桐谷健太「いつか、ヒーロー」で体当たり演技...敗者復活戦の経験は?
2025年5月11日(日)6時0分 大手小町(読売新聞)
いつか、ヒーロー(テレビ朝日系) 日曜午後10:152005年春、児童養護施設「希望の道」の職員、赤山誠司(桐谷健太)は、学校を建設するためカンボジアに向かう直前、何者かに襲われ、意識不明になる。20年後、意識が戻った赤山は夢や希望を失った教え子たちに再会する。

目と声に不思議な“熱”を感じさせる人だ。演じてきた役柄もしかり。今回演じる児童養護施設職員だった赤山は、意識不明になって20年ぶりに目を覚ました、まるで「リアル浦島太郎」? 変わってしまった教え子たちに、まっすぐ思いをぶつける。
「感覚的に、もう体当たりでぶつかっていくしかないな、今回はそれが一番いいんだろうなって」。台本に初めて触れた感想をそう話す。彼なりの、作品や役へのアプローチの流儀がうかがえた。
教え子たちの複雑な家庭環境も描かれる。撮影前には、児童養護施設のドキュメンタリーを見るなど、作品に関わる情報を自分に染みこませた。でも、頭でっかちにはならない。「現場で子どもたちと
赤山は地べたにはいつくばっても再び立ち上がる。「今はスマートさが評価されるからダサいと思う人もいるだろうけど、『生きているんだなコイツ』、みたいな感じが僕は好きです」。熱い者同士、ひかれるものがあるようだ。

幼い頃に映画「グーニーズ」を見て「なんで俺、ここにいないの」と悔しがり、高校ではコンビニの書棚を見て「なんで俺が表紙の雑誌がないんだ」と嘆いて自身が表紙の雑誌を手作りした。悔しさも、行きたい方向を教えてくれる“道しるべ”にしている。
夢をかなえ、無二の色を出せるようになった今、「ヒーロー」になれたのでは? 「なりたいようにはなってきている。ヒーローは自分の中にあって、『あの人みたいになりたい』だと難しいけど、『こういう自分になりたい』と思えば、やめない限り近づいていくんじゃないかな」
Q.この20年の自身の変化は。
A.全然違いますね、世界観も価値観も。でも、変化をどう説明したらいいんだろう。落ち込む時間を気づきの時間にしたのも、じわじわ(そう変わっていったよう)な感じ。自分がどういるのが好きかを一番大切にすればいいんじゃないかな。
Q.敗者復活戦を経験したことは。
A.あまり勝ち負けに身を置いていない気がする。「死ぬまで敗者復活戦」ってキャッチコピーも「何があっても、死ぬまで諦める必要ない」という意味だと思う。
(文・読売新聞文化部 松崎美保/写真・佐藤俊和)
プロフィル桐谷 健太(きりたに・けんた)1980年2月4日生まれ。大阪府出身。TBS系「JIN—仁—」など話題作に出演多数。auのCM「三太郎シリーズ」の浦島太郎役でも注目を集めた。NHK大河ドラマ「べらぼう」にも大田南(なん)畝(ぽ)役で出演する。