「ミスをしても謝らない人」を一発でおとなしくさせる1つの質問
2024年5月5日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン
人が次々辞めていく、上司と部下の会話がない、メンバーのモチベーションが上がらない――コロナ明け、チーム内コミュニケーションに悩んでいる人も多いかもしれない。そんな悩める人たちに話題となっているのが、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)・木下勝寿社長の最新刊『チームX(エックス)――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』。神田昌典氏は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」と絶賛した。これまでのシリーズ『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」と人気会計士から評され、『時間最短化、成果最大化の法則』はニトリ・似鳥会長と食べチョク・秋元代表から「2022年に読んだおすすめ3選」に選抜。だが、その裏には「絶頂から奈落の底へ」そして「1年でチーム業績を13倍にした」という知られざるV字回復のドラマがあった。しかもその立役者はZ世代のリーダーたちだという。そこで今回、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。本書を読み解くのは、独自の目標実現法「行動イノベーション」アプローチで、キャリア構築・人材育成に携わってきた大平信孝氏だ。『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)をはじめ、ベストセラー作家でもある大平氏は『チームX』をどう読み解いたのか。連載7回目は、「ミスしても謝らない人の対処法」について話を聞いた。(構成・川代紗生)
Photo: Adobe Stock
「ギャフンと言わせる」ことが目的化する危険性
――「ミスをしても謝らない人」がいたら、管理職はどのように対処すればいいでしょうか。メンバーに迷惑をかけても誤魔化したり、言い訳したり、他の人に責任を押しつけたりして、謝ることから逃げる人がいますよね。
大平信孝(以下、大平):ありがちな失敗例としては、「謝らない相手を問い詰め、ギャフンと言わせる」ことが目的になってしまうケースです。
――ああ、「あるある」ですね……。
大平:自分のミスを認めない人がいると、どうしても感情的になってしまいがちですが、「相手の顔を青白くさせてやりたい」「懲らしめてやりたい」と思ってしまうと、本末転倒です。 あくまでも、「チームとして成果を出す」ことがゴールであり、ミスを指摘し、同じミスをしないようにしてもらうことは手段の1つ。こういうときほど冷静な対話を心がけないと、話が余計にこじれてしまいます。
「ミスの起点」を明確にする1つの質問
――でも、ミスを誤魔化されると、残念な気持ちになりますし、上司としても精神的にかなり消耗しますよね。感情的に本音をぶつけたくなってしまう人も多いと思いますが、どうすれば、冷静かつ効果的な指導ができるでしょうか?
大平:1つ、おすすめの質問があります。「本当はどうしたかったの?」 という問いかけてみることです。
――「本当は、どうしたかったのか」ですか。
大平:はい、ミスをした事象に関して、本当はどう対処したかったのか、検証してみるといいと思います。 どこまでは予定通りにできていて、どこからボタンの掛け違いが起こったのか。「ここまでは問題なかったのですが、ここから、こういうふうに考えてしまい、それがミスにつながったかもしれません」 という言葉を、当人から引き出せるといいですよね。 どこからそのミスが始まったのかという、「ミスの起点」を明確にすることを心がけるといいと思います。
――なるほど、ミスの起点ですか。
大平:ミスしてしまった人は、上司や同僚に迷惑をかけた時点で、頭の中がパニックになっているものです。誰だって、ミスをしたくてミスするわけではなく、しっかり準備していた部分や、問題なく進んでいた部分もあるはず。でも、部下のミスを知った管理職は頭ごなしに部下を怒りがちです。 部下としては、今までがんばってやってきた努力がすべてムダと思われるのが嫌だからこそ、誤魔化したり、責任逃れしたりするのでしょう。
「原因解消思考」と「最終目的逆算思考」
大平:『チームX』では、問題を解決する思考法には、「原因解消思考」と「最終目的逆算思考」の2パターンがあり、正解のない問いに取り組むときには、後者の思考法が特に重要だと書かれています。
