和田秀樹「今日もムダな時間を過ごしてしまった」と後悔しない方法。ソファでゴロゴロも意識的に行えばOK
2025年4月22日(火)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
「精神科医になり、あまりに多くの人が、手が抜けないために、心の病に陥ってしまう現実を目の当たりにした」と話すのは、高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生。そこで今回は、和田先生の著書『60歳からの「手抜き」の極意』から一部を抜粋・再編集し、<第二の人生を存分に楽しむための新提案>をお届けします。
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タイパを意識して楽な生活
今、コスパと並んでタイパという言葉が使われるようになってきました。タイムパフォーマンスの略で、時間対効果という意味です。
私は基本タイパはいい方がいいと思っています。勉強法でも、なるべく余計な時間をかけずに点数が取れる勉強法を指導してきました。ムダに流れる時間はもったいないと思っています。
惰性でテレビをつけているということはありませんか。でも、せっかく見るのであればしっかり見た方がいいのではないでしょうか。
ちょっとした出費で成果を得られることなら、さっさと解決してしまいましょう。なんとなくテレビをつけているけれど、別に見たいテレビ番組があるわけではないというのなら、YouTube やネットフリックスなどの配信サービスの中から、自分に合うものを探してみませんか。YouTube でCMが流れるのが気になるというのなら、プレミアム会員になればCMを見なくてすみます。
設定するのに自信がないなら誰かに頼んでもいいのですが、これもいい機会と前向きにとらえて、あれこれ調べながらやってみるのも価値があります。途中でどうにもならなくなった時に、誰かに助けてもらえばいいのです。
時間を有意義に使えるコンテンツを探すべき
娯楽に関しては、「面白いとは思わないけど」などと言っていてはもったいない。楽しむための娯楽ですから、自分が本当に楽しめて、時間を有意義に使えるコンテンツを探すべきです。
私はテレビのバラエティ番組には基本ろくなものがないと思っている方なので、DVDを探すか、ネットフリックスやアマゾンプライムなどを契約するのがおすすめです。
あるいは、古典や新作の落語を見るとか、昔の漫才を見るのもいいでしょう。上質なお笑いは、メンタルヘルスにもいい影響があります。
最初はちょっと手がかかるかもしれませんが、その後はただつけているだけでいつでも満足できるものに出会えるわけですから、結果的には賢い手抜きになるのです。
何をしているのかわからない時間を作らない
「今日もムダな時間を過ごしてしまった」「一日何をしていたか思い出せない」という日があるかもしれませんが、それはちょっともったいないかなと私は思います。
といっても、一日中意義のあることをしなくてはいけないとか、仕事や家事を徹底的にやらなくてはいけないということではありません。
(写真提供:Photo AC)
今は娯楽の時間だからテレビを見ているとか、今は休養の時間だからソファでゴロゴロしているとか、意識的に行っていればいいのです。
テレビをつけたままにしていて、とくに興味があるわけではないけれど見ているような見ていないような状態、それでいて体を休めているわけでも頭を休めているわけでもない状態などは、時間がもったいないし疲れるだけです。
意識してしっかりダラダラする
娯楽の時間は娯楽の時間、休養の時間は休養の時間と意識するといいでしょう。もちろん、今はぼんやり体と心を休める時間というのもあっていいのです。
けれども、「あれをしなくちゃ」と思いながらダラダラするのはストレス解消になりません。それなら「今は気が乗らないから休養の時間」と意識してしっかりダラダラすれば、そのあとの切り替えもスムーズになるでしょう。
そして、もし家にいるのがつまらない、なんとなく時間が過ぎてしまうという時は、とりあえず外に出てみるのがおすすめです。
散歩でも買い物でもちょっとコンビニまでのつもりでもいい。時間に余裕があるなら、目的も決めずに電車やバスに乗ってみるのもいい。そうやって何か行動を起こすと、何かワクワクすること、興味を惹かれることが見つかるかもしれません。
※本稿は、『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
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