【コラム】バルセロナよりも優秀? 育成力でも際立つ“銀河系軍団”レアル・マドリード

2017年10月25日(水)20時3分 サッカーキング

レアルの下部組織出身のルーカス・バスケス [写真]=Getty Images

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 スペイン紙『アス』が高らかに「レアル・マドリードが欧州主要リーグで最も多くの選手を輩出しているクラブ」と報じている。

 CIES(スポーツ研究国際センター)の研究によると10月1日時点で、欧州各国の1部リーグでプレーする選手で最も多いのが、アヤックスの下部組織出身者で71人。スペインで最も多いクラブはレアル・マドリードで58人だった。クロアチアのディナモ・ザグレブ、セルビアのパルチザンに次いで4位だ。バルセロナは50人で11位、アスレティック・ビルバオは34人でパリ・サンジェルマンと同じ29位だった。なお、この研究において下部組織出身者は、15歳から21歳の間に少なくともその下部組織で3年間在籍した選手と定義している。

 欧州の5大リーグ(イングランド、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス)にプレーしている選手だけに限れば、最も多いのがレアル・マドリードの下部組織出身者で41人。その内8人は現在レアル・マドリードのトップチームに所属している。次に多かったのは、バルセロナで34人(内7人は現トップチーム所属)、そして4位にアスレティック・ビルバオが29人(内20人は現トップチーム所属)が入った。

 レアル・マドリードはチャンピオンズリーグ(CL)を連覇するだけでなく、欧州の重要なリーグでプレーする選手を最も多く生み出している。かつてのルイス・フィーゴ、ジネディーヌ・ジダン、現在のクリスティアーノ・ロナウド、ギャレス・ベイルを獲得したことで、銀河系軍団というイメージが定着した。レアル・マドリードは世界最高額の移籍金でスーパースターを買うクラブという印象は強いが、実際この数字が示すように下部組織も洗練された仕事をしている。トップチームは世界選抜と言っても差し支えのない陣容だ。下部組織の選手が昇格し、自分のポジションを得るのは難しいが、昇格できなくてもプロフェッショナルとして他国、もしくは他クラブでプレーしている。まさに“ラ・ファブリカ(工場の意味)”という愛称にふわしい仕事ぶりだ。バルセロナは2012年11月25日レバンテ戦で、ピッチ上にいる11人が下部組織出身者となったことがあり、一つのクラブ理想像を体現し、相変わらず多くの選手を輩出している。リーガのタイトルだけでない。2強は下部組織などあらゆる面で競争している。

 欧州5大リーグにおける下部組織出身者の上位10チームには、上記した3チームに加えて、スペインからレアル・ソシエダ、バレンシアが入っていた。その他はフランスとイタリアが2チームずつで、イングランドが1チームだった。スペインの下部組織の充実が見て取れる。

 また際立つのは、アスレティック・ビルバオのトップチームに在籍するカンテラ出身者の数だ。20人はトップ50にランキングした欧州クラブの中で最も多い。選手はバスク人だけという純血主義を貫く。外国人選手を獲得せずに、リーガで常に上位を争い続ける彼らにとってチームの屋台骨となっているのが、下部組織だということを改めて分かる。

 スペインでは下部組織の選手移籍ニュースも地元紙がスペースを割くなど(そもそもスポーツ新聞のほとんどがサッカーの情報で埋め尽くされているが)、国内の人材の奪い合いが下部組織から行われており、プレミアリーグの下部組織がスペインの若い選手を引き抜くことも相変わらず大きく報じられている。今シーズンからマルセリーノ・ガルシア・トラル監督が率いるバレンシアが、下部組織出身の選手を多くトップチームデビューさせ、結果も出している。

 それだけ世間で語られるほど、スペインでは下部組織に注目し、重きが置かれている。

文=座間健司

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