私たちは心のどこかで<片付けは女性がやるもの>と思い込んでいる?片付け専門家「家の中を心地良くするのは本来、家族みんながやること!」

2025年4月2日(水)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

片付けても片付けても家族が部屋を散らかし続け、毎日のように「片付けて!」と声をかけている方も多いのではないでしょうか。しかし「家が片付かないのは、あなたが家族に対して『片付けて』と言うからです」と指摘するのは、オンラインの片付けサポートや片付けスクールを運営する、オンライン片付け専門家の伊藤かすみさんです。そこで今回は、伊藤さんの著書『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』から、一部を抜粋してお届けします。

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家の片付けって、誰がするもの?


日本の家庭では、家の片付けはお母さんがするもの。まだまだそういうご家庭も多いのではないでしょうか。夫婦二人がフルタイムで働いていたとしても、家の片付けは奥さんがやっている、という話をよく耳にします。これは、戦後の家長制度、または女性の専業主婦時代の名残りかもしれませんね。

もちろん、ご主人が主に家の片付けをしているご家庭もあることでしょう。ところが中には、ご主人から「君が片付けを上手にできないから、僕がやってあげているんだよ。」と奥さまが言われてしまうケースもあるようです。言われた奥さまとしては、暗に「君が片付けできれば、僕はやらなくてすむのにね」と責められているように感じるといいます。

毎日家族のために食事を作っている奥さんが、「夫がやらないから、私がやってあげているのよ」と夫に対して言う、なんて話はあまり耳にしないと思いませんか?

しかし、「妻が片付けをやらないから、僕がやってあげている」という表現に、「そうなんだ、良いご主人だな」と、とくに違和感を持たない方もいらっしゃいます。ここには、さまざまな価値観が見て取れますね。

「片付けは女性がやる」という思い込み


私たちは心のどこかで「片付けは女性がやる」のが常識だと思い込んでいるのかもしれません。

雑誌の特集を思い出してみてください。男性誌で「家の片付け」を特集したものを見たことがありますか?

仕事に関するモノなら、片付けがテーマの特集はあるかもしれませんが、女性誌のように頻繁に家の片付けが特集されることは「ない」ですよね。

家の中を心地良くするのは、家族みんながやること。本来、男性の役割とか、女性の役割とかではないはずです。けれど、自然と「そういうものだ」と受けとめている。気づかないうちに、そのような意識になっているのが、雑誌の特集を見るだけでもわかります。

片付けの海外事情


これは日本人特有のもの、お国柄によるものなのでしょうか。以前、インド在住の、自営業をされているアラムさんという方に、片付けについてインタビューをしたことがあります。

「アラムさん、インドの人は片付けで困っていることってありますか?」


(写真提供:Photo AC)

「困っているよ。悩んでいる人、いるよ」

「アラムさんの家ではどうですか?」

「僕は片付けが苦手だから、奥さんが全部してくれている。奥さんが片付けてくれたのを、僕がまた散らかしてしまっているんだ」

夫は、片付けが苦手。だったら、妻が夫の分も片付けをする。日本もインドも同じなのだな、と感じました。と同時に、ひとつ気になったことがあります。もし女性が片付けが苦手な場合は、「私は片付けが苦手だから、夫に私の分もやってもらう」という発想にはなりにくいと思いませんか?

それよりも、「片付けが苦手ではいけない、何とかしなきゃ」と考えるのではないでしょうか。

片付けを外部委託する


また、マレーシアに住んでいる知人によると、「マレーシアには各家庭にメイドがいるから、そんなに片付けをしなくてもいいの」だとか。

日本でも、家事代行サービスをお願いして、片付けを「外部委託」しているご家庭が、以前よりは増えてきた感覚があります。

メイドがいる、もしくは業者が家に来て片付けをしてくれる場合には、「片付けは誰がするの?」と悩むことはそうないかもしれませんね。

しかし、そうではない場合。家の片付けは、当たり前のように、奥さんであり母親でもある「自分がやらなきゃ」と思うのではないでしょうか。

※本稿は、『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付けしつもん術』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

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