仕事のできる人が「朝30秒のゴミ出しができない」のはなぜか

2025年5月28日(水)6時0分 ダイヤモンドオンライン

仕事のできる人が「朝30秒のゴミ出しができない」のはなぜか

新年度から2ヵ月近く、新しい生活にも慣れてきたころだが、「部屋が片づかない」「なんとなく疲れが抜けない」と感じている方も多いのではないだろうか。片づけやゴミ出しといった“生活のメンテナンス”が、ふとしたタイミングで滞り始めるのも、この時期の特徴だという。そこで、登録者数17万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直氏に、朝30秒でできる「片づけの習慣」について話を聞いた。(構成/樺山美夏、ダイヤモンド社・和田史子)

Photo: Adobe Stock

5〜6月は、片づけやゴミ出しが滞りやすい

二見文直(ふたみ・ふみなお)株式会社ウインドクリエイティブ代表取締役。YouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」運営者。一般社団法人遺品整理士認定協会認定遺品整理士。生前整理技能Pro1級。月平均130軒以上のお宅を訪問し、これまで1万件以上の片づけを経験。年間約5000件以上の相談を受け、のべ4万件を超える全国からの「片づけられない」悩みと向き合ってきた。2016年にスタートしたYouTube「イーブイ片付けチャンネル」は、登録者数16万人、総再生数7500万回を突破(2024年12月現在)。『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』(ダイヤモンド社)は初の著書。

新年度が始まって1ヵ月が過ぎ、大型連休が明けて仕事のリズムを取り戻しつつあるこの時期、「部屋が片づかない」「なんとなく疲れが抜けない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

仕事や学校などの日常生活に慣れてきた一方で、片づけやゴミ出しといった“生活のメンテナンス”が、ふとしたタイミングで滞り始めるのも、この時期の特徴です。

象徴的なのが、朝のゴミ出しです。すでに口を結んであるゴミ袋を、通勤・通学の途中にある「決められた集積所」に持っていくだけ。

たったそれだけのことなのに、家族から「これ出しておいてくれる?」と頼まれて、「ごめん、時間ないからムリ」と反射的に断ってしまった——そんな経験、ありませんか?

あるいは、ひとり暮らしで「明日はゴミの日」と、家中のゴミを集めて大きな袋にまとめて「捨てるだけ」の状態にしていたのに、翌朝になって「今日は間に合わないからパス!」と、ゴミ袋を部屋の中に置いたまま、バタバタと家を出てしまった……。

そして、帰宅して玄関に置きっぱなしのゴミ袋を見て、「ああ、出せばよかった……」と後悔する。

僕自身、何度もあります。

朝の30秒でさえ「時間ないからムリ」となる理由

もちろん、朝は忙しい。身支度をして、メールをチェックして、電車の時間も気にしなければならない。

ギリギリで家を出ることになれば、ゴミ出しにかける30秒すら「無理」と感じてしまいます。

でも、実のところ——本当に足りないのは時間ではなく、心の余裕なのです

出社時間に間に合わないからではなく、頭の中が仕事のことでいっぱいで、「今はそれどころじゃない」と感じてしまっている。

つまり、「仕事以外のことを考えている暇はない」という感覚が、無意識のうちに行動を支配している。

つまり、人生の優先順位が、いつの間にか「仕事」が最上位になってしまっているのです。

その結果、「家のこと(家族のこと)」も、「自分のこと(生活や健康)」も、後回しにされてしまう。

だからこそ、たった30秒のゴミ出しですら、“優先順位の外”に追いやられてしまうのです。

ゴミ出しができないのは、「責任感がある」証拠

もうひとつ、ゴミ出しが滞る大きな理由があります。

それは、「ちゃんとやらなきゃ」「ルールを守らなければいけない」という気持ちが強すぎることです。多くの依頼者さんが同じような悩みを打ち明けてくださいました。

ゴミの分別ルールが厳格化し、出せる曜日や時間帯が限られている中で、「間違って出して近所に迷惑をかけたらどうしよう」と思ってしまう方がとても多いのです。

特に真面目で責任感の強い人ほど、「完璧にやれないならやらないほうがマシ」と感じてしまい、ゴミ出しという小さなタスクにすら手をつけられなくなる——これは決して珍しいことではありません。

「出しやすい環境」を整えるという発想も

この問題の根本的な解決策として、僕はこんなふうに提案することがあります。「無理なくゴミが出せる環境に住むことを、住まい選びの条件にしてください」と。

たとえば、24時間いつでもゴミ出しができるマンションであれば、朝の忙しさに追われることなく、夜帰ってきたときでも落ち着いてゴミを出すことができます。

特に仕事が忙しい方にとっては、「ゴミ出しのしやすさ」は間取りや駅からの距離以上にこだわっていただきたい、家選びの大事なポイントです。

すぐに引っ越すことは難しいかもしれません。

ですが、次の更新や転居のタイミングで「ゴミ出しのしやすさ」を基準に入れてみるだけで、生活の整いやすさは大きく変わってきます。

朝の30秒が、暮らしを立て直す第一歩になる

朝の30秒が、暮らしを立て直す第一歩になる片づけは、「一気にやるもの」ではありません。大事なのは、「今日できることを、小さくやる」ことです。

まずは、朝の30秒だけ。出しそびれていたゴミ袋をひとつ、玄関まで運ぶ。あるいは出勤前に集積所へ持っていく。

それだけで、少しずつ、自分の生活を取り戻していくことができるはずです。

そして、そのたった30秒ができるようになったときこそ、あなたの「心に余裕が戻ってきた証拠」でもあります。

真面目で仕事ができる方、責任感の強い方ほど、自分のことは後回しにしがちです。

そして、心に余裕がなくなればなくなるほど、生活の小さなメンテナンスがおろそかになります。

だからこそ、朝30秒のゴミ出しを、自分のバロメーターにしていただきたいのです。

「今日はゴミ出しができた」その感覚は、生活を整える力が戻ってきたサイン。

自信を持って、その一歩を積み重ねていってください。

そしてそれは、暮らしを整えるための“片づけの習慣”を取り戻す、最初の一歩でもあるのです

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