英王室がペットとして飼った人間「野生児ピーター」とは? 今もウィリアム王子の次男の部屋に出没…

2023年3月1日(水)7時0分 tocana

 日本では、相場よりも比較的に安く取引されることが多い”事故物件”だが、イギリスでは幽霊屋敷に住んでいることが一種のステータスとして捉えられる傾向にあるようで、英王室が所有するケンジントン宮殿でも幽霊の目撃例が多数報告されている。


 なかでも、2018年に誕生したルイ王子の子供部屋には、かつて王室のペットとして一族とともに暮らすことを特別に許可されていた”野生児ピーター”の霊がたびたび目撃されているという。宮殿には、ジョージ2世の妃キャロライン・オブ・アーンズバックの幽霊も出るといわれており、死後、彼女の面影を追いかけて宮殿に現れるようになったという説も。森の中で裸のままの姿で発見され、のちに郊外の農家にて天寿を全うした彼の数奇な人生について、2020年の記事を再掲する。


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※こちらの記事は2020年2月21日の記事を再掲しています。


 英国人は無類の幽霊好きで、幽霊のいる物件は通常より高値で取引され、自分の家に幽霊が出ることは自慢になるという。そのため、英国内には多数の「幽霊屋敷」が存在するのだが、その中には英王室に縁のある建物も少なくない。ウィリアム王子一家をはじめとする王室のメンバーが居住しているケンジントン宮殿もその一つで、ウィリアム王子の次男・ルイ王子の部屋には、かつて王室の「ペット」だった野生児の幽霊が出るという。英「Daily Star」(2月17日付)が報じた。


・Kensington Palace ‘haunted by deformed ghost that lives in Prince Louis’ room’ (Daily Star)


 英ロンドンのケンジントン宮殿は17世紀に建設され、英王室の人々に長く愛されてきたが、それゆえにさまざまなスキャンダルや悲劇の現場となった場所でもある。この宮殿で亡くなった国王、不義の子を極秘裏に出産して精神を病んだとされる王女、夫との不仲で娘と引き離された悲劇の王妃など、高貴な幽霊が多数目撃されている。


 そして今、ケンジントン宮殿の中で最も注目されているのは、2018年に生まれたルイ王子の子供部屋である。この部屋には、18世紀に時の国王ジョージ1世によってドイツから連れてこられた「野生児ピーター(Peter the Wild Boy)」の幽霊が出るというのである。


 記録によると、ピーターはおよそ12歳の頃、1725年にドイツ・ハノーバー北部の森で発見された。発見当時、彼はほぼ全裸の状態で、四足歩行で森の中を獣のように歩き回り、うなるばかりで言葉を話すこともできなかった。ピーターには知的障害と顔面の形態異常がみられ、彼をもてあました親に捨てられて以来、森で1年程度を過ごしていたものと考えられている。後世の調査では、ピーターは「ピット−ホプキンス症候群」という稀な遺伝病であったと推定されている。


 ジョージ1世はこの「野生児」に興味を持ち、イギリスへと連れてこさせた。ピーターは正装をしてディナーのテーブルに着いたが、マナーを理解できず大騒ぎになったという。1726年には森に逃げ出す騒動を起こしたが、ジョージ1世の息子で当時の王太子(のちのジョージ2世)の妃キャロライン・オブ・アーンズバックがピーターを保護、「王室のペット」として別荘に暮らすことが許された。



 キャロラインはピーターに家庭教師をつけて教育を受けさせたが、その成果はほとんど出ることなく、結局「ピーター」と「キングジョージ」という言葉しか理解できなかったという。やがてピーターは郊外の農家で暮らすこととなり、彼を保護する農家には毎年王家から養育費が与えられた。その後、ピーターは長生きして1785年に亡くなった。そして死後、彼の幽霊がケンジントン宮殿に現れるようになったという。その部屋こそ、現在のルイ王子の子供部屋として使われている場所である。


 ピーターの幽霊がなぜ今もケンジントン宮殿に現れるのかはわからない。ただ、この宮殿には彼が懐いていたキャロラインの幽霊も出るとされており、ピーターはその面影を追いかけて宮殿に戻ってきたのかもしれない。あるいは、産褥で苦しみ苦痛の果てに亡くなったキャロラインを慰めるためだったのだろうか。


 日本人の感覚からすると、幽霊が出るような場所で子育てするのはいかがなものか……という気もするが、そこはやはり幽霊好きな英国の王室である。ルイ王子の子供部屋はかつて兄ジョージ王子や姉シャーロット王女も使っていた部屋でもあり、両親や周囲がそのことを気にしている様子はないという。やはり英国人にとって、幽霊に囲まれて育つことはちょっとした自慢の一つでしかないのかもしれない。参考:「Daily Star」、「Wikipedia」、ほか

tocana

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