【work23】“電話恐怖症”「電話する機会がない」「失敗したら」SNS世代が抱える会社での電話への壁 通話を原則禁止の企業も…【news23】

2025年5月22日(木)14時13分 TBS NEWS DIG

“働き方のイマ”に注目するシリーズ「work23」。今回、注目するのは、会社での【電話対応】について。会社に掛かってくる電話に“でたくない”。新入社員の頃にそう感じた経験はないですか?最近、電話に対する苦手意識は“電話恐怖症”とも呼ばれますが、SNS世代からは「電話対応がつらくて会社を辞めた」という声も…。中には業務の効率化のために電話“原則禁止”の企業も出てきています。

SNS世代に電話は難関⁉

埼玉県三芳町にある、電子機器メーカー。業務の合間に、ひっきりなしに鳴り響く電話を受けるのは、4月に入社したばかりの新入社員です。

SNSに慣れた若い世代にとって、電話は“馴染みのないツール”。緊張が、そのまま声に表れます。

4月に入社 大塚康子さん
「(最初は)電話先の方の顔もわからないし、すごいドキドキしながら、『電話出たくないなぁ』と思いながらとっていたが、最近は慣れて」

4月に入社 小田海斗さん
「失敗したらどうしようという思いが出てくるので、不安になっちゃいますね」

顧客からの問い合わせは1日200本以上。SNS世代にどう電話対応を教えるか、会社側も工夫を重ねています。

株式会社MIYOSHI 佐藤英吉社長
「生活の中で電話が減っているので、多分不慣れだと思います。(電話が)終わった後に横で、『こんな感じでよかったかな?』というようなやり取りはいつもしています。マニュアル通りに行かなくていいので、『真心を尽くして対応すればそれでいいのだ』と」

最近、“電話恐怖症”という言葉が、SNSを中心に注目されています。退職代行サービス「OITOMA」によると、今年度はすでに300人を超える新入社員から退職の相談があり、その理由に、「電話対応のストレス」をあげる人も多いといいます。

社会経験を積んだ“先輩世代”からは…

50代会社員
「どんなにSNSが発達しても、職場でもチャットは使ったりするが、対・社外だと電話は欠かせない」

50代会社員
「文章は言葉を付け加えないと、LINEなど特にそうだが、怒っているのか・迷惑なのか・喜んでいるかも全く分からない。適応能力も早くなるので、最初は(電話に)出たほうが良いと思う」

一方で、“SNS世代”からは…

新入社員
「インスタのDMとかでやりとりすることが多いので、友達とも電話する機会があまりない。そのぶん仕事での電話も難易度が高いのかなと」

新入社員
「LINEで電話がかかってきたら、名前が表示される。でも、電話番号だけだと『え、だれ?』となってしまう。自分だったら、スワイプしてグーグルを開く。そして電話番号を調べる」

「1億回やってもだめ」“電話対応”が一因で退職も

電話対応が一因となって、仕事を辞めたという人も…

イラストレーター なおにゃんさん
「毎朝電車を降りてここ(会社)に来るまでの間、気持ちが“ずん”っと落ち込んでいた。1日電話対応をする。それがすごく苦手で…」

イラストレーターのなおにゃんさんは、当時の体験をイラストにしてSNSに投稿したところ、1万件を超える「いいね」が寄せられました。

「会社の電話の操作が一億回やってもできない(そしてできないまま会社を辞めた)」
「なんでみんなは普通にできているんだろう…??」

大学卒業後、上京し憧れの出版社へ就職しましたが、慣れない業務の中でも特に、電話対応にストレスを感じていたといいます。

イラストレーター なおにゃんさん
「固定電話って、保留して転送するなど色々なボタンがある。あの操作も、学生の時まではやったことがなかった。世代間で、電話に対する認識のズレもすごく感じるので、なかなかわかってもらいづらい。すごく嫌だった」

電話への苦手意識は変わらず、退職を決意。現在はフリーのイラストレーターとして、自分に合った働き方を模索しています。

イラストレーター なおにゃんさん
「報告・連絡・相談は電話という一辺倒ではなくて、ほかにもLINEやメールなど伝える手段、ツールはたくさんある。柔軟に変えていけたら、もっとみんなが働きやすい環境になると思う」

「電話が苦手」20代は75%…チャットやAIで負担軽減も

藤森祥平キャスター:
“電話恐怖症”皆さんはどう思いますか?会社・プライベート関係なく、実は電話の通話回数は、社会全体でも年々減っています。電話の取り次ぎサービスが2023年に行った調査では、電話対応への苦手意識が、20代で7割以上、全体でも約6割が「電話に苦手意識を持っている」と回答しています。

【電話への苦手意識】調査:ソフツー
全世代:58%
20代:75%
30代:64%
40代:56%
50代:44%
60歳以上:28%

小川彩佳キャスター:
新入社員の時、アナウンス部の電話対応は新人の仕事でした。先輩からの視線の中、ものすごくプレッシャーで、定型文を何度も練習しました。

藻谷浩介さん:
私は昭和のおじさん世代ですが、電話は嫌でした。得意な人はいないのではないでしょうか。今の人も苦手と言いますが、僕らも苦手でした。失敗しながら、10年くらいかけてちょっとできるようになったかな?という。

トラウデン直美さん:
私自身は電話対応をしたことがありませんが、たしかに仕事での電話は、急かされたり、クレームなど、毎回プレッシャーのかかる内容がほとんどだろうなと思うので、苦手意識を持ってしまう気持ちもわかります。

藤森キャスター:
電話対応が苦手な理由として、▼正しく答えられるか不安、▼上司への取り次ぎも緊張する、▼集中力が途切れて効率が悪い、という声もあります。

電話対応について、新しい取り組みをしている企業もあります。

デザインスクールを運営する「日本デザイン」では、かかってきた電話を自動音声で対応、録音した内容をAIが解析し、担当者に伝えるというシステムを2025年から導入し、効率化と負担軽減を図っています。

また、ビジネスチャットツールを開発する企業「kubell(クベル)」では、電話を取る=作業中断という考えのもと、社内やり取りは基本チャットを利用したテキストコミュニケーションにしているそうです。どうしても通話が必要な場合は、チャットで「いつ電話するか」を事前にとり決めているそうです。

藻谷浩介さん:
私は15年ほど前から、仕事の連絡はすべてメールで行っています。私自身はメール大好き人間ですが、電話しないとどうしようもないことが多々あります。
単に用件だけではなくて、一緒に悩んだり相談してほしい、どうにもならないけど一緒に困ってほしい時もあり、電話で話さないとストレスが溜まる時もあります。クレーマーがいて困るのはわかりますが、若い人でも「口で話さないとこの会社とは付き合いを辞めよう」と思う事も十分あり得るので、要注意だと思います。

トラウデン直美さん:
社内の連絡に関しては、ほかに解決策があると思いますが、クレーム対応に関しては、強い語気などを軽減させるような技術も出てきているそうなので、期待したいと思います。

藻谷浩介さん:
若い人に言いたいのは、年寄りも失敗してきています。失敗は成長のチャンスです。最近の世の中は、失敗を許さない傾向がある。失敗こそが経験なので、電話で失敗してもいい。お客さんも、新人が対応していることを考慮して、怒るのをやめませんか?とも思います。

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〈プロフィール〉
藻谷浩介さん
株式会社日本総研主席研究員 
NYコロンビア大学ビジネススクール卒業
トラウデン直美さん
ForbesJAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行

TBS NEWS DIG

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