西日本で“副振動”による短時間での海面昇降を観測 船や係留物の流出等に注意
2025年3月3日(月)17時50分 ウェザーニュース

2025/03/03 21:59 ウェザーニュース
今日3月3日(月)の朝から、西日本で副振動による顕著な海面昇降が発生しているところがあります。副振動(あびき)は気圧変化などが要因で発生する現象で、長崎では周期約30分で約140cmの海面昇降が観測されました。
佐世保市では、引き潮によって河口付近の川底があらわになっている様子が目撃されました。短時間での海面昇降や、強い潮の流れによる船舶や海上係留物への被害に注意してください。
副振動(あびき)とは

副振動とは、湾や海峡などで発生する海面水位の振動現象です。振動の周期は数分から数十分で、湾や海峡の形状によって異なります。沖合での急速な気圧変化など、何らかの要因で発生した海面の昇降が、湾内の固有振動と共鳴して増幅することで発生する現象といわれています。地震が引き起こす「津波」や台風などの強い低気圧が引き起こす「高潮」とは異なる現象です。
主振動である天文潮(満潮・干潮)はおよそ半日の周期で海面の昇降を繰り返しますが、副振動はそれに比べてかなり短い周期で海面の昇降が繰り返されるため、対処の難しい現象となります。
副振動は冬から春にかけての時期にしばしば見られる現象ですが、発生の要因が複雑で、発生の有無や程度を予測することがほぼ不可能です。
船舶や港湾施設の被害に注意

今後も大きい海面の昇降や強い流れが繰り返し発生する可能性があるため、気象台は船舶や海上係留物への被害に注意を呼びかけています。具体的には、係留された船舶や艀(はしけ)の流出、タラップの損傷、河口付近での川の逆流などの可能性が考えられます。
満潮の時刻に副振動が重なると、低地の浸水や道路冠水などが発生することがあります。念のため今後の潮位情報に注意してください。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)