子どもへの投資は<習い事代>より<大学進学に向けた貯蓄>?ファイナンシャルプランナー「未来の社会がどうなろうとも、準備したお金が無駄になる可能性はない」

2025年3月30日(日)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

所得税の課税が生じる年収水準を表す<103万円の壁>を引き上げる改正案が議論されています。税金や年金など、お金に関するさまざまな制度が変わりつつある今、あらためてお金の勉強をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんがお金の新しいルールを解説した著書『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』から、一部を抜粋してお届けします。

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妻の希望Q.才能が開花するかも? 習い事を減らせません!


先生の答え A.親の自己満足になっていないか、見つめ直しましょう

英会話、ピアノ、ダンスにプログラミング。小さなうちから習い事を始めれば、才能や適性を見つけてあげられるかもしれないという気持ち、よくわかります。私もそんな親の一人でしたし、子供の習い事にはずいぶんお金をかけましたが、その投資に見合った成果が得られたかというと……。

ピアノを習っている子のうち、将来、本気で音楽の道をめざせるような子はあまりいませんよね。幼少期から始める英会話も、ちゃんと一生ものになるかは疑問です。

酷なようですが、子供時代に週1回通っている程度の習い事は、体験の一つとしては価値があるものの、将来に直結することはかなりのレアケース。その子の人生を支えるスキルになるほどのものが身につくわけでもないと、どんな親も薄々わかっているのではないでしょうか。

優先すべきこと


何が言いたいかというと、お金をかけるべきはそこじゃない! ということ。

今どきのお稽古にかかる費用は月1万円以上が当たり前。周りのお友だちがみんなやっているからといって、家計のなかから無理をして習い事代を捻出していると、将来の大学進学へ向けた備えができなくなってしまいます。


『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(著:井戸美枝/講談社)

夫一人の収入では当然足りなくなるので、妻が習い事代のためにパートを始めるケースもよくみられます。もっと習い事をさせたい→夫の収入だけじゃ足りない→パートで補填、という自転車操業のようなやりくりは、大変なわりに実はそれほど子供のためになっていないかもしれません。

お金の面では、目先の習い事代よりも、将来の大学進学に向けた貯蓄を優先すべきです。

妻の希望Q.うちの子は勉強嫌い。大学なんて想像できません


先生の答え A.それでもお金の準備だけはしておきたいです

子供が小さいうちから大学進学のことまで心配するなんて、ピンとこないかもしれません。それどころじゃないというのが本音でしょう。

さらに両親とも学歴にこだわりがなければ、「高卒で充分。大学なんてわざわざ行かなくてもいい(お金もかかりそうだし)」と考えるのもわかります。でも、その子が何に興味を持ち、何が得意かなんてまだわかりませんし、往々にして子供の人生は親の想定どおりにはならないものです。

今はどんな職種を選ぶにせよ、大学を卒業していることがスタンダードといえるでしょう。

いつでも学び直しができる時代ではありますが、大人になってからリカバリーしようとするとそれなりに大変です。若いうちに大学で学ぶことは、なにものにも代えがたい経験です。

親の役割とは


日本の企業では、いまだに賃金や退職金などが大卒と高卒とでまったく違うというのも、無視できない現実です。

これから未来の社会がどうなっていくかはわかりませんが、それゆえに、お金の準備はしておくに越したことはありません。まだ先の話だからと何もせずにいると、いざ高校生になった頃に、

「え、大学の学費ってこんなに高いの?」
「学費を払ったら、老後資金がゼロに!」

などと慌てることになってしまいます。学費が用意できなければ、親もしくは子供自身が借金をすることになります。

親の役割とは、どんな社会になってもしぶとく生きていける力をつけてあげることではないかと思います。未来の社会がどうなろうとも、準備したお金が無駄になる可能性はないでしょう。

※本稿は、『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)の一部を再編集したものです。

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