“メンター”との出会いと気づきが、これからの女性リーダーをつくる
2024年4月25日(木)6時0分 ダイヤモンドオンライン
労働力人口が減少していくなか、女性活躍推進の成否は経済成長の明暗を分けると言っても過言ではない。しかし、そこには、“女性管理職の登用に腐心する経営層・人事部”と“管理職に就くことを望まない女性”の溝といった、さまざまな課題が横たわっている。メンターの育成など、企業における女性活躍を支援する池原真佐子さん(株式会社Mentor For 代表取締役)に、2021年・夏にインタビューを行った「HRオンライン」が、コロナ禍が落ち着いた2024年――改めて、“現在進行形”の話をうかがった。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
多くの企業が「女性活躍推進」に目を向けている
池原さんの起業は2014年。その2年後――池原さん自身が妊娠・臨月を迎えたときにパートナーの海外赴任が決まった。結果、一人で日本に残り、ワンオペ育児に奮闘しつつ会社を切り盛りする日々を過ごしながら、「ロールモデルとなる先輩にキャリア相談したい」と思ったものの、身近にそうした女性はいなかった。メディアに登場するハイキャリアの女性に目を向ければ、眩しすぎて、気持ちがかえって追い詰められてしまう。池原さんが、社外メンター(メンタリングを受ける人のロールモデル)の育成やマッチングを、2018年に企業に提供するようになったのはそうした経験があったからだ。
池原 私の場合は起業家という立場での悩みでしたが、多くの企業において、女性がリーダー職に就くことを打診されるのは、「ファーストペンギンになれ!」と言われるのと同じこと。仕事以外に抱えているものの重さを考えると、躊躇してしまう気持ちはよくわかります。でも、すでにその道を歩いている女性が公私ともに楽しんでいる姿を見せてくれたり、「私にもできたから、あなたも大丈夫よ」と背中を押してくれたりしたら、どんなに気持ちが楽になることでしょう。それで、一歩踏み出せる人も少なくないはずです。私には、海外で、多様な働き方をしている等身大の女性リーダーたちに話を聞いてもらったり、励ましてもらったりして救われた時期がありました。そうして、“誰もが自分に合うメンターに出会えるような仕組み”をつくりたいと思ったのです。
昨年2023年、池原さん個人は「東京女性経営者アワード(継続成長部門)」「Japan Venture Awards(JVA審査委員会特別賞)」を、Mentor Forは「D&Iアワード2023(トップインクルーシブカンパニー賞)」という賞を立て続けに受賞した。女性活躍推進における「メンター」の存在が、飛躍的に注目を集めていることの表れだろう。
池原 前回のお話(*1)は、女性管理職の育成のためには、ロールモデルでもある“メンター”の存在が必要なことが認知されてきたタイミングでしたが、昨年(2023年)は、そうした動きが加速する手応えを感じました。受賞が続いたのは、私たちが取り組んでいる「社外メンターの育成とマッチング」という事業領域が、あらゆる企業の課題と重なっているからではないでしょうか。
*1 「HRオンライン」での池原さんへのインタビュー「管理職になりたくない女性が、“メンター”の存在で変わっていく理由」
また、 “メンターの育成”は、コロナ禍でリモートワークが広まったことも追い風になりました。というのも、かつては対面を希望する方が多かったのですが、もともと、私たちは地域を選ばずに知見をシェアすることにこだわっていたので、オンラインの方がやりやすかったのです。
池原真佐子 Masako IKEHARA
株式会社Mentor For 代表取締役
早稲田大学、早稲田大学院(教育学研究科/生涯学習専攻)卒業後、NPO等でのインターンを経て、PR会社、NPO、コンサルティング会社で勤務。在職中にINSEAD(Executive Master in Consulting and Coaching for Change:現EMC)にて修士号を取得後、創業するも臨月でパートナーが海外転勤となり、ワンオペ育児で仕事と育児を両立。この出来事が契機となり、2018年に企業で働く女性リーダー・候補に社外メンターをマッチングする事業とメンターを育成するスクールの2つを立ち上げる。DE&I、女性活躍、メンター・スポンサー育成等の講演実績、および受賞歴多数。著書に『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体~コンプレックスを強みに変える実践的レッスン~』(大和書房)、『女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書』(日本実業出版社)がある。
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