【ウィズ・ラブ、メーガン】メディアの酷評を跳ね返す圧倒的自己肯定感

2025年4月30日(水)15時0分 大手小町(読売新聞)

いつのころからか耳にするようになった「気になる言葉」を、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんが独特の切り口で読み解く夕刊「popstyle」の人気連載「辛酸なめ子のじわじわ時事ワード」。今回は【ウィズ・ラブ、メーガン】(うぃず・らぶ、めーがん)です。

ヘンリー王子と結婚してから話題がつきないメーガンさんの、Netflixの新番組「ウィズ・ラブ、メーガン」シーズン1が公開されました。自己顕示欲や野心、攻撃的な性格からアンチも多いメーガンさん。さっそく海外メディアでは辛口批評されまくっています。

「明白な絶望を伴うつまらないライフスタイルの埋め合わせ」「ビジネスの宣伝でいっぱいのナルシシズムの実践」「退屈、空虚、(ごう)(まん)」「特技もカリスマ性も特別な才能もない」など、そこまで言うかと気の毒になるほどです。

アメリカでは最近、セレブが料理に挑戦する番組が人気のようです。例えば少し前のNetflixの「パリスとお料理」は、パリス・ヒルトンが時々失敗しながらも友人と料理をポップに盛り付けるという、サービス精神満載で楽しい番組でした。

メーガンさんの番組も、素敵な邸宅に有名人の友人を招き、庭で収穫したり、料理したりおもてなししたりするそうです。実際に見ていいところを探してみました。

料理に試行錯誤する素の姿を見られるのではと期待が高まります。撮影場所はカリフォルニア州の自身の豪邸ではなく、庭付きのレンタルハウスだそうで、さすがガードが堅いです。

メーガンさんは友人と一緒に挑戦するというより、料理でも手芸でもなんでも知っていて強めの圧で教えてあげる、というスタンス。キャンドル作りから、フラワーアレンジメント、本格的な料理や盛り付けまでこなします。もちろん友人たちは「来るたびに5キロくらい増える」「やばいくらいおいしい」「何もかも完璧」「17皿は食べられる」「ソーアメイジング!」「オーマイグッドネス!」と全力で褒めていました。

金に糸目をつけず高級食材や花、果物を大量に使い、食用の花びらをよく料理にふりかけるメーガンさんを見た友人は、「まるでティンカーベルね!」と表現。物価高に苦しむ庶民とは異世界です。

メーガンさんは時々、名言ぽいことを口にするのも忘れません。「おうちで何か作ることは創造の一部よ」「(かん)(きつ)類のさわやかさはいい仕事をする」「愛は細部に宿る」など。最後の回ではヘンリー王子が登場し「すごいよ、よくやったね!」と褒めて軽くイチャつき、圧倒的な勝ち組の余韻を残して終わりました。まさにプロモーション番組で、やっぱりメーガンさんはメーガンさんでした。強固なメンタルと自己肯定感の高さは見習いたいです。

歴史上悪名をとどろかせた王族が、後世ブームになることもあるようで、最近日本ではヘンリー8世が人気です。

6度も結婚し、妻たちの多くは斬首、死亡、離婚など不幸な運命に……。そんな彼が登場する漫画「セシルの女王」はヒット中。6人の王妃が出てくるミュージカル「SIX」、映画「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」など関連作品が続きます。メーガンさんも悪評が多いですが、後世、彼ほど強力なコンテンツになる可能性はまだ薄そうです。今後いかに歴史に爪痕を残せるかにかかっています。

大手小町(読売新聞)

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