史を体現するような、こんな大きなイベントで優勝した事実からは、非常に多くの感情が生まれるものなんだ……」と、この2日間合計で18万ドル(約2600万円)の賞金も手にしたキャップス。


「今年はチームオーナーとしての1年目であり、僕の周りにはたくさんの助けがあった。非常に多くのメンバーが、僕らがすることや構築していることの仲間に加わってくれ、そのサポートを得ることができてとても感謝しているよ」と謝辞を続けたキャップス。


「僕は今アメリカンドリームを生きているし、自分の小さなビジネスを持っていて、そうした良きすべての人々が周囲にいてくれる。今夜のパーティは大規模なものになるだろうし、何よりすべての子供たちに! 夢を見ることを止めないように。本気で取り組めば何でもできる、それがこのトロフィーなんだ」


 結果、プレーオフ“カウントダウン”を前にキャップスはランキング2位に浮上し、トップフューエル部門は、2017年に史上初の女性シリーズチャンピオンに輝いたブリタニー・フォースとの対決を制し、トヨタ製エンジンを搭載するアントロン・ブラウンが勝利。ブラウン自身4度目の“Big Go”タイトル獲得で今季2勝目を飾り、この全米選手権の週末はトヨタ陣営が両トップカテゴリーを制圧している。

キャップスは、明けた月曜のインディアナポリス・レースウェイパークでも勢いを維持し、順当にファイナルへと駒を進める
25年以上のキャリアで、初のU.S. Nationals制覇を達成したロン・キャップスと、トップフューエル部門勝者のアントロン・ブラウン
「僕はトラックから8マイル離れたところに住んでいる。ホームで勝てるなんていつだって最高」とアントロン・ブラウン
シーズン第17戦にして、プレーオフ”カウントダウン”初戦の『Pep Boys NHRA Nationals』は、9月15〜18日にメープルグローブ・スピードウェイで開催される

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