鈴木亮平と有村架純「花まんま」で兄妹役...関西弁でギャグの練習?

2025年4月29日(火)6時0分 大手小町(読売新聞)

人の“記憶”を巡るちょっと不思議な物語——。2005年に直木賞を受賞した朱川湊人(しゅかわみなと)さんの短編集「花まんま」の表題作が映画化されました。主人公の兄妹役を演じたのは、今作が初共演という鈴木亮平さんと有村架純さん。人情味あふれる作品の魅力を、2人に語ってもらいました。

「花まんま」大阪の下町で暮らす加藤俊樹(鈴木)は、両親を早くに亡くして以来、たった一人の家族である妹のフミ子(有村)を大切に見守ってきた。フミ子の結婚が決まり、俊樹は肩の荷が下りるはずだったが、フミ子には兄に隠している「秘密」があった。

原作は俊樹が幼少期を回想する物語だが、映画では大人になった兄妹を描いたオリジナルストーリーが大幅に追加された。前田哲監督。出演は他に鈴鹿央士さん、ファーストサマーウイカさんら。

情に厚い兄の俊樹(左、鈴木亮平)と、兄に言えない秘密を抱える妹のフミ子(有村架純)(c)2025「花まんま」製作委員会

——完成した映画はいかがでしたか?

鈴木 見た人の年齢や状況によって見方が変わる作品だろうな。僕の場合は8歳下の妹がいるので、俊樹の視点からも見られるし、親の気持ちも想像できる立場にもなりました。人それぞれに刺さるものがあると思います。

有村 家族は唯一無二の存在だっていうところは、皆さんにも共感していただける部分だと思います。

——原作は兄妹の幼少期がメイン。最後の数行から、原作にはない成長した兄妹の物語を膨らませたそうですね。

鈴木 ここまでうまく世界を広げていて、脚本を読んでびっくりしました。

有村 皆さんにより愛していただけるエンターテインメント作品になりました。

鈴木亮平さん(左)、有村架純さん

——撮影現場でのお二人は役柄を超えて、「本当の兄妹のよう」だったと聞きました。

鈴木 出身地が近いので、すごく親近感がありました。

有村 私もいつもは遠慮しちゃったり緊張しちゃったりして、相手と何を話そうかと考えてしまうけど、今回は最初から関西弁でコミュニケーションをとっていたので、壁を感じませんでした。

鈴木 関西弁は距離を縮めるのに便利ですよね。

——映画からも関西ならではの空気感が伝わります。

鈴木 まず前田哲監督が大阪の気質を煮詰めたような人で。締めるところは締めるんですけど、いつも冗談ばかり言って周りをリラックスさせてくれました。

有村 スタッフもキャストも関西弁だから、本番以外もにぎやかでした。

鈴木 撮影の合間に(共演した)オール阪神師匠がギャグを教えてくれて。はと胸(胸を触られて「ポロッポー」と鳴く)とか猫背(背中を触られて「ニャー」と鳴く)とか。「やらなあかんで」って言われて練習しました(笑)。

有村 私は伝授してもらえなかったですけど、見ることはできました。

鈴木 子どもの頃から見ていたので、うれしかったです。

幼少期の俊樹(左、田村塁希)とフミ子(小野美音)の兄妹が体験した出来事が語られる (c)2025「花まんま」製作委員会

ツツジの花を白米や梅干しに見立てて作ったお弁当「花まんま」が、物語のキーアイテムとなる (c)2025「花まんま」製作委員会

——映画の見どころを教えてください。

鈴木 大切な人を失う喪失感や誰かに育ててもらう温かさ、全部ひっくるめて生きて死ぬということがすごく尊いことなんだと感じていただきたいです。撮影中は「泣けたな」だけで終わらない映画にするには、どうしたらいいかを考えました。見た人に「詰まっているのよ、人生が」って言ってもらえれば。

有村 「懐かしいな」とか、「家族に連絡してみようかな」とか、自分が過ごしてきた過去と向き合える作品になったと思います。ぜひ見ていただきたいな。

——お二人の子ども時代はどんな感じでしたか?

鈴木 おっちょこちょいで、よくけがをしてました。妹をめちゃくちゃかわいがっていて、(演じた)俊樹君の気持ちがわかります。

——印象深い出来事は?

鈴木 サッカーのJリーグ開幕(1993年)です。スポーツと言えば野球だったのに、みんなが急にサッカーと言い出して。新時代が来たって感じました。

——有村さんの幼少期はいかがでしたか?

有村 外で遊ぶのが好きで、友達とセミ捕りとかしてました。

鈴木 今でも触れる?

有村 セミだけは。

鈴木 ミミズは?

有村 ミミズは無理や(苦笑)。

——よく行った場所は?

有村 地元のたこ焼き屋さん。東京で食べるたこ焼きは揚げてあって外がカリカリなんですけど、地元のは「しゅん」ってなっている。これがもう本当においしくて。近所に住んでいた頃はキックスケーターに乗って買いに行きました。

(c)2025「花まんま」製作委員会

映画には原作者の朱川さんも、こっそりと出演している。撮影現場を見学していると、前田監督から「ちょっとくらい映ってみたら」と言われ、お好み焼き屋の客役としてテーブルに座った。「お酒を飲んで、『おかわり』って言うだけ。体格が大きいので、目立っていました」と笑う。

大阪府生まれで、2002年に「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。「花まんま」は05年の直木賞受賞後に何度か映像化の打診があり、今回ようやく実現した。

映画の原作となった短編小説集「花まんま」(文春文庫)

原作は俊樹が主人公の短編だったため、完成した後で妹のフミ子ら他の登場人物の設定を「かわいそうだったな」と思っていた。映画ではフミ子らのその後の人生が補完され、「みんなが納得できる道筋をつけてもらえた。登場人物がみんな幸せになって、原作者の僕も幸せ」とほほえんだ。

ファーストサマーウイカさんが演じた三好駒子など、映画オリジナルの登場人物には「バックボーンを想像させるキャラがザックザクいた」という。脚本から着想を得て、彼女らのサイドストーリー4編を描いた短編集「花のたましい」(文芸春秋)を3月24日に刊行。「映画と短編集を合わせて、“花まんまワールド”を楽しんでもらえれば」と話す。

(文・読売新聞文化部 吉田清均/写真・米山要)

プロフィル鈴木亮平(すずき・りょうへい)1983年3月29日生まれ。兵庫県西宮市出身。2006年にデビューし、NHK大河ドラマ「西郷どん」や、ネットフリックス映画「シティーハンター」などに出演。主演映画「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション」が8月1日に公開。

プロフィル有村架純(ありむら・かすみ)1993年2月13日生まれ。兵庫県伊丹市出身。2010年にデビューし、13年にNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で注目を浴びた。映画「花束みたいな恋をした」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。25年9月12日公開の映画「ブラック・ショーマン」に出演。

大手小町(読売新聞)

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