山根視来は川崎Fの生命線。鬼木監督称賛の理由は【ACL2023/24】

2023年11月30日(木)18時30分 FOOTBALL TRIBE

鬼木達監督(左)山根視来(右)写真:Getty Images

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24のグループステージ第5節が11月28日に行われ、川崎フロンターレがジョホール・ダルル・タクジム(JDT/マレーシア)に5-0で勝利した。


グループIで5連勝の川崎Fは、最終節を前に同ステージ首位フィニッシュが確定。来年2月より始まるACLノックアウトステージへの進出を果たしている。


ここでは等々力陸上競技場にて行われたJDT戦を振り返るとともに、川崎Fの鬼木達監督の試合後コメントを紹介。そのうえで、この試合1ゴール1アシストと躍動した同クラブDF山根視来のプレーぶりを中心に論評する。




川崎フロンターレvsJDT、先発メンバー

川崎FvsJDT:試合展開


お馴染みの[4-1-2-3]の基本布陣でこの試合に臨んだ川崎Fは、あらゆる攻め手でJDTの出方を窺う。[4-4-2]の守備隊形をベースに、時折前線から積極的にプレスをかけてきたJDTに対し、長身FWレアンドロ・ダミアンや快足FWマルシーニョへのロングパスで応戦。右ウイングFWとして先発したMF家長昭博が敵陣左サイドへ移動し、このエリアに人を集めたうえでの細かいパスワークで局面打開を図ろうとする意図も窺えた。


前線からの守備をJDTに掻い潜られ、ピンチになりかける場面もあったが、川崎Fが質の高いパス回しから試合を動かす。


前半8分、同クラブDF大南拓磨(センターバック)が敵陣でボールを捌くと、右サイドバックの山根からのリターンパスを受けてペナルティエリア右隅へ侵入。大南が繰り出した地を這うようなクロスボールを、逆サイドにポジションを移していた家長が押し込み、川崎Fが先制した。


この場面で秀逸だったのは、JDTのフェロズ・バハルディンとオスカル・アリバスの両DF間が開いた隙を、大南が突いたこと。4バックの泣きどころである、センターバックとサイドバックの間への走り込みが物を言った。




レアンドロ・ダミアン(左)マルシーニョ(右)写真:Getty Images

後半はゴールラッシュに


前半13分にJDTのDFアリバス、同39分に相手MFベルクソンにGKチョン・ソンリョン強襲のシュートを放たれた川崎F。中盤でのボールロストからJDTの速攻を浴びるシーンもあったものの、これらのピンチを凌ぎ、後半にゴールラッシュを披露した。


後半5分、この試合でセンターバックを務めたMF山村和也がセンターサークル内からパスを繰り出し、ボールは敵陣右サイドへ。家長の右サイドからのクロスにL・ダミアンがボレーシュートで合わせ、川崎Fに追加点をもたらした。


川崎Fは後半15分にもJDTの速攻を阻止し、すかさずサイド攻撃を繰り出す。右サイドバック山根のクロスにマルシーニョがダイビングヘッドで合わせ、ゴールネットを揺らした。


後半24分には、途中出場の遠野大弥と小林悠の両FWが躍動。敵陣でボールを奪った川崎Fは右サイドから攻撃を仕掛けると、ペナルティエリア右隅へ侵入した遠野のクロスに小林がヘディングで合わせる。このシュートは相手GKシハン・ハズミに弾かれたものの、こぼれ球を小林自身がジャンピングシュートで押し込み、試合の趨勢を決定づけるゴールを挙げた。


同じく途中出場のMFジョアン・シミッチとFW宮代大聖も、試合終盤に存在感を示す。迎えた後半43分、シミッチの縦パスに反応した宮代が、ペナルティエリア内から後方へボールをはたく。この宮代のワンタッチパスを受けた山根がペナルティアーク内からシュートを放ち、川崎Fに5点目をもたらしている。


川崎フロンターレ 鬼木達監督 写真:Getty Images

鬼木監督「全員が山根から見習っていけば良い」


川崎Fの鬼木監督は試合後の記者会見で、この試合1ゴール1アシストと気を吐いた山根に関する質問に回答。同選手のポジショニングや守備を称えている。


ー(鬼木監督に)お伺いしたいのは、山根選手への評価です。攻撃面では自陣と敵陣を問わず、神出鬼没なポジショニングが光っているように見えました。守備の強度も高かったと思います。この試合の山根選手の評価や、今日に至るまでの成長はいかがでしょうか。


「非常に良い成長を遂げてくれていると思います。チームとしての狙いを、(山根)個人で出せるようになってきていますね。得点シーンでも他の場面でも、外(サイド)で仕事をしたり中(内側)で仕事をしたり。仰るように、ここ数試合で躍動してきていると思います」


「守備についても、彼の強度やボールへのアプローチの近さというのはチーム内で一番でしょう。彼ぐらいの強度で(他の選手も)守備ができると、チームとしてレベルアップできるかと思います」


「付け加えると、(守備に)行くことでボールをこぼしたり(奪いきれなかったり)、相手に抜かれたりすることも多少あります。でも、それはチームとしてカバーしていく、もしくは本人が奪いきることにフォーカスしていくところ(すべき部分)かと。まずはボールを獲りに行く。この姿勢を選手全員が(山根から)見習っていけば良いかなと思います」




川崎フロンターレ DF山根視来 写真:Getty Images

JDTを困らせた山根の立ち位置


鬼木監督が語った通り、サイドに立つべきか内側に絞るべきかの状況判断が終始的確だった山根。自身の前方でプレーする右ウイングFW家長との連係が淀みなく、同選手が敵陣の内側でプレーし、この外側に山根が立つという構図を円滑に作れている。家長と山根のプレーエリアが重なり、右サイドからの攻撃が停滞するシーンはほぼ無かった。


最終ラインからのパス回し(ビルドアップ)の際には、大南と山村の2センターバック間に山根が時折入ることで、[4-4-2]の守備隊形を敷いたJDTの2トップとの数的優位を確保。キックオフ直後に山根がこの立ち位置をとったことで、ハイプレスを繰り出そうとしていたJDTに迷いが生じたふしがある。派手なプレーではないが、この当意即妙なポジショニングが川崎Fの攻撃のアクセントになっていた。


前所属先の湘南ベルマーレでも、敵陣での自由自在なポジショニングは光っていたが、川崎F移籍後は相手の守備隊形やプレスのかけ方に応じて自陣での立ち位置を変える作業に磨きがかかっている。守備の場面における出足の鋭さや、ボール保持者へのアプローチの強度も今やチーム内屈指。山根が川崎Fの生命線であることは明らかであり、同クラブ加入4年目の彼の成長ぶりが際立った一戦だった。

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