シーサーには「覚醒の儀式」が必要? 衝撃の事実にネット驚愕、沖縄県職員も「聞いたことない」→風習が消えてしまった理由とは

2023年3月16日(木)20時0分 Jタウンネット

沖縄の屋根の上や玄関、門の上、村の入り口や高台に置かれている「シーサー」。沖縄のシンボル的存在で、お土産物屋に行けば小さくて可愛らしい置物もたくさん並んでいる。

しかし、彼らはもともと「魔除け」。そして、その真の力を発揮してもらうためには、ある「儀式」が必要だという。

2023年2月19日、とあるユーザーがツイッター上に「シーサー覚醒の方法」と書かれた紙の写真を投稿した。そこには、次のように記載されている。

「シーサーは買ってきて置くだけでは『魔除け』の役割を果たしません。
置く前に、必ず【覚醒】させて下さい」

衝撃の事実に、沖縄出身・在住の投稿者(30代後半)は「ワイんちのシーサー、ずっと爆睡しとったみたいや」とポツリ。ツイッター上でも驚くユーザーが続出している。

「ぜっっんぜん知らなかった」
「空気清浄機のフィルターにビニールを付けたまま使用してる感じですかね」
「うちの玄関にも5組ほどシーサー達いるけど、ずっと寝てたんや...」

この紙は何なのか。Jタウンネット記者はまず、投稿者に話を聞いた。

耳にするのも初めてだった

投稿者が「シーサー覚醒の方法」を見つけた場所は、石垣島で立ち寄った土産物店だった。

投稿者も自宅に4匹のシーサーを、4年ほど置いているそうだが、「覚醒」についてはこれまで聞いたこともなかったという。

「『ウチのシーサー爆睡やん(苦笑)』と思いました。ただ、真に受けたというよりもネタに乗っかってみたくらいのニュアンスです」

なお、「イイ顔で寝てたので起こすのも気が引けた」ため、儀式について知った後も自宅のシーサーは「覚醒」させなかったそうだ。

沖縄県内でもシーサーを「覚醒」させるという風習は、一般的なものではないのだろうか。

Jタウンネット記者はさらに取材を進めた。

県庁職員「聞いたことありません」

3日、沖縄県庁職員は取材に対して次のように述べた。

「これまでにそのような事を聞いたことはありません」

ただ、魔除けに関する風習は地域や各家族単位でも異なるため、風習の有無を断定することはできないという。「少なくとも一般的ではないと思います」と語るにとどめた。

では、県内でもごく限られた地域の風習なのか。

記者は最後に、話題の紙に「出典」として記載されていた「沖縄暮らしのしきたり読本」(双葉社、2008年)の著者・比嘉淳子さんに話を聞いた。

比嘉さんは、シーサーの覚醒について「『失われた沖縄の文化』の1つと言える」と語った。

「50年前は当たり前に行われていた」

比嘉さんは忘れられつつある「沖縄の家庭の風習」や、歴史の流れの中で失われていった沖縄の文化などを残すために、作家としてそれらを題材にした本を執筆している。

今から50年以上前、比嘉さんがまだ子供だった頃。沖縄には赤瓦の家が多く、定期的に「ムーチーヤー」と呼ばれる漆喰職人が屋根の修理を行なっていたという。

「その頃のシーサーは屋根に1匹設置するのが普通で、門に設置する事は珍しかったです。そもそもシーサーというのは『火伏せ』(火事を防ぐ魔除け)の役割を持っていて、火災などの災いが多発する『ヒーザン(火山)』など、いわくのある場所に向ける形で高い所に設置するものでした」(比嘉さん)

そして、新築工事や屋根の修理の際にシーサーを設置する時に、大工やムーチーヤーの棟梁がその家の当主に「覚醒」の儀式を行うように指示していたそうだ。

「民俗学を専門に学んでいないのでいつ頃から『覚醒』の儀式が行われていたのかは知りませんが、50年前は当たり前に行われていたことです。ただ、今ではほとんどの沖縄の人に知られておらず、儀式を知る人はかなりの高齢の方だと思います」(比嘉さん)

「覚醒」の儀式が見られなくなっていったのは、1972年の沖縄の本土復帰以降だという。

「家の形式が台風に強いコンクリート家屋になっていったことや、日本本土の狛犬のようなシーサーが増えたことによるものと考えております」

と比嘉さんは自身の仮説を述べた。

Jタウンネット

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