サラリーキャップ制度が生んだ“側面”…ラ・リーガにおける下部組織とは「必要性と信念が混在している」

2023年10月17日(火)20時7分 サッカーキング

ここ数シーズンで頭角を現したカンテラーノたち [写真]=Getty Images

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 昨今のラ・リーガにおけるカンテラ(下部組織)の重要度は、年々増してきている。スペイン紙『アス』が見解を示した。

 2度のインターナショナルマッチウィークを挟み、第9節までを消化した2023−24シーズンのラ・リーガ。日本人選手として初のラ・リーガ月間MVP賞を受賞したレアル・ソシエダのMF久保建英や第7節終了時点で首位に立ったジローナなど、目の離せない展開が繰り広げられている。そのなかで『アス』は、カンテラ(下部組織)に脚光を当て、ここまでトップチームの選手としてラ・リーガ(1部リーグ)デビューを果たした人数が「17」と指摘。最多人数の「4」を記録したのはバレンシアであることを伝えた。

 スポーツディレクターとしてセビージャに20年近く在籍し、現在はアストン・ヴィラのスポーツディレクターを務めるモンチ氏は、ラ・リーガにおけるカンテラの存在意義について「“必要性”と“信念”が混在している」と語った。欧州屈指の名伯楽が口にした“必要性”が指し示すのは、ラ・リーガ独自の“サラリーキャップ制度”だ。この制度は各クラブの総年俸の上限を定め、クラブ経営の健全化やリーグ全体の競争の活性化を目的としたもの。しかし近年、バルセロナを筆頭に多くのクラブが同制度に苦しんでいる。実際に選手登録ができない、または選手登録が間に合わないという問題は今夏にも散見された。

 だからこそ、カンテラはサラリーキャップ制度への対抗策という。モンチ氏は「年俸の制限は、過去に起きたような馬鹿げた契約が結ばれなくなったことを意味し、チームスカッドは収入に応じて調整される。つまり、カンテラーノ(下部組織出身者)を起用することで、チームのコストを下げることができるのだ。財政的なコントロールがより多くのカンテラーノで為される新しい時代には、(カンテラに)必要不可欠な要素がある」と手段の側面をもっていると述べた。

 今シーズンのラ・リーガ全20クラブにおいてカンテラーノが在籍していないのは、ラージョ・バジェカーノとアルメリアの2クラブのみ(背番号26以上の選手は除く)。一方で、カンテラーノが最も多いのは、アスレティック・ビルバオだ。第3節ベティス戦のスタメンをカンテラーノだけで組むなど、バスクを象徴するクラブはトップチームに在籍する25選手のうち18選手がカンテラ出身。その次に10名のカンテラーノを擁するレアル・ソシエダ、ラス・パルマス、バレンシアの3クラブが続き、さらに6名のオサスナが5番手となっている。

 ここで注目したいのが、前述した5クラブのうち3クラブがバスク地方に本拠を置くクラブということだ。バスク純血主義を掲げるアスレティック・ビルバオは然り、レアル・ソシエダやオサスナも自家製の選手を重宝しており、モンチ氏が口にした“必要性”と対をなす“信念”という側面に重きを置いていることが分かる。『アス』は「伝統的な理由」と綴っている。

 2つの側面からますます重要度を増すカンテラだが、今後はどのようなスター候補が現れるのだろうか。

サッカーキング

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