【FIREでのんびり暮らしたい人】を待ち受ける深刻すぎるリアル
2024年5月19日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン
「短時間で成果を出す人」がいる一方、「頑張っているのに成果が出ない人」もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果を上げられる人・上げられない人の差を研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。注目の最新刊『チームX』は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」(神田昌典氏)と評され、デビュー作『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」(人気会計士)と絶賛された。そして今、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題になっているのが、ベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。本稿では、「がっちりマンデー!!」(TBS)公式SNSで「ニトリ」似鳥会長や「食べチョク」秋元代表が「2022年に読んだオススメ本3選」にも選抜した本書を深堀りすべく、働く人のさまざまな「お悩み相談」を木下社長にぶつけてみた。今回は「仕事をさっさとリタイアしたい人」にとっておきの仕事術をご紹介する(構成/藤田悠)。
Photo: Adobe Stock
「FIREで幸せになった人」は本当にいるのか…?
【今日のお悩み相談】忙しい毎日にうんざりしています。どんなに稼いでも、ゆとりがないままでは意味がないと感じるようになりました。必死に働かなくてもいいくらいの経済状態を築き上げれば、たくさんの時間が手に入り、今よりもっと幸せになれるはず。やっぱりFIREを目指すべきでしょうか?
いわゆるFIRE(Financial Independence, Retire Early)は「経済的自立と早期リタイア」のことですね。
「経済的自立」の状態をつくって、いつでも仕事を辞められる状態を目指すのはいいと思います。 ただし、「早期リタイア」のほうはまったく別です。よく考えたほうがいい。
私は「FIREで幸せになった」という人を本当に見たことがありません。 もちろん、ネット上では「FIREで幸せ」をアピールしている人がいたりしますが、そういう人はオンラインサロンを運営して、そこから収入を得ていたりする。
結局、会社を辞めているだけで、別の仕事はちゃっかり続けている状態なわけです。「…それって、FIREちゃうやん」と言いたくなります。
「過度な自由」は人生をおかしくする
今はM&Aが活況で、自社を売却して、何億円というお金を手に入れる人がたくさんいます。 一方、M&A関連の情報サイトやYouTube動画を見ていると、必ず出てくるのが「鬱」というテーマです。
それまで必死で働いてきた人が、M&Aによって大金を手に入れ、一生働かなくていい状態になった途端、いきなり鬱になってしまう── そういうパターンがすごく多いようです。 そのため、ネット上には「会社を売る前に、必ず『次の目標』を決めましょう」とアドバイスする情報が多い。
今すぐFIREできる(けれどしていない)人たちにおいては、もはや「FIRE=鬱」と言ってもいいくらいの認識なのです。
早期リタイアによって「自由」を手に入れ、そこから毎日を楽しく過ごせる人というのはごくひと握り。 これは私自身も経験があることなので断言しますが、人間はやるべきことがなくなったら、本当に何もしなくなるし、精神状態も悪くなります。
やりがい、生きがい、目標を全部失うと、人はおかしくなるのです。 私の知人にもFIRE状態の人が何人かいますが、あまり楽しそうには見えません。
正直なところ、私にも今すぐFIREできるくらいの資産はあります。 人生のステージや年齢によって、考え方は変わってくると思いますが、今のところリタイアをしたいとは1ミリたりとも思いません。
感情で「忙しさ」をコントロールする2つの方法
相談者の方も「FIREを目指すべきかどうか」ではなく、「どうすればゆとりが手に入るか」という軸で物事を考えてみるといいでしょう。
特に「忙しさ」というのは、あくまでも主観にすぎません。 感情のマネジメントができるようになれば、実はいくらでも「忙しさ」はコントロールできます。
『時間最短化、成果最大化の法則』でも、「ゆとり」のつくり方にはさまざま言及しておきましたが、ここでは感情による「忙しさ」コントロール法の2つをご紹介しておきましょう。
(1)「忙しい」と感じたら、逆にやるべき仕事量や作業量を「3倍」に増やす。その後、元に戻すと暇に感じる(2)もっと忙しい人を見る。すると「忙しいと思っていたけれど、所詮あの人の3分の1だ」と思うと、忙しさのイライラがなくなる
繰り返しになりますが、「早期リタイア」を考えるときはくれぐれも慎重に。一方で、「経済的自立」の追求を目指すのは、決して悪いことではないと思います。
(本記事は『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』著者による特別寄稿です)
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