「認証」でコットンをサステナブルに。ファッションが好きだからこそ挑み続けるふたりの動画をWWFジャパンが公開、GOTS認証の普及をめざして。
2024年5月10日(金)15時0分 PR TIMES STORY
5月10日はコットンの日。衣類や寝具、タオルなど、私たちの生活に欠かせないコットン製品ですが、その生産・加工工程で生じる、環境や人権へのさまざまな負荷が問題視されています。生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動などを行なう環境保全団体である公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWFジャパン)は、綿製品が、淡水の生物多様性に最も深刻な影響を及ぼす産品のひとつと考えていることから、サステナブルなコットンの普及を呼びかけるため、これからのファッションと向き合うふたりにクローズアップした動画を制作しました。
本ストーリーでは、登場するふたりの活動にかける想いとともに、コットン製品の生産・加工工程で生じる環境への負荷についても紹介します。
「GOTS認証は世界に出て行くチャンス」三恵メリヤス 三木 健さん
「自分がおしゃれを楽しむことが、誰かの不幸につながるような服は着たくない」
高校生 福代美乃里さん
国連が「世界第2の環境汚染産業」として警鐘するファッション産業。WWFが認証普及へ取り組む理由
ファストファッションに代表される低価格化や短サイクルでの消費が拍車をかける、衣類製造にかかる資源・エネルギー使用の急増。それに伴う温室効果ガスの排出のほか、生産・加工段階における大量の水使用、化学物質による汚染などの環境負荷を受け、国連はファッション産業を「世界第2の環境汚染産業」であるとして警鐘を鳴らしています*1。
特に課題が指摘されているのは、生活に身近な綿製品の原材料であるコットン。コットンを1キロ生産するために、世界平均で1,931リットルの灌漑用水を必要とすると言われています*2。農薬の過剰使用による土壌や河川の汚染、労働者の健康被害、児童労働や強制労働といった人権問題のほか、染色や仕上げでの水の大量使用や汚水排出、家庭での洗濯排水など、生産から廃棄までを通じて水環境と深く関わるのがコットンを含む繊維産業です*3。
*1 https://news.un.org/en/story/2019/03/1035161
*3 WWF報告書「Eau Courant: WATER STEWARDSHIP IN APPAREL & TEXTILES」
左:トルコの繊維工場そばの川の様子。
染色に使用された水が流れ出して川の色を変えている。©WWF Turkey
右:綿花農園での児童労働も課題のひとつ。 ©Edward Parker WWF
世界的にニーズが高まる一方、日本での普及は追いついておらず、第三者機関の証明がなくても「オーガニックコットン使用」の製品表示が可能とされ、認証製品の選択肢そのものが限られているのが現状です。課題解決のためにWWFは、綿花が衣服に姿を変えるまでの工程を追跡する「トレーサビリティ」のしくみが欠かせないと考えます。そのひとつ、オーガニック繊維のリーディングスタンダードであるGlobal Organic Textile Standard(GOTS)への世界的な注目度は高く、WWFもその普及に取り組んでいます。GOTSは、原料の70%以上にオーガニック繊維が使われ、サプライチェーン全体で環境および人権を含む社会的な基準を満たしていることが認証された繊維製造加工基準です。
環境課題や社会課題を解決する上で、最上級のゴールデンスタンダードであるGOTS認証のマーク
大阪の町工場「三恵メリヤス」:世界に挑戦するための”GOTS認証”
WWFジャパンは「GOTS」を通してファッションとサステナビリティの課題に取り組むふたりの人物に注目し、オリジナル動画を制作。なぜ認証取得に至ったか、どうして挑戦を続けるのかを語っていただきました。
動画に登場するのは、間もなく創業100年を迎える大阪の町工場「三恵メリヤス」の次期後継者である三木健さん。三木さんは、2023年に小規模事業者のGOTS認証取得を促す世界初の「管理型サプライチェーンスキーム」(CSCS)のパイロットプロジェクトに参加。サプライチェーンで連携してGOTS認証に取り組み、仲間と一緒に糸から縫製まで全工程を大阪で行ないながら、大阪の技術とサステナビリティを融合させた究極のTシャツで世界に挑み続けています。
