「結束バンドで縛って被害届取り下げろと」“最後のSOS”届かず 川崎20歳女性死亡 ストーカー相談も警察「事件性なし」専門家も唖然【サンデーモーニング】
2025年5月11日(日)14時49分 TBS NEWS DIG
川崎市の住宅で、20歳の女性が遺体で見つかった事件。遺族は警察に「ストーカー被害を相談していた」としていて、助けられた命だったのでは、との声もあがっています。
“ストーカ−訴え”20歳女性の死 警察の対応は…
10日夜、川崎市で執り行われた岡崎彩咲陽さんの通夜。20歳の若さで亡くなった命は、救えなかったのでしょうか。
遺体が見つかったのは、元交際相手の白井秀征容疑者の自宅。
白井容疑者が逮捕された日、岡崎さんが助けを求めていた警察署には、遺族や知人らが集まっていました。
署内で警察官に詰め寄る人たち、怒号も飛び交います。
「警察の捜査に問題があった」という主張、岡崎さんの父親はーー
岡崎さんの父親
「腹が立ってしょうがないですね」
「捜査の方法が間違っているから、娘は死んだと思っているんで、自分は」
岡崎さんは、行方不明となった2024年12月20日の朝、警察に電話をしていました。
岡崎さんの親族
「送信履歴を携帯会社からもらったときに、一番最後に電話をしたのが、臨港警察署。それが最後のSOS」
そして、岡崎さんが避難していた祖母の家の窓ガラスが割れていたことも、その2日後に分かりました。
「この写真見て、事件性ないと思いますか?」親族の訴えは・・・
岡崎さんの父親
「この写真見て、事件性ないと思いますか?カーテンを開けたら、窓が開いてて見たらガラスが割れていた。それで警察に電話したんです。警察も来て、それ(現場の状況)を確認しているんです」
遺族は「白井容疑者が侵入して、岡崎さんを連れ去ったのでは」と疑いましたが、警察からは“事件性がない”という趣旨の説明を受けたといいます。
警察は12月22日に、白井容疑者の自宅を訪ね、任意で事情を聴きましたが、強制捜査には至らないまま約1か月近くが経過。
1月中旬には、白井容疑者の親族から「白井容疑者が殺したかもしれない」という証言があったことも分かりました。しかし警察は当時、それも“具体性がない”と判断したといいます。
そもそも、岡崎さんは行方不明になる前から、白井容疑者からのストーカー被害を、親族や友人らに訴えていました。
2024年 12月12日 家族提供の動画
「いるじゃん、いるじゃん…」
2024年12月に、岡崎さんの自宅周辺をうろつく白井容疑者とみられる男が、撮影された映像。
岡崎さんの親族
「前に付き合ってたことがあるんですけど、別れてそれからストーカーをずっとされていた。『こわいこわい』と言うから、私たちもいつもついて歩いて」
親族によれば、この映像も警察に見せ、パトロールを要請する電話もしていました。
岡崎さんの父親
「そもそも僕は、(白井容疑者を)ストーカーで捕まえてくれと何回も言ってる」
神奈川県警が動かなかった理由 「ストーカー規制法」とは…
行方不明になる以前から、白井容疑者からのストーカー被害を訴えていた、岡崎咲陽さん。これに対し、「ストーカー被害に関する相談を受けていた認識はない」とする神奈川県警。
その理由として、岡崎さんが▼ストーカー規制法が定める「被害者の申出」を望まなかったこと、白井容疑者から暴行を受けたとする▼「被害届を取り下げた」ことなどを挙げました。さらに、岡崎さんが白井容疑者と「復縁を繰り返していた」との認識も示しています。
しかし、親族によれば事態は深刻でした。被害届を取り下げざるを得なかった状況を、岡崎さんの弟は、こう説明します。
岡崎さんの弟
「結束バンドで縛られて、川に連れていかれて、『お前いま被害届を取り下げるか、ここで殺されるかどっちがいい』と言われたり」
警察が「復縁」を繰り返したと認識したことについて、ストーカー問題の専門家はーー
NPO「ヒューマニティ」小早川明子 理事長
「警察には復縁したということにして、『加害者に叱られないようにしよう』とか、そうやって身を守ろうと被害者がしてしまうのはよくあること」
「これは本当に『被害者の意思で心から望んで言ってるのか、恐怖に駆られてそういう選択をせざるを得ないから言っているのか』は、(警察が)見抜かないと駄目なんですよね」
「(警察の見方は)あまりにも表面的で言葉を失う『何を見てた』のと」
そして、一連の警察の対応をめぐっては、警察庁の長官もーー
警察庁 楠 芳伸 長官
「結果としてこのような重大な事案となったことを、重く受け止めており、一連の対応状況を調査し、指導してまいりたいと考えております」
こうした事態を受け5月9日、神奈川県警は事件の「検証チーム」を設置したと、発表しました。警察の対応が問われています。