相場展望4月21日号 米国株: トランプ氏が大統領就任以降、NYダウは今なお下落途上 (1)関税で世界貿易と経済に次ぎ、(2)金融(3)司法も不安定化 日本株: 3月期決算発表シーズンイン、関税に影響されない分野に注目
2025年4月21日(月)10時44分 財経新聞
●1.NY株式の推移
1)4/17、NYダウ▲527ドル安、39,142ドル
2)4/18、祝日「聖金曜日」で休場
【前回は】相場展望4月17日号 米国株: トランプ構想・関税で「米国に製造業を回帰」は、不可能な願い 中国株: 中国経済は先行き懸念 日本株: 海外投機筋は「米国売り」方針で、日経平均を売り、底が見えず
●2.米国株:トランプ氏が大統領就任以降、NYダウは今なお下落途上にある トランプ氏、(1)関税で世界貿易と経済に次いで、(2)金融市場(3)司法も不安定化
1)話題の銘柄の株価推移(高値と4/17終値との比較)
ユナイテッドヘルス エヌビディア テスラ
4/11 599.47ドル 1/06 149.43 12/17 479.86
4/17 454.11 4/17 101.49 04/17 241.37
4/11比▲24.2%安 1/6比▲32.0%安 12/17比▲49.7%安
2/21安値466.42を下回る
2)トランプ氏が大統領就任以降、NYダウは下落途上にある
・NYダウの推移
12/04 45,014ドル 史上最高値
01/20 44,882 大統領就任
03/25 42,587 相互関税発動前
04/08 37,645 相互関税発動
3/25比▲4,942ドル安・▲11.6%安
1/20比▲7,237ドル安・▲16.1%安
調整局面入り
04/09 40,608 90日間一時停止
4/8比+2,963ドル高
▲4,942下落に対して+59.95%戻し率
04/17 39,142 4/9戻しの▲1,466ドル安・▲49.47%を失う
・次のポイントは、
・4/8の37,645ドルまでで下げ止まるか?
・さらに下落を強めるか?
に注目したい。
トランプ氏の問題拡大は続き、方針の二転三転はとどまることがない。米国10年債利回りは高水準に定着し、2年物国債利回りとの金利差は依然として大きい。いわゆる「米国売り」は止まっていないため、先行き不透明感が払拭される見通しがたたない。
3)トランプ氏、(1)関税で世界貿易と経済に次いで、(2)金融市場(3)司法も不安定化に陥れようとしている。
(1)トランプ政権は、高関税で米国債・米国株・米国ドルのトリプル安を招くという「米国売り」を勃発させた。
・トランプ関税で、米国はインフレの高騰リスクと米国経済の後退リスク(スタグフレーション)に陥る確率が増した。
・同時に、世界貿易と世界経済の縮小を引き起こそうとしている。
・言い換えれば、ロシア・中国を助け、同盟国に被害を及ぼそうとしている。
(2)金融市場の不安定化
・パウエルFRB議長の解任騒動の経過
・トランプ大統領が、FRBのパウエル議長を任期途中の解任を検討していると高官が4/18に明らかにした。
・トランプ氏は、原油価格が食料品価格が下がってきたので、利下げするべきと主張している。パウエル議長は、関税措置が物価に及ぼす影響を見極めるため、早期の利下に慎重な姿勢を貫いている。
・トランプ氏は4/17、「パウエルFRB議長が任務を果たしていない」と発言し解任を示唆した。そして既に、解任についてハセットNEC委員長や元FRB理事に相談しているという報道もある。
・問題
・米国連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)は、連邦議会の下にある政府機関であるが、予算や人事の干渉を受けない。FRB議長は、大統領が上院の助言と同意に基づいて任命する。世界恐慌に発展した1920年代の米国の金融バブル崩壊を受けて以来、FRBが金融政策で独立性を持つようにした。
・FRB議長は、大統領に対して、政府機関の中で最も強い独立性を有する。そのためFRB議長は、米国大統領に次ぐ権力者とされてきた。
・トランプ大統領は、その三権分立したFRB議長を「解任」という手段に訴えようとしている。これは、長らく守り続けてきた米国政治に対する金融中立機能を崩壊させることに繋がる。なお、パウエルFRB議長の2期目の任期は2026年5/15まである。
(3)司法の不安定化
・トランプ氏は「裁判所の許可なく」数百人をエルサルバドルの過酷な巨大テロ対策センターという収容所に強制送還した。
