「4日間でウエスト8cm減」に成功…アラサー女性が「プランク」のかわりに取り入れた"キツくない腹筋運動"
2025年2月28日(金)18時15分 プレジデント社
出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
※本稿は、中村尚人『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
■腹筋を鍛える3つの運動
突然ですが、あなたは「三大腹筋運動」と聞いて、何を思い浮かべますか? おそらく、最初に思い浮かんだのは、「上体起こし運動」でしょう。足上げ腹筋も、「頭を上げるか足を上げるか?」の違いだけで、上体起こし運動の仲間です。
「プランク」を思い浮かべた人もいるかもしれませんね。これで、二つ。
では、あと一つは何でしょう?
出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
腹筋には「縮める」「伸びる」「固定する」という三つの働きがあります。「縮める」は上体起こし運動、「固定する」はプランクが相当します。では、「伸びる」に該当するものは何か?
それが、本稿で紹介する「逆腹筋」です。
本稿の目的は、「伸びる」腹筋運動である「逆腹筋」を三大腹筋運動の一つとして提唱し、世に知ってもらい、定着させることです。
■なぜ人間は2足歩行できるのか
この「伸びる」に相当する腹筋運動は、残念ながら長らく不在でした。
ここで重要な事実があります。腹筋の本来の役割とは、「伸びる」ことなのです。私たち人間が犬や猫のような四つ足動物と異なり、上半身をまっすぐ立てることができるのは、腹筋の「伸びる」力が働いているからです。
もちろん、お腹を「縮める」「固定する」ことは、生活や動きのなかで時に必要です。しかし、直立姿勢を保つため必要な「伸びる」力と比べれば脇役でしかありません。医学的、解剖学的な観点から見ても、腹筋の役割は「縮める」「固定する」よりも、「伸びる」のほうが圧倒的に優勢だと言えます。
にもかかわらず、この強い力が注目されていない。使いこなすことができていない。「腹筋運動といえば上体起こし運動」という固定観念にとらわれて、トレーニングの方法としても、十分に認識されていない。
それは非常にもったいないことだと、私は思うのです。「人類にとって、大きな損失だ」と言っても過言ではありません。
ですから「伸びる力」の大切さについて、しっかりお伝えしたいと思います。
■重力に逆らわず「任せる」
では、「逆腹筋」はどのようなメカニズムで「腹筋に効く」のでしょうか?
「上体おこし」でも「プランク」でもない、ウエストに効く腹筋運動は…? 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
逆腹筋を一言で言うと、「自分の上半身を重りにした自重トレーニング」です。
後ろにそった上半身の重みで体がバタンと倒れないように、腹筋の「伸びる力」で上半身を支えることで、腹筋が鍛えられます。
実際に触って確認してほしいのですが、このとき腹筋はかなり硬くなっています。つまり、めちゃくちゃ効いているということです!
私が筋硬度計で調査したところ、「縮める」上体起こし運動や、「固定する」プランクと同じかそれ以上に硬くなっているという結果が出ました。
にもかかわらず、疲労感、努力感がないので驚かれるかもしれません。その疲労感は「縮める」上体起こし運動の3分の1という結果が出ています。
その理由は、先ほど説明したように、腹筋のなかでもいちばん強い「伸びる力」を使っているからです。
そしてもう一つ、「逆腹筋」は重力に逆らう上体起こし運動とは異なり、重力に従い、任せていく運動です。ふだん何気なく使っているいちばん強い力で、重力に任せていく運動だからこそ、意識して動かす必要がありません。
■腰を痛めるリスクもある
では対照的に、「縮める」上体起こし運動ではどうでしょうか?
