絶滅危惧種の鳥のことを知ってほしい!ダイシャクシギの被り物で約87kmを歩き続けた男性
2025年5月2日(金)17時0分 カラパイア
image credit: Instagram @matthewtrevelyan[https://www.instagram.com/p/DItRRHFoa3_/]
4月21日は「世界ダイシャクシギの日」だった。といってもみんなピンと来ないかもしれない。この鳥はチドリの仲間で、細く湾曲したクチバシが特徴の水鳥だ。
イギリス、ノース・ヨークシャーのニダーデール国立景観地の農業支援担当官、マシュー・トレベリアンさん(46)は、このダイシャクシギが大好き。
そこでこの日を記念して、準絶滅危惧種に指定されているこの鳥の保護を訴えるために、本物そっくりに作った被り物を被り、景観地周辺の道を歩くことにした。
「ダイシャクシギの日」に合わせて歩け歩けチャレンジ
今回のチャレンジは、ニダーデール国立景観地[https://nidderdaleaonb.org.uk/2025/04/16/a-walk-for-curlew/?utm_source=chatgpt.com]自体の支援もあって実現した。景観地のHPでは、この「ダイシャクシギの日」について次のように説明している。
「世界ダイシャクシギの日」は、世界中のダイシャクシギを支援する草の根運動です。 2017年にメアリー・コルウェルによって創設されました。
この日は生息地の喪失や土地利用の変化、そして気候変動によるダイシャクシギの危機に光を当てるものなのです
こちらがその「ダイシャクシギ」である。細くてカーブを描いたクチバシが特徴で、日本にも夏になるとやって来るシギ科の渡り鳥だ。
Photo by:iStock
マシューさんは21日の「ダイシャクシギの日」を前倒し、週末の19日・20日の2日間に「ダイシャクシギのために歩こうチャレンジ」を企画。
ネットを通じて「誰でも、いつでも、全行程でも一部だけでもぜひ参加を」と呼びかけた。
こちらがお手製のダイシャクシギの被り物、その名も「キャシー」だ。竹で作った枠の上に布を貼り、絵の具で塗って仕上げたハンドメイド。
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実はマシューさんはこの職に就く前、人形師をしていたんだそうだ。その経験を活かして、3日ほどでキャシーを完成させたんだそう。
私のことをよく知っている人なら、きっと私がいつか巨大なダイシャクシギを作ろうとしていたことを知っているでしょう。
この鳥は本当に美しい鳥なんです。私はそれをうまく表現したかったんですよ。こんなにうまくできて嬉しいです。
頭とクチバシの部分がとても難しかったのですが、そこさえクリアしてしまえばあとは簡単でしたよ
右にスワイプしてもらうと、メイキングの画像が見られるよ。
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被り物の「キャシー」を被って2日で85kmを踏破
当日、マシューさんはキャシーを被って歩き出した。キャシーはとても軽いので、長時間歩いてもまったく問題はなかったそうだ。
徐々に参加者も増え、楽しく会話をしながら美しい景観地を歩き続ける。こちらはマットさんがキャシーの中から撮った映像。中央の黒いモノはクチバシだ。
最終的に、マシューさん歩き通した距離はなんと約87km。休憩をはさみつつ、1日に12時間歩き続けた。
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絶滅の危機にある水鳥を救いたい
ダイシャクシギはイギリスでは絶滅危惧種に指定されており、年々その数が減少しているんだそうだ。
マシューさんは、この鳥への思いを次のように語っている。
ダイシャクシギは私の一番好きな鳥で、イギリス全土でその数が大幅に減ってしまったことが本当に悲しいです。
ニダーデールはまさにダイシャクシギの拠点となっているのですが、かつて拠点のあった他の地域と同様に、個体数は大幅に減少しています。
ダイシャクシギには毎年同じ荒れ地や農地に戻って卵を産み、孵化したばかりのヒナの世話をするという習性があります。
草が茂った静かな場所を好みますが、そういう場所は農家に頻繁に利用されており、トラクターに卵をつぶされることも。
農業だけではありません。さらにカラスやキツネといった捕食者も、多く生息しています。加えて気候変動など、さまざまな問題を抱えているのです
現在ニダーデールでは、5万8,000羽のダイシャクシギしか残っていないという。個体数の減少を食い止めるには、少なくとも毎年1万羽以上のヒナが孵る必要があるそうだ。
早急に対策しなければ、完全に絶滅してしまう可能性さえあります。すべての巣、卵、そしてヒナが大切なのです。
もしダイシャクシギがいなくなれば、私たちの野生生物と英国文化の豊かな一部分を失うことになります
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今回のチャレンジには、参加した人からもできなかった人からも、たくさんの称賛の声が寄せられていた。
ダイシャクシギは本当に神聖な鳥で、私にとってはこの土地そのものです。啓発のために歩いてくれただけでなく、こんなに美しく表現してくれてありがとう。これからもこの物語を語り継いでください
私はこの鳥の鳴き声と共に育ちました。その存在は私の骨に刻み込まれています
この鳥の鳴き声を聞くと、胸が締め付けられます。以前は絶えず聞こえていたのですが、最近は頻繁には聞こえなくなってしまいました
探し回ってしまったけれど、あなたを見つけられて嬉しかった!
今朝は皆さんと一緒に歩けて本当に楽しかったです。あなたの情熱と献身には驚かされます
私の夫も、今ではダイシャクシギの鳴き声を聞かなくなってしまったと言っていました
おめでとう。素晴らしアイデアですね。これからも頑張って!
マシューさんは今回のチャレンジが、人々に地域の自然保護活動に参加し、「責任を持って」自然にかかわるきっかけになればと願っている。
人々が自然を楽しみながらも、配慮と思いやりを持って自然と触れ合えるようになったら素晴らしいと思います
References: Man Walked 53 Miles in a Handmade Giant Curlew Costume[https://www.vice.com/en/article/man-walked-53-miles-in-a-handmade-giant-curlew-costume/]