東北地方にあった「幻のキリスト教圏」とは? 水没キリスト像から考察(山口敏太郎)

2022年11月2日(水)15時0分 tocana

 先日ファンの方30名と十和田湖にツアーに行ってきた。年に二回開催されるファンツアーの一環であった。


 メインテーマは、東日本大震災以来10センチも水位が下がった際に、発見された水没したキリスト像である。場合によってはマリア像にも見えるともいわれるが、もともと自然の岩に顔や目鼻を刻んだものと推測される。これはいつ誰が作ったものか、それがはっきりしない。


 また、奇妙なことに新郷村のキリストの墓、謎の礼拝堂、そしてキリスト像の3点が同一線上に並んでいることである。まず、謎の礼拝堂だがさまざまな都市伝説が語られていた。「神に捧げられる子供たちが勉強した部屋だ」「悪魔崇拝の信仰が行われていた部屋だ」などが代表的なフォークロアであったが、この礼拝堂はイングランド国教会を始祖とする会派「聖公会」が管理下に置き、昭和25年に作られたものだということがわかった。聖交会は至ってまともな団体で、プロテスタントとカトリックの中道を唱えており、我が国においては聖路加国際病院や立教大学を設立している。昭和25年に所属する牧師さんが夏の間の避暑地として整備したものであった。


 しかしながら、キリストの墓とキリスト像の延長線上に位置すると言う部分は、牧師さんが知っていてやっていると思われる。つまり、その当時は水中に没していたキリスト像の存在を、牧師さんは知っていたと言うことになる。


 では水中のキリスト像に話は戻るが、なぜ水中に隠さなければならないのか。聖公会が初めて日本に進出したのは明治である。当然はキリスト教は禁止されておらず、水中に隠す必要はなかった。つまり、キリスト像は明治より昔、キリスト教が禁止された時代から存在すると推測ができる。


 既に江戸時代にはキリストの墓とされる土饅頭、水中に没したキリスト像と言うレイラインが成立していたのだ。聖公会の牧師さんは、隠れキリシタンの末裔から水中のキリスト像の存在を聞き、それを利用しただけと思われる。


 では、キリスト像を水中に設置したのは、東北地方に潜んでいた隠れキリシタンであろうか。バテレン追放令を受けて日本全国で隠れキリシタンに対する圧力が高まった。多くのキリシタンは信仰を捨て離散した。


 しかし、信仰を捨てなかったキリシタンは鉱石発掘の作業現場に潜り込むことによって生きながらえた。キリスト教の信仰を続ける上で、町中に潜むより山中の作業現場の方が安全だった。


 具体的な証拠として先日世界遺産に認定された石見銀山の麓には、キリスト教徒の墓が残されている。十和田湖の周辺も同様であった。仙台藩の発掘現場、南部藩の発掘現場、そして十和田湖の周辺も優秀な銀が取れる銀山として著名であった。また、使用する藩としても、キリシタンの技術は素晴らしく、彼らがもしキリシタンであると知っていても、知らぬふりを決め込んだ可能性はあり得る。



 よくよく考えてみれば、発掘の技術があるキリシタンからすれば、水中の像に細工をすることなど朝飯前であろう。また、湖は女性器として表現されることが多い。ひょっとしたらあの像はマリアの女性器から出現したキリストを表しているのかもしれない。


 さらに、キリストの墓であるが、あれは間違いなく江戸初期の隠れキリシタンの墓ではないだろうか。当時、多くのバテレンが追放されたが、若干名生き残ったバテレンが姿を消している。その生き残ったバテレンこそが、十和田湖のほとりにたどり着いたのではないだろうか。


 戦国時代、日本にやってきたイエズス会は、キリスト教の伝道師ではあったが、その何割かはユダヤ教からの変更者であった。その結果、ユダヤの習慣や慣習が新郷村(戸来村)に残る形になったのではないか。また、ひょっとしたら十三湊を経由して室町時代から景教(キリスト教)、ユダヤ教が伝来していた可能性はある。それと同時に宣教師が九州経由ではなくて、十三湊経由で入ってきた可能性は否定できない。


 このように十和田湖を中心に重層的に重なった、キリスト像・ユダヤ教の習慣や思考が特殊な文化圏を形成した可能性はありうる。それが超古代文明(縄文文化)と結びつくのであれば興味深い。やはり、東北には特別な文化圏があったのであろうか。



山口敏太郎
作家・オカルト研究家 著作170冊、おはスタ 、クギズケなどレギュラー番組四本 、番組出演400本以上、芸能プロタートルカンパニー代表、妖怪博物館〈銚子市中央町6-26〉、オカルトニュースATLAS(http://mnsatlas.com/)を経営中。


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