上体起こし運動は、寝そべって静止状態にある上半身を、意識して筋肉の力で起こしていきます。腹筋にとって「縮める」動きはイレギュラーですし、重力に逆らう動きでもあるので、意識して動かす必要があります。それは、「固定する」プランクも同じです。
これらの腹筋運動がツラくて、習慣化しようとして挫折してしまった人も多いのではないでしょうか。
特に上体起こし運動は腰痛などケガのリスクが高いという報告が出ています。
「腹筋運動といえば、上体起こし運動」というくらい、いちばんポピュラーな腹筋運動ではありますが、予防医学にも携わる者としては、あまり積極的にすすめたいトレーニングではありません。
そんな私が、自信をもっておすすめしたいのが、「逆腹筋」です。
■「上体起こし」ではお腹はうすくならない
ご挨拶が遅くなりましたが、初めまして。中村尚人と申します。私は理学療法士として、姿勢や運動機能に問題を抱えた1万人以上の患者さんと向き合いつつ、ヨガやピラティスの指導者として2千人以上のインストラクターを養成してきました。すでに書籍も10冊以上出版しており、NHKをはじめテレビにも何度も出演し、健康や運動についての専門知識をわかりやすく発信し続けています。
私は理学療法士として、医学的に正しい安全なヨガの普及・啓発活動を行ってきました。おかげさまで一定の成果もみられましたが、ヨガ界の外においても、医学的に適切ではない運動がまだまだ目につきます。
例えばお腹やせや健康のためといって、上体起こし運動をはじめとする「縮める」腹筋運動を多くの人が行っている現状は、私にとって違和感しかありません。
くわしくは次の記事で説明しますが、上体起こし運動をしてもお腹はうすくなりません。海外の専門家が指摘しているように、腰を痛めるリスクが高い運動でもあるのです。
ヨガに医学を持ち込んだ私が、次に医学を持ち込もうとしているのが、腹筋運動です。それこそが、「逆腹筋」となります。
■4日でウエスト8センチ減
私は2019年に『「そる」だけでやせる腹筋革命』(飛鳥新社)を出版し、逆腹筋を(おそらく)世界で初めて世に提唱しました(当時は「そる腹筋」と呼んでいました)。この本は大きな反響を呼び、人気テレビ番組の『林先生の初耳学(当時)』や『ZIP!』などで取り上げられ、皆さんもよく知っている芸能人の方々も画面のなかで逆腹筋を実践されていました。
拙著『逆腹筋の教科書人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準(ニュー・スタンダード)』(KADOKAWA)のオビにも登場している「3時のヒロイン」のゆめっちさんは、なんと4日間でウエストマイナス8cmを達成。逆腹筋の効果を証明してくれました(ありがとうございます)。
しかし課題もありました。
YouTuberの方々が逆腹筋のやり方を発信し始めたのですが、残念ながらその多くが正しいやり方ではなかったのです(編集者さんいわく、合計600万再生以上も観られたようです)。
逆腹筋はシンプルな運動ですが、そのぶん「正しくやること」が非常に大切です。書籍での説明が不十分だった、研究や考察がまだ深まっていなかった……そうした反省もありました。
そして前著から約6年が経ち、このたび満を持して、完全版として『逆腹筋の教科書人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準(ニュー・スタンダード)』(KADOKAWA)を出版することになりました。
そして、その一部のエッセンスを、今回、プレジデントオンラインの記事でお届けしています。
■目指すは「バンザイ」したときのお腹
逆腹筋は、人体の構造的に正しいトレーニングを行うことで、その人本来の「うすいお腹」に効率よく変わることのできる腹筋運動です。
正しい逆腹筋でお腹を伸ばすと、一瞬でウエストがサイズダウンします。逆腹筋のように、両腕を上げた伸び姿勢(バンザイ姿勢)をとると、お腹がシュッとうすくなります。
私が調査研究を行ったところ、一瞬のうちにウエストが平均で6.64cm細くなることがわかりました。歯みがき粉のチューブの下をつかむと、歯みがき粉が上に移動し、下部はうすくなりますよね。逆腹筋でもそれと同じことが起きていることから、私はこれをチューブ効果と名付けました。これを継続するだけでうすいお腹が形状記憶され、やせやすい体が作られていきます。しかも姿勢がよくなるため、年齢とともに出てきたアチコチの痛みや不調も消えていき、自分史上最高に、動ける体へと変化していくのです。
さらに驚くほどラクにできる。そのため、苦しい、ツライから続けられないという、あの挫折感を味わうことなく習慣化できる……というわけです。
■「細くなる」以外の11の効果
