元暴力団組事務所を市が買い取りへ…購入費用7000万円、補正予算案に盛り込み
2025年5月27日(火)15時30分 読売新聞
市が購入する方針を固めた元暴力団事務所(福井県敦賀市で)
福井県敦賀市は26日、同市中心部にある元暴力団「正木組」の事務所や敷地を買い取る方針を明らかにした。6月2日開会の市議会に、購入費用約7000万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提案する。県警は同組について、活動実態のない「消滅団体」としているが、市は「別の暴力団が土地建物を取得するのを未然に防ぐ」としている。
正木組は元々、指定暴力団「山口組」の傘下組織で、同組が分裂した後は、指定暴力団「神戸山口組」の傘下となった。両組の抗争により、2016年2月、正木組事務所に銃弾が撃ち込まれる事件が発生。県暴力追放センターが事務所の使用差し止めを求め、地裁が17年10月に使用差し止めの仮処分を決定していた。
その後は活動実態がないとして、県警は22年、正木組を消滅団体に認定した。市は約2年前、元組長や関係者と買い取りに向けた交渉を開始。不動産鑑定士らと協議の上で価格を決定し、元組長らと合意にいたったという。
市によると、全国で自治体が暴力団事務所などを購入した例は、過去10年間で5件あるが、全て現役の暴力団で、消滅団体の事務所を購入するのはめずらしいという。
米沢光治市長は26日の定例記者会見で「公金を使うのがいいかどうかは正直悩んだが、事務所をこのままにしておけば、また同じような使われ方をする可能性がある」と指摘。「メリットとデメリットをはかりにかけた結果が、購入するという結論だ」と述べた。