・裁判所は強制送還を認めない判決をしたが、トランプ政権は送還する飛行機が離陸した後だったと正当化している。しかも、担当した判事を非難し引きずり降ろそうと画策している。
・エルサルバドルに強制送還した1人であるガルシア氏は、司法省や移民当局が「手違い」だったと認め、連邦最高裁も政府に帰国を命じた。しかし、政府はテロ組織のメンバーだと強調し、裁判所命令に応じていない。
・米国最高裁判所は、トランプ政権に「敵対性外国人法」に基づく強制送還の一時差し止め目の命令を発した。(CNN)
・トランプ政権は、「司法」においても三権分立の法則を壊そうとしている。
●3.トランプ政権、中国船舶が米国内の寄港で手数料徴収へ(NHK)
1)手数料は、およそ半年後から徴収し、積載貨物の量やコンテナの数に応じて手数料を課し、今後、段階的に引き上げるとしている。
2)貿易の相手国に不公正な慣行があるとみなした場合に適用される「通商301条」に基づく措置で、世界の造船市場で中国が支配的な地位を占める中、米国の造船業を復活させることが狙い。
●4.トランプ関税発のインフレ懸念、よぎるコロナショックの記憶(日経QUICK)
●5.米国一戸建て住宅着工、8カ月ぶり低水準、3月は▲14.2%減の94万戸(ロイター)
●6.関税ショック、米国市場を英国や新興国のようにする恐れ=ピムコが警告(ブルームバーグ)
●7.米国地裁が認定、グーグルが広告技術で「独占」、売却や分割迫られる恐れ(ロイター)
●8.米国債の「安全資産」の地位、欧州保険監督当局トップが疑問視(ブルームバーグ)
1)米国債市場はこのところ激しい値動きに見舞われている。特に先週は、トランプ米国大統領が推し進める関税政策が、世界貿易を混乱させ、米国経済の景気後退(リセッション)を招くとの懸念から、10年債利回りは週間で2001年以来の大幅上昇となった。
2)一方で、投資家は金やドイツ債、ユーロなど代替資産に目を向けた。
●9.米国財務長官、FRB議長の解任巡りホワイトハウスに警告=報道(ロイター)
●10.トランプ氏、FRBに利下げ要求、パウエル議長の退任は「早いほど良い」(ロイター)
●11.トランプ関税で低所得者層が新車買えない事態に、日産北米事業トップが懸念(ロイター)
●12.トランプ政権、ディープシープの米国技術購入阻止に罰則を検討=NYT(ロイター)
●13.テスラの新車販売シェアがカリフォルニア州で50%割れ、マスク氏への反発(ロイター)
●14.米国ハーバード大学の留学生受け入れ資格剥奪も、トランプ政権が警告(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/17、上海総合+4高、3,280
2)4/18、上海総合▲3安、3,276
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/17、日経平均+457円高、34,377円
2)4/18、日経平均+352円高、34,730円
●2.日本株 : 3月期決算発表シーズンイン、トランプ関税に影響されない分野に注目
1)日経平均は34,000台を回復し、チャートの動きも良好
・4/17、日経平均+457円高、トランプ政権の関税政策が緩和されるとの期待感で、市場不安が和らぎ、34,000円台を回復した。4/18も日経平均は+352円高と34,730円で終えた。
・4/18の日経平均とNYダウを比較すると、日経平均の「割安感」は解消したと思われる。
2)テクニカル分析からみると、警戒を示唆
・ストキャスは4/17に、FASTでは90.98、SLOWでも83.70と高水準となった。
・騰落レシオ(6日)も4/18 、165と高値警戒圏にあり注意したい。
3)格言「閑散に売りなし」の状態が続く
・格言「閑散に売りなし」の状態が続き、空売り比率も4/18で40.8と低く、少しの買いで上に行きやすい相場展開となっている。
・したがって、売買出来高が増加すると売られる展開も想定され、注目したい。
4)トランプ関税に左右されにくい業種に注目
・関税に左右されにくい、日本国内産業分野に注目したい。
不動産
建設
医薬品
食品 :円高メリットも
・先行き不透明で株価上昇に一服感が出てきた業種には注意したい。
半導体
商社
自動車
銀行
防衛関連
5)今週から3月決算発表がスタートするため、好業績・増配銘柄に注目したい。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・1942 関電工 業績好調
・2685 アダストリア 業績好調
・3003 ヒューリック 業績向上期待