逆腹筋で得られる効果は、「お腹がうすくなる」ことだけではありません。1粒で2度おいしいどころか、10は素晴らしい変化が、あなたの体に起こります。具体的にどんなことが起こるかというと……
● お腹がうすくなる
● 姿勢がよくなる
● 歩くのがラクになる
● 呼吸が深まる
● 血流がアップする
● やせやすい体になる
● 肩コリ・腰痛がラクになる
● 疲れにくくなる
● 集中力がアップする
● 運動パフォーマンスがレベルアップする
● 気持ちが明るく、前向きになる
● 老化をゆっくりにする
……と、ざっとこれだけあります。腹筋は伸ばして鍛える。これが今、私たちに必要な腹筋運動です。
出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
正直言って、猫背の多い現代人は「逆腹筋」だけ習慣にすれば、十分だと私は考えます。ラクに、誰にでもできる。筋力がなくてどうしても挫折してしまう、腹筋をやりたいけどヘルニアが心配……という悩みのある人にもできる素晴らしい筋トレです。
■「逆腹筋」のやり方
ここから、逆腹筋の実践方法を解説したいと思います。
このトレーニングの効果を上げるための約束事は次の二つです。
・逆腹筋は1日何回でも行ってよい
・終わった直後は、お腹が引き上がった姿勢をしばらく維持する(5〜10分程度)
逆腹筋の効果を得るいちばんの近道は、毎日の習慣にすることです。ご自身のやりやすい時間に、気づいたら何回でもやってください。
中村尚人『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
おすすめのタイミングは、起床後、外出前、そして長時間にわたり、同じ姿勢で仕事や作業をしたあとです。例えばオフィスワーカーでしたら、「出勤時と帰宅時、家や会社から出るタイミングでやろう」と決めておくと、習慣化しやすいと思います。
逆に避けたいのは就寝前です。逆腹筋を行うと、興奮の神経、交感神経にスイッチが入ります。神経が高ぶり、眠れなくなる恐れがあるので、就寝前は避けてください。
逆にシャキッと目覚めたい、活動的に動きたいタイミングで行うのにはピッタリです。注意事項としては、すべり症(腰椎がずれる病気)の人は症状が悪化するリスクが高いので、骨盤が動かないように特に注意しながら慎重に行う必要があります。かかりつけ医がいる方は、相談のうえ行ってください。
逆腹筋のやり方 ①両手で太ももを押す 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
逆腹筋のやり方 ②両足の指を上げる 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
逆腹筋のやり方 ③首と後頭部を引っこ抜くように持ち上げる 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
逆腹筋のやり方 ④視線を上に向けてお腹を伸ばす 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
逆腹筋のやり方 ⑤息を吐きながら上半身を元に戻す。 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
NG 出典=『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)
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中村 尚人(なかむら・なおと)
理学療法士・ヨガインストラクター
理学療法士、ヨガインストラクター。逆腹筋メソッドの考案者。Studio TAKTEIGHT(タクトエイト)主宰。1999年より理学療法士として大学病院から在宅まで12年間幅広く臨床を経験。その中でヨガと出会う。2011年に予防医学を実現するために独立。解剖学への深い理解と、医学に基づく安全な指導に定評があり、日本最大のヨガイベントYoga Fest、オーガニックライフ東京には毎年招聘されている。現在は、医療とボディーワークの融合、予防医学の確立を目指し、日々患者や生徒と向き合っている。これまでに、理学療法士として姿勢や運動機能に問題を抱えた1万人以上の患者と向き合いつつ、ヨガやピラティスの指導者として2000人以上のインストラクターを養成。著書はロングセラーの『ヨガの解剖学』(BABジャパン)をはじめ、テレビやYouTubeで話題になった『「そる」だけでやせる 腹筋革命』(飛鳥新社)など多数。NHK『きょうの健康』『おはよう日本』をはじめ、全国ネット局に番組への出演実績多数。
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(理学療法士・ヨガインストラクター 中村 尚人)