これは便利!万博「非公式マップ」で待ち時間を確認 公式では未実装...開発経緯を聞いた
2025年5月27日(火)20時2分 J-CASTニュース
大阪・関西万博の来場者数は増加傾向にあるが、万博の公式アプリではパビリオンの待ち時間を確認できない——。こうした中、パビリオンの待ち時間がデジタルマップで表示される「非公式のマップ」がインターネット上で公開され、Xで注目を集めている。
この表示機能を開発したのは、yumeの猫さん(@yuziyuzi99)。取材に対し、別の開発者が一般公開していたオープンソースの万博マップのプロジェクトをベースに開発したものだと説明する。どのような経緯から、待ち時間を表示する機能を開発したのか。詳しい話を聞いた。
パビリオンの待ち時間を表示してほしいとの声も
万博の公式サイトの「よくあるご質問」では、パビリオンの待ち時間について「現在、待ち時間を確認をするシステム等のご用意はございません」と回答している。だが、万博の公式アプリで待ち時間を表示してほしいという要望もSNSで上がっている。
こうした中、待ち時間を一覧で表示する非公式のサイトが話題になっている。さらに、万博関連の情報を公式以外で共有しようとする動きも広がっている。yumeの猫さんが開発した非公式のデジタルマップも「万博の待ち時間がわかる」などと注目を集めた。
このマップのサイトを開くと、各パビリオンのマークの上に、待ち時間の長さに応じて数種類の顔文字が表示されている。このマークをクリックすると、別のユーザーが共有した最新の待ち時間の長さが表示されるようになっている。
他にも機能がある。取材に応じたyumeの猫さんによれば、(1)ユーザーの現在地を表示する(2)「展示・パビリオン」「トイレ」「自販機」などカテゴリー別で表示を絞る(3)表示される言語を日本語/英語に自動で切り替える——ことなどもできるという。
このサイトの略称は「EXPO2025 万博非公式マップ」。Googleで検索する場合、5月27日時点で、「EXPO2025 万博非公式マップ 検索機能あり - 夢洲チャンネル」という名称で表示される。だが今後、名称の一部を変更する可能性もあるとしている。
「待ち時間が長すぎる」という来場者の声がきっかけ
このサイトを開発したきっかけは何だったのか。万博が開幕した後から「待ち時間が長すぎる」という来場者の声を多く目にしたと取材に明かす。
「その中で、『リアルタイムで待ち時間を確認できる仕組みがあれば、もっと効率的に回れるのに』という意見も多く、自分自身も『そんなシステムがあったら便利だな』と強く感じていました。運営の効率化にもつながり、来場者の満足度も上がるのではないかと思ったのです」
だが、一から全てを開発するのは困難だとして当初は断念していた。こうした中、別の開発者による万博マップのオープンソースプロジェクトを発見。このソースコードをベースにするなら開発できるかもしれないと決意した。この別の開発者が構築したものは「膨大な地点データの収集・整理作業」が必要なのだという。
開発期間はたったの約7日間。幾つかの開発上の課題があったとしつつも、5月17日にサイトを公開することができた。「少し無理をしたせいで、現在は腰が少し痛いです」と取材に明かしている。
マップで待ち時間が分かる仕組みはこうだ。パビリオンの前に並んだ人が、現在の待ち時間を選択した上で投票する。こうして多くの情報が共有されることによって、待ち時間がリアルタイムで確認できるようになる。万博では事前予約が必要なパビリオンも多いが、そういったパビリオンでも投票できる。予約時間どおりに入館できないケースを想定しているようだ。
この仕組みでは、悪意をもってウソの情報を投票することも可能だ。yumeの猫さんは、こうした事態を防ぐことは難しいとしつつ、多くの人が利用することで、その影響は小さくなるとみている。
「多くの大阪万博の来場者に積極的に投票してもらうことで、古い・不適切な投票データが相対的に埋もれていき、より実態に近い待ち時間表示が実現されると考えています。このように、ユーザー参加型のシステムとして、皆さんの協力によって成り立つ仕組みになっています」
yumeの猫さんは、このサイトを通じて、待ち時間を確認したいというニーズに応えたいとしている。そして、「この取り組みが、少しでも万博の運営改善や来場者の体験向上につながれば嬉しい」と語った。
今後も機能を拡大していくという。トイレの利用状況を確認できたり、現在の情報が古いことを示すアイコンを表示したり、万博の開館時間外には投票できないように制限を設けたりする機能などを検討しているとのことだ。
このマップのベースとなった開発者からも反応があったという。「リリース後、原作者の方からも『あら。本家より進化してる!驚き!』というコメントをいただき、とても嬉しかったです」と取材に語った。