<今後株価は上がる?>稀代の起業家の回答は…「予想が外れても犯罪にならないのが株。外れて訴えられることもない」事実が意味するもの【2025マネー記事セレクション】
2025年4月16日(水)6時30分 婦人公論.jp
キムさん「誰かにとってのブラックマンデーは、ほかの誰かにとってのブラックフライデーなのだ」(写真提供:Photo AC)
2024年に『婦人公論.jp』で反響を得た「マネー」に関する記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年03月02日)
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24年2月22日の日経平均株価はバブル期以来、実に約34年ぶりに過去最高値を更新しました。NISA制度の拡充もあり、この機会に投資を始めようと考えている方もいらっしゃることでしょう。そのようななか、韓国人として初めて、アメリカの外食産業で大成功した起業家、キム・スンホさんは成り上がった秘訣を発信しています。キムさんいわく、「誰かにとってのブラックマンデーは、ほかの誰かにとってのブラックフライデー」だそうで——。
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「今後、株価は上がりますか?」への私なりの答え
「今後、株価は上がるでしょうか?」
知人からこんな質問をされた。
だが、私はふつう、こうした質問には答えない。
2020年3月から株価が下落し始めると、遅れて株に投資した知人が心配になってあちこち聞き回ったあげく、ついに私にまで質問してきたのだ。
事業をやっているから、私の判断のほうに権威があると思ったのだろう。買い増すべきか、売るべきか、心配でしかたなさそうだった。
私が質問に答えない理由は簡単だ。
自分なりの答えがあるとしても、それは相手にとっても有効かどうかはわからないからだ。
暴落した株がいつ上がるかは、誰にもわからない。どれほど有名な人でも、素晴らしい投資実績のある人でも、さらには国家の指導者であっても、株の動きはわからない。
チャートでテクニカル分析をして投資をする人や、過去のケースから自信満々に予想する人は多い。だが、当たれば英雄になり、外れても犯罪にならないのが株式市場だ。外れたからと訴えられることもない。
尋ねるのも愚かなこと
また、もし私が市場の動向を知っていれば、それに合わせてすでに投資しているだろう。
私にも翌月や来年の市場動向はわからない。
だが、来年、あるいは5年後の動向はよくわかる。
さらに先を見てみよう。10年後にはどうなっているだろうか。その程度なら、誰でも答えを知っているのではないだろうか。
尋ねるのも愚かなことだ。みんな答えを知っているからだ。
正解に合わせて答えを書けばいいのに、焦るあまり誰にもわからない問題について頭を悩ませているのだ。
ブラックマンデーとブラックフライデー
10年は寝かせられるお金で投資をしていながら、暴落相場でさらなる暴落を恐れるのは筋がとおらない。
暴落が続けば、株価は企業の実質的価値を下回るようになる。
リスクが消えるどころか、損益分岐点を越えてしまうのだ。
ここからがマーケットの達人と資本家の出番だ。
彼らは株価と企業価値を計算し、ブランド品を選ぶような感覚で株を買い漁(あさ)る。一般の人たちが株価のさらなる下落を恐れてためらううちに、バーゲンセールは終わってしまう。
暴落が続けば、株価は企業の実質的価値を下回るようになる(写真提供:Photo AC)
数日前まで付加価値を載せて高値で売っていたブランド品が、いきなり2〜3割引きセールを始めれば、誰もがその商品を買うだろう。
さらに、この商品は消費財ではないので、あとで高値で売ることもできるし、配当ももらえるのだから、あっという間に売れるのも当然だ。誰かにとってのブラックマンデーは、ほかの誰かにとってのブラックフライデーなのだ。
投資の定石
冒頭のような質問をする人には、ふたつのケースがある。
ひとつは、早く収益を上げたいケース。
もうひとつは、自分が買いたくて買ったのではなく、誰かから勧められて買ったケースだ。
もとのお金の質が悪く、買った銘柄も信じられないので、成果を挙げられないのだ。このふたつの弱みを直さない限り、資本利益を得ることは死ぬまで無理だと肝に銘じておこう。
だから投資をする人は、予測が的中したときだけ収益が出るような状態に身を置いてはならない。市場がさらに悪化しても対応できるような状態で、投資しなくてはならない。これが投資の定石だ。
※本稿は、『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
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