主流となるか?バルサとノッティンガムに共通する先駆的動きとは

2022年12月28日(水)18時0分 FOOTBALL TRIBE

ブレナン・ジョンソン(左)アンス・ファティ(右)写真:Getty Images

プレミアリーグ現時点19位のノッティンガム・フォレストが、日本時間12月22日に、あるニュースを発表した。国連の難民機関である英国UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とパートナーシップを結び、支援活動の一環としてユニフォームに「UNHCR」のロゴを記載するという内容だ。


2023年1月2日(日本時間1:30キックオフ)のプレミアリーグ第18節チェルシーとの試合から、ノッティンガム・フォレストの選手たちはロゴ入りのユニフォームを着用し、2022/23シーズン終了まで胸にUNHCRを携えてプレーをすることになる。


先駆けてはラ・リーガのバルセロナ(バルサ)が2022年7月から同じロゴ入りのユニフォームを着用。バルサは2006年から、利益よりも国際問題の解決を優先にしてUNICEF(ユニセフ)(国連児童基金)と契約を結んできたことでも知られる。この動きは、今後サッカー界で主流となるのだろうか?




バルセロナ(2006)写真:Getty Images

すべてはここから始まった!先駆者バルサ


2006年、バルサは世界中のサッカークラブに先立ち、ユニセフと契約した。年間150万ユーロ(約2億1千万円)を、エイズ闘病中の人々を支援するためのプロジェクトに寄付し始める。同クラブとしては史上初のユニフォームにスポンサーロゴを迎え入れる歴史的な出来事であり、またNGO(非政府組織)などの慈善団体とスポンサーシップを結ぶことは、サッカー界でも異例の事だった。


通常であればユニフォームにスポンサーのロゴを入れる場合、高額な広告費用がスポンサーからクラブへ入る訳なのだが、同クラブは自分たちの収益は視野にいれず、難病に苦しむ子供達への支援を第一に強く希望したのだ。その後、2010年に中東地域の慈善活動を推進するカタール財団と契約を結ぶこととなる。




バルセロナ FWロベルト・レバンドフスキ ユニフォーム 写真:Getty Images

バルサのスローガン「クラブ以上の存在」とは


なぜ、ワールドクラスのクラブが自身を運営するための利益に重きを置かず、国際問題解決を優先するのか?ご存知の方も多いであろう、バルサのスローガン「クラブ以上の存在」がポイントだ。


このバルサのスローガンは、サッカーというスポーツだけにとどまらず世界中から注目されるクラブでいること、具体的には人や物など全てに対して気遣いと人情のある、世界の代表であり続けることを意味する。同クラブの本拠地であるカタルーニャ地域、そしてスペイン国内だけで注目されるのではなく、世界におけるクラブとなるために、歴史に残るユニセフとの取引を開始した訳だ。


その後2022年7月に、同クラブは難民の子供達に対する支援活動に注力するため、ユニセフからUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)との契約に改め、ユニフォームの背面に同ロゴが入ることになった。また前面には、史上初の契約となった音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)の名が刻まれることとなった。このスローガンが変わらない限り、今後のバルサのスポンサー契約の行方も非常に気になるところだ。


ノッティンガム・フォレスト FWブレナン・ジョンソン 写真:Getty Images

利益以外の国際問題に取り組む姿勢が主流に?


世界中のクラブの手本となっているバルサだが、その後を忠実に追っているのが冒頭に紹介したノッティンガム・フォレストとなる。2022年12月22日にノッティンガム・フォレストはバルサと共に、英国UNHCRとスポンサーシップを結んだ。


バルサの場合は特に難民の子供達を重点的に支援をしているが、ノッティンガム・フォレストは難民全体に対しての支援を行っており、最近だとウクライナからの避難民への援助などが挙げられる。ノッティンガム・フォレストの発表により、NGO(非政府団体)やNPO(非営利団体)などとサッカークラブが契約をし、利益以外の国際問題に取り組む姿勢は、今後主流となることも考えられるだろう。







国際問題の解決にサッカー


2020年から世界中がパンデミックという信じがたい状況に陥り、それとほぼ重なるように気候変動の悪化や、ロシアのウクライナ侵攻で資源不足など、非常に多くの問題がより浮き彫りとなった。もはや見て見ぬふりができない状況下で改めて意識したいのが、2015年に国連が制定したSDGs(持続可能な開発目標)の存在だ。


2030年までに17の目標を世界中の皆で解決していこうというSDGs。中には「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など、バルサとノッティンガム・フォレストが取り組んでいる活動と合致する部分がある。するとサッカーを切り札にSDGsの目標を解決できるのではないか?と、考えた国連は、2022年7月6日に「Football For The Goals(FFTG)」というSDGsのサッカー版を打ち出したのだ。


サッカーの可能性は無限大であり、世界共通の存在として柔軟に複雑な問題を解決できることが期待されている。現時点で、アジアサッカー連盟(AFC)、欧州サッカー協会連合(UEFA)、セリエA、アヤックス・アムステルダム等、その他約100以上のサッカーに関連する組織や団体がFFTGに登録している。


このFFTGの存在や、バルサやノッティンガム・フォレストの先駆的な動きから、近い将来にはサッカーが国際問題の解決に必須の存在となっているかもしれない。

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