誰もが振り返るイケメンは無一文だった。私の稼ぎだけで支えた同棲生活が唐突に終わるまで【漫画】

2025年2月20日(木)12時30分 婦人公論.jp


誰もが振り返るイケメンだったが…

断りづらい相手からの「ちょっと貸して」。積もり積もれば、いずれ山となり……。雑誌『婦人公論』で人気の読者手記を、さえじまゆうさんが漫画化!野原玲美さん(仮名・沖縄県・主婦・73歳)は、同棲していた元美容師の彼の生活費を全て払った上に、お酒にたばこ、洋服もねだられて——

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酒、たばこ、洋服代……元美容師の彼に貢いで


これは、ある男と同棲していたときの話である。彼は8歳年下で、187センチの長身、やせ形のイケメンであった。2人で歩いていると、道行く人が振り返り彼に視線を向ける。隣を歩く私には目もくれず、一方的に話しかけてくる女性もいた。

スラリとした体に似合う、黒のスーツに白いシャツ。若き頃の津川雅彦を彷彿とさせる色気があったのだ。

それでも彼のことが好きで始めた同棲生活。彼は私の髪のカット、ブローにスタイリングまで、全部やってくれた。

そんなことをしてくれた男性は今までいない。自分の髪を一生懸命に仕上げてくれる姿を見るのは気分がいいものである。

彼はまるでアルコール依存症のようで…


少しでも安心材料がほしい。そう思った私は、自分の鞄に小さなビニール袋を入れ、小銭ができるたびそこに貯めることにした。

たかだか10円玉や100円玉貯金ではあったが、その重さにホッとしたのだ。

ある程度貯まると、こっそりと銀行に入金に行く。自分のお金なのに自分のものではないような気持ちだった。

彼が下血、そして入院…


ある日、いつものように買い物をして帰宅した昼頃、突然彼が下血して倒れた。急なことに気が動転しながらも、私は救急車を呼んだ。

搬送された病院で十二指腸潰瘍と診断され、夜中に6時間もの手術をして何とか一命をとりとめた。ただ容体は悪く目を覚まさない。いつ意識が戻るのかと見守っては帰る日が続いた。

彼の意識が戻ったのは6日目。その翌日に病院から彼の急変を知らされた。

「これからリハビリですね」と言われたのはつい昨日のことなのに、彼は亡くなってしまったのだ。

今でも特別な思い出


あれから数十年が経ち、あの頃のことを思い出すときがある。考えてみたら、ちょうど3年の同棲生活。短いが楽しい記憶だ。

今や私はもうすっかりおばあちゃんになり、がんの治療中に髪の毛も全部抜けてしまった。そんな私が彼の遺したコートに身を包む姿を見たら、彼は何と言うだろうか。

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