青木さやか「旅行に行くのに玄関にスーツケースを忘れた!何が入っていたかも思い出せない。窮地を救ってくれたのは」

2025年4月17日(木)10時0分 婦人公論.jp


写真提供:青木さん 以下すべて

お笑いの仕事だけでなく、俳優・エッセイストとしても忙しい毎日を送る青木さん。この春『Nスタ』ゲストコメンテーターを務めることも決まりました。今回は「スーツケースを置き去りにした人として」を綴ります。

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スーツケースがない


羽田空港に車で到着した。1泊で北海道へ講演旅行にいくためだ。

駐車場の混み具合も事前に確認し、しかし諸々手間取るかもしれないからと100分前に到着の予定。ANAは第二ターミナルだと事前確認。
空港で食べようとおにぎりも作り、部屋を片付け、猫に挨拶し、ゴミは捨て、観葉植物に水をやり、娘に手紙を書き置きしてきた。
1人で留守番をしてくれるのだから、彼女も成長したものだ。


羽田空港に余裕で到着したが…

羽田空港駐車場は比較的ゆとりがあり、駐車場の枠に車を真っ直ぐにとめ、眼鏡をかけ車を出て、スーツケースを取るために後方席のドアを開けたら、なかった。

スーツケースがなかった。

ああ、トランクだったか、とトランクも開けようとする。
しかし同時に、出がけにトランクを開けた記憶はないし、いまトランク内はコントの衣装と水でスペースがいっぱいで何も入らないから開けるわけないな、と頭に浮かぶが、だけど開けた。
開けるしかない。

やっぱりわたしの記憶は正しく、コントの衣装が乱雑に入っていた。
もう一度後方席のドアを開けるが、ない。
トランクに戻りコントの衣装の下を、あるわけないけど探してみる。
わかってたけど、ない。

何が入っていたんだっけ


そうだ。
マンションの駐車場から車を出すときに、一旦マンション玄関にスーツケースを置き、玄関前まで車をつけてスーツケースを入れてから出発しようと思ったんだ。

だが、駐車場から動かした車をわたしは一度も止めることなく羽田まで来た。

ということは、スーツケースはマンション前にあるはず。

名推理!


本連載から生まれた青木さんの著書『母』

いやいや、ちょっと待って、何が入っていたんだっけ?
今手元にあるピンクのトートバッグの中に財布、筆記用具、メイクポーチ、ノートがある。スマホはポケットにある。
スーツケースの中には、そうか、今日の講演会の衣装と靴、資料、明日の着替え、メイク道具、サプリ、あたりか。
まあ、最悪なくて平気か。
まずはほっとする。

しかし、今日の講演会に、Tシャツとジーンズで登壇するのか、それもなかなかの勇気だが、仕方ないから事情を話して
「なんと忘れっぽいのか50代!」
という講演内容に変えるか…。
いやいや今日の講演は大学生に向けてなのだから、忘れっぽい話は自分の親で辟易してるだろう。

手元に届いたスーツケース


そうだ、羽田空港の中に、講演会にもおかしくない服は売っているのだろうか。
なんだか色々な店があったような気がする。
よくみたことはないが、何やら服的なものを見た記憶がある。

靴もいる。
靴も!?
すごい出費だ!

それより、スーツケースを玄関前から動かしてもらわないと、と同じマンションに住む友人に電話をする。
出発時、玄関先で鉢植えをしていた友人にはメイクを褒められ、暑そうだね、と声をかけてくれた。
「40代にぴったりメイク動画を観ながらメイクしたら、この出来!10歳若返ったでしょう。札幌に行くからコートを着てるの」と彼女に伝えた。
挨拶もそうそうに颯爽と別れたが、このザマで驚く。

電話がつながり、マンション前にスーツケースを置きっぱなしにしたから明日まで預かっておいてほしい、と伝えると

大変だ大変だとわたし以上に慌て、今すぐ羽田に届けるという。
わたしは、いい、いい、1時間かかるんだから、と一度は断ったが、二度目は断らなかった。


届けてくれた友人の車

スーツケースは1時間後に手元に届き、わたしはマンションで、「また明日」と別れた友人と、明日を待たずに羽田の土地で一瞬目を見て握手を交わすことができた。

最高の旅のスタートだ。

婦人公論.jp

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