世界からも注目が集まる日本の縫製技術、中でも大阪の繊維職人の技術に光を当て、縫製に使う糸にまでもコットンを用い、余すところなく生地を最大限生かしたTシャツを大阪から発信。世界から認められるには、技術の高さに加えて環境への配慮が求められ、かつその証拠としての認証ラベルは必須だったと語る三木さん。「GOTS認証」取得が挑戦のためのキーになったと言います。
オーガニックコットンとの出会いを通じて、自分自身も環境課題をより深く考えるようになったと言う三木さんは、撮影中、こんな風にも語ってくれました。「商品が世の中にないからお客さん側も選択肢がないと思います。日本に普及していないのは、つくる側にも責任があるんじゃないかと思います。だからまず、選べる状態にしたい。商品がいっぱい出てくれば、選びたい人もいっぱいいるはず。GOTS認証がもっと広まってほしいです。」
学生団体「やさしいせいふく」:心からファッションを楽しむために
福代美乃里さんは、ファッションを楽しみたいからこそ、作る人も笑顔でいられる服づくりをあきらめたくないという思いから、学生団体「やさしいせいふく」の代表として、講演会などで企業や大人たちに訴える活動や、オーガニックコットンTシャツの販売などをしています。
2015年に公開された映画「ザ・トゥルー・コスト 〜ファストファッション 真の代償〜」を観て衝撃を受けたと語る福代さん。「自分たちがおしゃれを楽しむことで、誰かが不幸になるような社会を変えたい」、「もう一度、心からおしゃれを楽しみたい!」と考えたことから活動を始めたそうです。文化祭や体育祭などで使用するイベントTシャツを自分たちで販売することで、同世代への課題提起とするほか、大人たちにも訴え続けています。一般に作られる服は、生産背景が見えず人権や環境の課題も生じることが多いなか、生産現場の地元の声を聞き、環境負荷の低減に挑戦する福代さんは「学生だってできるんだから、大人や企業の方たちもできるはず」と語り、この動画の最後もその言葉で結びました。
サステナブルコットンへの挑戦が、始まっています。
アクションの輪が広がり、ファッションを作る人も、楽しむ人も、そして環境も、すべてがサステナブルに繋がる“あたりまえ”の社会が実現するように。コットンの日をきっかけに、ひとりでも多くの方の気付きになることを願っています。
プロフィール
三恵メリヤス株式会社/専務取締役 三木健
大阪市北区にある1926年創業の繊維メーカー「三恵メリヤス」の4代目。慶応大学在学中に友人と留学支援ビジネスを起業。海外に直営オフィスを設け渡航後も手厚くサポートするサービスが人気となり、独立型の留学エージェント最大手に成長。バンクーバー、ニューヨーク、オークランド、ロンドンと順調に拠点を拡大していた2014年、父・三木得生さんの体調不良がきっかけで帰国し、三恵メリヤスに入社する。家業に戻ってからは、Webを駆使し海外に販路を拡大。着心地を極限まで追求したファクトリーブランド「EIJI」は、定価1万円という価格ながら累計約9千枚以上を売り上げるヒット商品に。大阪の町工場が持つ技術力を世界に伝える。
学生団体「やさしいせいふく」/代表 福代美乃里
高校3年生 / 中学1年時の学校の先生がきっかけで環境問題に危機感を持ち、現在は学生団体「やさしいせいふく」の代表として講演会やオーガニックコットンTシャツの販売をする活動を行なっている。高校1年時には国連の気候変動枠組条約COP26にも参加し、高校2年時はカナダに約1年間留学をしていた。この夏には、自らが販売する「やさしいてぃーしゃつ」の生産者を訪ねてインドを訪問予定。
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公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年にスイスで設立されました。人と自然が調和して 生きられる未来をめざして、サステナブルな社会の実現を推し進めています。特に、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行なっています。
WWFジャパン公式HP:https://www.wwf.or.jp
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