これは過去に正解があって現在は正解がないときに、そのギャップを特定し、ギャップを埋めるときは有効だ。
だが過去に正解がなく、まったく新しい問題に取り組む際には機能しない。目の前の道を歩いていっても、なかなかゴールにはたどり着かないのだ。
こういうときはゴールから「逆算」し、どの道を進むべきか考える「最終目的逆算思考」が必要である。(本書P195~196より)”
この考え方には、本書の中でも特に強く共感しました。 ビジネスシーンでは、何か問題が起きたとき、「誰が犯人なのか」と過去の原因に意識が向くことが多い。でも、いくら犯人探しをしても、未来の問題解決につながるとは限りません。 過去の原因追及はあくまで「解説」にすぎず、「解決」に至っていないケースも多々あります。「部下のミスがなくならない」ときは、本書の仕組みを自分のチームに取り入れてみるのもいいと思います。「異次元の成果を、どうやって達成するか」という、未来の問題解決にフォーカスした本書のエピソードは、多くの人にとって大いに参考になるはずです。
目標実現の専門家 メンタルコーチ
アドラー心理学と脳科学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。2万人以上の目標実現・行動革新サポートを実施。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン株式会社のマネージャー向けコーチング研修を継続的に提供。「2030年までに次世代リーダーをサポートするプロコーチを1000人送り出し、日本を元気に!」を目標に掲げ、プロコーチ養成スクール「NEXT」を開講。12冊の著作は累計55万部を突破。主な著作に24万部を突破した『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』(かんき出版)がある。
注目されているトピックス
-
「日本語が分からないなら帰れ」って言え! 上司の一言にショックを受けた女性
画像はイメージ社会人として働いていると、ただただ納得がいかない理不尽な出来事に遭遇することがある。埼玉県の50代前半の男性(営業/年収450万円)は、「毒物劇物…
5月8日(水)23時29分 キャリコネニュース
-
友人の結婚式、事前にお祝い金を渡していたのに「ご祝儀を持って来ない人と思われた」 その後、絶縁した女性
画像はイメージ親しくしていた友人の結婚式がきっかけで絶縁した経験談が寄せられた。東京都の30代後半の女性(事務・管理/年収250万円)は、中学生のときから仲良く…
5月20日(月)23時4分 キャリコネニュース
-
クレーンゲームを攻略したいなら基本に返れ…国立大物理学教授がゲーセンで検証した今でも有効な5つのワザ
ひと昔前は「UFOキャッチャー」と呼ばれていたクレーンゲームは、いまや全国に専門のゲームセンターができるほどの人気だ。鹿児島大学で物理学を教える小山佳一教授は「…
5月22日(水)8時15分 プレジデント社
-
安全な医療機器で根本的に病気を治したい。医師メーカーで国内初の医療機器開発に挑んだストーリー
株式会社河野製作所は1970年設立の医療機器メーカーです。針付き縫合糸をはじめとした手術関連製品の開発・製造を行い、「クラウンジュン」ブランドとして展開していま…
5月22日(水)10時0分 PR TIMES STORY
-
5人だった部署が「2人が異動、1人が産休」でたった2人に 疲弊する女性
画像はイメージ連休が明けて祝日のない6月に突入するこの時期は、仕事に疲れを感じる人も多いだろう。なかには、想定外の過重労働に苦しむ人もいる。東京都に住む50代後…
5月21日(火)23時22分 キャリコネニュース
-
東海道線で寝過ごし、起きたら小田原にいた女性 「屋内駐車場の階段で夜を明かしました」
画像はイメージ帰りの電車で眠ってしまい、目的地から遠く離れた場所へ辿り着いてしまった!なんていうことは、お酒をよく飲む人なら一度は経験があるかもしれない。一方で…
6月9日(金)20時17分 キャリコネニュース
-
「新幹線に乗って面接に来たのに...」企業の都合でドタキャンされ交通費を請求した男性、当時の状況を語る
画像はイメージ全国展開している企業では、本社面接が遠方で行われることもある。例えば名古屋~東京間は新幹線だと往復で2万円以上になるため、当日キャンセルは非常識で…
7月3日(月)17時7分 キャリコネニュース
-
過酷すぎる!社員が2時間かけてトイレ掃除する職場を辞めた男性
画像はイメージ清潔なトイレは、気持ちよく働くためには欠かせない。中には従業員がトイレ掃除を当番制で行っている会社もあるが、度を越せば退職する理由になるようだ。福…
11月6日(月)19時55分 キャリコネニュース